朝から大声で絶叫する営業の会社

出典私の撮影とイラスト

記事提供 がんばれ熊さん

朝から大声で絶叫する営業の会社


まだ私が20代のころ、新規事業につき正社員大募集、月収50万円可能。仕事は口下手でも大丈夫。用意されたセールストークを、そのまま使うだけで契約が取れますという求人に、口下手な私でも大きく稼げるかも?と思い入った訪問販売の会社。

そこは浄水器の訪問販売で大きくなった会社で、新規事業としてテレビでインターネットが見られる機械の取り扱いを始めました。営業所長は浄水器の販売でかなり上位の人が抜擢され、その下に、営業の実績を認められた2名の社員。そこに私たち15名の新人が加わり、事業スタートになりました。

とにかく、従業員に気合いを求める会社で、朝、扉を開けるときは大きな声で「おはようございます。本日もがんばりま~す」と叫ばなければいけません。少しでも声が小さいとやり直しです。朝礼も手を腰に当てて、「必ずや、一本取ってきます」とみんなで大絶叫をしてました。

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たった3日で15人いた新人は半分になりました。

今思えば、コピーを取っておけばよかったと思うほど、良く出来たセールストーク。最初に表札でお客さんの名前を確認して「あ~○○さんですか?良かった。この前伺った時はお留守だったもんで、実は私、この地域を担当することになった○○と申します」と訪問販売であることを隠すような言葉から入ります。

さらに、家の中に入る時も、「実はこの地域のテレビ回線の切り替え案内をしておりまして、3分ほどで終わりますので、ちょっと見させてもらいますね」と不意打ちをするようなトークで家に上がりこみます。


しかしそう簡単に契約は取れませんでした。時折、所長が見本を見せてくれます。私たちが丸暗記したセールストークとまったく同じことをしゃべってるだけなのに契約を取ってくるのです。同じトークを使っても、お客さんに与える印象というか「この人になら契約してもいいかな?」と思わせる雰囲気を所長は持っていました。

数時間に一度、ワゴン車に集まり、そこで所長に報告して場所移動をします。それが夜の9時過ぎまで続くのです。夜遅い時間の訪問はとても嫌がられます。現場に出て3日目で15人いた新人は半分に減りました。みんな契約が取れなくて辞めていきました。

私も1週間で根をあげました。その1週間で契約は一つも取れませんでした。訪問販売の会社は契約を取ってこないと日に日に上司の風当たりが強くなります。どんどん厳しい言葉を投げかけてきます。「仕事をしに来てるの?」「恥ずかしくないの?」様々な言葉で責められました。

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心の葛藤の中、給料をもらうことにしました。

辞めた後、私は大きな疑問をもちました。1週間働いた分の給料は?そう言った話が辞める時にまったく無かったので、もしかしたらもらえないのかな?と思いました。

契約という結果を残せなかった私。営業は売ってなんぼの世界。売らなかったということは会社にまったく貢献をしていない。ただのお荷物だった私。ということは給料をもらえる立場ではないのか?と思いました。

しかし会社が言うとおりのセールストークを丸暗記して、朝早くから出社して、大絶叫の朝礼。そして夜遅くまで訪問して、所長に怒られ神経を随分すり減らした私の1週間は何だったんだろう?

「ここは駄目もとで請求してみよう」そう思い会社に電話をすると、事務の女性が出られ「それでしたら会社に取りに来てください。その際に来られる時間を言って下さい」とあっさり給料を出しますという話になりました。早速、善は急げと会社の事務所の前に行きました。

上司らしい人から心をえぐる言葉が・・・


働いていた時は、ドアを開ける時は「失礼します」と大絶叫するのが決まりだったのですが、もう私は辞めた人間です。普通の声のボリュームで「失礼します」と言って入りました。事務の女性が飛んできて「いや、来られる前にお電話を頂けると思ったのですが?」と若干困惑した表情をしました。

新しい新人たちが集まってちょうど研修をしている最中で、恐らく辞めた私がいきなり現れたら士気が下がるという理由だと思います。別室の通されて、「お待ちください」と言われ待つことにしました。すると、その会社の上司らしい人が出てきて、話しかけてきました。

1週間で契約が取れたのかどうか?正直に取れなかったことを伝えると、心をえぐるような言葉をかけられました。
「契約が取れなかったのに、給料だけ取りに来るの?」

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嫌みには絶対に応戦はいないでおこうと考えていた私

実は、もしかしたら契約をとれなかった私は嫌みの一つは言われるんじゃないかと想像をしていました。「給料泥棒」「会社に迷惑をかけただけだね」そんな事を言われたらどうしようかとあらかじめ考えていました。それでも心がえぐられる気持ちになったのは、とても威圧感のある人に言われたからです。

ただ、給料は出しますという事務員の人からの確約はもらっている私。絶対に嫌みを言われても応戦はしないでおこうと考えていました。なので「一生懸命頑張りましたけど、結果が伴わなくて申し訳ございませんでした」と素直に謝ることだけにとどめました。その後すんなりと給料袋を渡されて、ほっとした気持ちで事務所を後にしました。

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私が給料をもらったことを知り仲間は驚きました。

その後、しばらくして、その会社で仲良くなった人から電話がありました。その人も私と同じ新人で、私よりも数日後に辞めたそうです。彼の話によると全員辞めたそうです。ちなみに私は契約が1件も取れなかったのに対して彼は1件取れたそうです。これには私も心から拍手でした。

仲良くなっていたので、ちょっと飲みに行こうということになり、大阪の繁華街で待ち合わせをしました。私は、次の就職先は賃貸不動産の会社に決まり、彼はまだ次は決まっていない状態。次も営業の仕事を探すと言っていました。訪問販売以外でという条件で。

彼は私が1週間分の給料をもらったと聞くと驚いていました。彼には私のほかにも連絡を取っている人がいて、みんな給料は諦めているということを言っていたそうです。彼によると、「とにかく、あの会社から離れることができてほっとしてるから、給料はもういいと思っている」と言いました。

私 「いや、そんなこと言ってたら駄目でしょ?」
彼 「契約が取れないことを上司から『どれだけ会社に迷惑をかけたら気がすむんだ』と責められて、その上、たった10日間の給料をもらいに言ったら何言われるか分からないし・・・」
私 「でも、あれだけ遅い時間まで頑張っていた事実があるし、僕なんて契約をとってないけど給料もらってるのに、契約を1件とってるんだったら、なおさら堂々ともらいに行けると思うよ」

プライドを取るか?行動を起こすかは自分次第

結局彼は、「それぞれの考えがあるしね」と給料をもらいに行く気はないことを私に言いました。この出来事は働いてお金を頂くという行為について深く考えさせられました。基本給が決まっていて、実際に働いた事実があるのなら会社は給料を支払わなければいけません。法律上もそうなっています。

しかし、法律上ではそうなっていても、給料をもらう側が自分には受け取る資格がないと思うことがあるのです。私が勤めていた会社はこっちから出勤した分の給料を下さいと言わなければ、給料を支払わない会社でした。

彼が言うように、それぞれの考えがあると私は思います。私のように、たとえ1時間でも1日でも働いた分は請求したいと思う人もいれば、彼のように、会社に利益をもたらしていない立場で給料を請求するのはプライドが許さない人もいます。

会社にも、こちらから何かを言わなければ動いてくれない会社もあれば、たとえ1時間でも働いた分の給料は連絡をとって払う会社もあります。今回の記事は、こちらから何かを言わなければ動いてくれない会社に勤めていて、私には給料を請求する権利があるのだろうか?そんな悩みを持つ人がいれば参考になるのではないかと思い書きました。

最後までお読み頂き有難うございます。
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