もしあなたが“求職中”だと仮定して、この条件を提示されたらどう感じますか?

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※あなたが現在「新卒の求職中」で、ハローワークから上記の「求人票」を提示されたと仮定した上で考えてみてください。

職種や給与などの詳細はともかく、上記だけをみると「なかなかの好条件かも…!」という印象を受けませんか?

氷河期から抜けきれない就職事情。1人の新卒生がこの条件に魅力を感じ…

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この新卒生の名は、渡辺航太さん(当時24歳)。航太さんは大学卒業後の2013年10月、商業施設などに観葉植物を装飾する会社(本社・東京都)に、ハローワークの求人経由で入社します。

勤務先では先輩から「手がもげても、足がもげても働け」「苦しい顔をするな、いつも笑ってろ」「さすが平成生まれだね」と言われるなどパワハラ体質もあったという話。それでも航太さんは「正社員として働きたい」と頑張っていたそうです。

文字通り身を粉にして働き続ける毎日。しかし、悲劇は起こりうるべくして航太さんを襲ったのです…

22時間に及ぶ激務をこなした徹夜明け、すいこまれるように電柱に衝突…

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去年4月、航太さんは徹夜で22時間働いた後、勤務先から原付バイクで家路へと向かう途中、電柱に衝突しお亡くなりに。過労のため居眠り運転でした。

事故の目撃者によると「すいこまれるように歩道に寄っていき、電柱にぶつかった」ということです…

「内容違う」と求人票の虚偽を理由に遺族が告訴!

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ハローワークからの「求人票」とは大きく異なる条件下で過酷な違法労働を課せられたことが、息子の交通事故死に繋がったとして、ご遺族が航太さんの勤務会社を刑事告訴。「職業安定法65条」の適用内ではないかという点が、事件の大きな焦点となっています。

告訴したのは、航太さん(事故当時24歳)の母親・淳子さん。刑事告訴から2日後の1月22日、淳子さんらは会見を開き、会社を告訴。この事故をめぐっては、航太さんの死亡から1年後の昨年4月、遺族が1億651万円の損害賠償を会社に求めて提訴し、現在も民事裁判が続いていました。

※以下は会見時の渡辺さんのコメントの一部です。

渡辺淳子さん:「そのとき(入社が内定した日)の希望に満ちた息子の笑顔をはっきり覚えています。私がハローワークの求人票を信用して勧めたときの言葉や、将来の夢を楽しく語りながら食事をした時間を忘れることができません。この1年9カ月、毎日毎日、その場面を繰り返し思い出しています。

ウソの求人をすすめなければ、今も息子が元気に生きていることは間違いないからです。できることならその時間に戻って、求人票を破り捨てたい。

ハローワークの求人票を信用してしまった私の勧めで、突き進んで行った息子は、もう戻ってきません。これから就職する若者たちのためにも、二度とこのような不幸が繰り返されることがないよう、強く望んでいます」

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求人票を信用し息子に勧めてしまった…母の後悔とは

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「正社員になりたいし、好きな仕事に巡り会えた喜びはあるけど…考え直さなければならない」

生前の航太さんは淳子さんにそう話し、連休のタイミングでお互いに時間をとって、今後の身の処し方を決めるつもりだったそう。しかし、その4日後に航太さんはバイク事故を起こし帰らぬ人に…

「彼のキラキラと輝いた人生はたたきつぶされてしまった、
どこの部分で、彼はやめておけば、諦めればよかったのか。親の私はどうやって止めればよかったのか、まだわかりません」(淳子さんコメント)

会見時、涙で声を幾度も詰まらせながら、その悔しさをにじませる淳子さん。苦しい胸の内を推し量るだけでも言葉にはなりません…

虚偽の求人票を罰する「職業安定法65条」は適用される?

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今回のケースは虚偽の求人票を罰する「職業安定法65条」に適用されると判断しての控訴ですが、以下がその虚偽にあたる3つのポイントです。

1. 正社員としての採用は、バイトとして働き始めてからの半年後

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航太さんは採用面接の際、求人票に書かれていた「新卒正社員募集・試用期間なし」という雇用形態ではなく、アルバイトとしての就労を求められた。しかし、いずれ正社員になることを期待して、承諾。

実際に正社員として採用することを口頭で告げられたのは、バイトとして働き始めてから半年後だったとのこと。

2. 求人票の残業は「月平均20時間」 実際は「月134時間」

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求人票では「就業時間 8時50分~17時50分」「時間外 月平均20時間」。実際には深夜・早朝におよぶ不規則な長時間労働に従事させられ、1カ月の残業時間が134時間に及ぶこともあったそうです。

3. 帰りの電車、バスがない…原付バイクでの通勤が常態化

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「マイカー通勤 不可」という記載も事実ではなく、帰宅時間が鉄道やバスを使えないような時間になると予想される日は、原付バイクを使って帰るように指示。その結果、原付バイクでの通勤が常態化していたそうです。

これらのポイントを踏まえて、担当弁護士は会見で「虚偽の労働条件の記載があったため、告訴した」と語り、その刑事告訴の根拠としてあげているのが職業安定法の65条です。

たしかに内容だけを見ると、適用されて然りといった印象ですが実際は…

65条が適用された前例はない!遺族の想いは届くのか?

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これまでに職業安定法65条の罰則規定が過去に適用された前例はないそうです。弁護士いわく「完全に死文化している」とのことですが、今回の刑事告訴を受けて、初の処罰適用となるのかが、注目されています。

一方、航太さんが勤めていた会社は、本件取材に対しては「担当者が不在のため、お答えしかねる」という姿勢を貫いているようです…

求人票の虚偽相談が「1万2000件以上」寄せられているという事実

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事実、厚生労働省には、ハローワークの求人票の内容が実際と違うとの相談が昨年度だけでも、1万2000件以上寄せられているそうです。

公になっていない、泣き寝入りしている人たちが圧倒的多数を占めているのでしょう。つまり今回の一件も氷山の一角でしかないのです…

※以下は本件に関して寄せられたTwitterユーザーの声の一部です。

■税金の取り締まりはきっちりやるけど、違法労働の取り締まりはきっちりやらない in ジャパン

■ハロワに虚偽の内容の求人を出し、釣られて応募してきた求職者に求人票記載の条件とは異なる賃金・勤務地・労働時間で働かせる行為は完全に違法じゃ…

■どうして厚生労働省はハローワークの求人票の虚偽記載を野放しにするんだろうね。(経験談)

■「この国やべーわ。極一部の凄いこと特集してるバヤイじゃないだろ…」


■「ハローワークだから安心と思って虚偽の求人を勧め、息子を亡くしてしまった渡辺さんは、自分を責め続けている。一方、会社は求人と実態が違うなんて当たり前と渡辺さんに話したそうだ」

■「死因は事故死だから難しくない?」

■「私もハローワークで就職したから感情が動いてしまうね…就職先は徹底的に調査するのが一番やね」

■「ハローワークの求人ってブラックしか無いでしょ?」

■「うちの地域のハローワークはブラックな企業に応募しようとすると止めてくれたのに、止めてくれない地域もあるんだなぁ…」

本記事をここまで読んだ点も踏まえ、どんな印象をお持ちになりましたか?そしてあなたなら何と発言しますか?

考えても簡単に答えは出ませんよね、とても難しくセンシティブな問題です。しかし考えなければ、永久的に解決することもなく、また同じようなケースは出てきてしまうでしょう…

「その時間に戻って、求人票を破り捨てたい」

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「ウソの求人をすすめなければ、今も息子が元気に生きていることは間違いないからです。できることならその時間に戻って、求人票を破り捨てたい

息子から会社の求人票を見せられたとき、就労条件を確認したうえで「これなら息子はやっていける」と思い、応募することを勧めたのはほかならぬ母親でした。

航太さんぐらいの年頃のお子さまをもつ親御さん方にとっては、この事件が決して他人事ではなく、ご自身に置き換えて想像するだけでも、胸を痛めてしまうのではないでしょうか…

「自分も航太さんに似てる」という若い世代へ

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就職氷河期を経験し「現実と理想のはざま」でもがき続ける若い世代が、過労によってその命を奪われてしまう。「自分も航太さんに似てる」と思った方は、この事件を機にちゃんとご自分のコトを見つめ直してみてください。

若いから、仕方ないから、不況だから、社員になりたいから、でも「命は1つしかない」のだから…

いまこうしている間も、航太さんと同じような状況に置かれている若者たちの数、それは決して少なくない数である筈です。

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