昨日1月15日(金)に大阪市で”ヘイトスピーチ条例”が可決しました。

ヘイトスピーチと呼ばれる民族差別的な言動への対策を盛り込んだ、大阪市の条例案が賛成多数で可決されました。ヘイトスピーチ対策の条例の制定は、全国で初めてではないかということです。

出典 http://www3.nhk.or.jp

全国でも初めて可決された”ヘイトスピーチ条例”の中身について詳しく見てみたいと思います。

ヘイトスピーチとは?

そもそも「ヘイトスピーチ」は最近耳にするけどよくわからないという人がいるでしょう。先ずは”ヘイトスピーチ”の定義からご紹介します。

憎悪に基づく差別的な言動。人種や宗教、性別、性的指向など自ら能動的に変えることが不可能な、あるいは困難な特質を理由に、特定の個人や集団をおとしめ、暴力や差別をあおるような主張をすることが特徴。欧州にはヘイトスピーチを禁止する法律を設けている国が多いが、日本にはこれを特別に取り締まる法律はない。2013年に入り、日本ではインターネット上やデモで近隣諸国に対するヘイトスピーチが急増しており、問題視されている。

出典 https://kotobank.jp

簡単に言いますと「憎悪からくる差別的表現」ということです。大阪市で可決したヘイトスピーチの定義はなんなのか?大阪市のサイトに条例の中身がありますのでご覧頂きたいと思います。

ここのページにあるPDFファイルを見てみますと

1 「ヘイトスピーチ」とは、次に掲げる要件のいずれにも該当する表現活動をいう。
⑴ 次のいずれかを目的として行われるものであること(ウについては、当該目的が明らか
に認められるものであること)
ア 人種又は民族に係る特定の属性を有する個人又は当該個人の属する集団(以下「特定人等」という。)を社会から排除すること
イ 特定人等の権利又は自由を制限すること
ウ 特定人等に対する憎悪若しくは差別の意識又は暴力をあおること
⑵ 表現の内容又は表現活動の態様が次のいずれかに該当すること
ア 特定人等を相当程度侮蔑し又は誹謗中傷するものであること
イ 特定人等(当該特定人等が集団であるときは、当該集団に属する個人の相当数)に脅
威を感じさせるものであること
⑶ 不特定多数の者が表現の内容を知り得る状態に置くような場所又は方法で行われるも
のであること

出典 http://www.city.osaka.lg.jp

ヘイトスピーチの定義はかなり具体的です。「特定人等の権利または自由を制限すること」というところまで踏み込んでいます。

条例可決時にトラブル

条例は大阪市議会で全会一致(全ての党や会派が賛成)を目指していましたが、

辻よしたか大阪市議会議員のツイートにあるように全会一致ではなく賛成多数(賛成が過半数)で可決しました。自民党がヘイトスピーチへの条例設置が「言論の自由」に抵触するのではないか?と慎重な意見が出てきたからだと言われています。
そして条例を可決する本会議ではこんなことが起きました。

条例案の審議は、15日午後7時前から大阪市議会の本会議場で始まりましたが、地域政党・大阪維新の会の議員が賛成討論を行っている最中、傍聴席からカラーボールのようなものが議場内に投げ込まれたため、およそ2時間半にわたって中断しました。

出典 http://www3.nhk.or.jp

守島大阪市議会議員のツイートによると傍聴席からカラーボールが投げられて議会が一時休憩になったそうです。それだけ賛否が大きかったといえます。

ヘイトスピーチ条例の中身は?

大阪市で可決した「ヘイトスピーチ条例」の”ヘイトスピーチ”定義は上述しましたが、ヘイトスピーチの定義に抵触する行為になった場合、大阪市でどういった対応をするのでしょう。

▽ヘイトスピーチを行った個人や団体の名前を市が公表するとしています。▽公表に当たっては、対象となる個人や団体の言動がヘイトスピーチに当たるかどうか外部の有識者で作る審査会の意見を聞いたうえで判断します。
また、▽今後、国がヘイトスピーチ対策の法律を制定した場合には、必要に応じて内容を見直すとしています。

出典 http://www3.nhk.or.jp

手続きの流れとしてはこうした流れになります。

ヘイトスピーチであるという申し立てを受けたら市長が有識者で構成する審査会に意見を求めてヘイトスピーチであるかどうかの判断をし、ヘイトスピーチであると認定をしたら訴訟の支援などを大阪市でヘイトスピーチを行った個人、若しくは団体を公表したり訴訟の支援を行うというのが大枠の内容になります。
審査会については

第1 審査会の設置
1 この条例の規定によりその権限に属するものとされた事項について、諮問に応じて調査
審議をし、又は報告に対して意見を述べさせるため、市長の附属機関として審査会を置く。
2 審査会は、1に定めるもののほか、この条例の施行に関する重要な事項について、市長
の諮問に応じて調査審議をするとともに、市長に意見を述べることができる。

第2 審査会の組織
1 審査会は、委員5人以内で組織する。
2 審査会の委員は、市長が、学識経験者その他適当と認める者のうちから委嘱する。
3 審査会の委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間
とする。
4 委員は、1回に限り再任されることができる。
5 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様
とする。
6 市長は、審査会の委員が5の守秘義務に違反したときは、当該委員を解嘱することがで
きる。

出典 http://www.city.osaka.lg.jp

この審査会の委員が「5人以内」ということは一人でもいいのでは?という指摘もあります。

個人情報保護法違反?

大阪市の「ヘイトスピーチ条例」にはこうした条文が載っています。

第1 拡散防止の措置及び認識等の公表
1 市長は、次に掲げる表現活動がヘイトスピーチに該当すると認めるときは、事案の内容
に即して当該表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するために必要な措置(以下「拡散防
止措置」という。)をとるとともに、当該表現活動がヘイトスピーチに該当する旨、表現の
内容の概要及びその拡散を防止するためにとった措置並びに当該表現活動を行ったものの
氏名又は名称の公表(以下「認識等の公表」という。)をするものとする。ただし、当該表現
活動を行ったものの氏名又は名称については、公表により条例の目的を阻害すると認めら
れるときは、公表しないことができる

出典 http://www.city.osaka.lg.jp

この部分が個人情報保護法違反ではないか?という意見があります。しかし、この条文の後に

3 市長は、認識等の公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表に係るヘイトスピーチを行ったものにその旨及び理由を通知するとともに、相当の期間を定めて、意見を述べるとともに有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。ただし、公表の内容がⅤに定める大阪市ヘイトスピーチ審査会(以下「審査会」という。)が第2の3に基づき述べた意見における公表の内容と同一であるときは、この限りでない。

出典 http://www.city.osaka.lg.jp

事前に市長が個人に対して通知をしてヘイトスピーチではないという反論の機会を与えることを義務としていますが、最後にある

公表の内容がⅤに定める大阪市ヘイトスピーチ審査会(以下「審査会」という。)が第2の3に基づき述べた意見における公表の内容と同一であるときは、この限りでない。

出典 http://www.city.osaka.lg.jp

この「Ⅴの第2の3」というのは条文を見てみますと

3 2に定めるもののほか、審査会は、関係人から申立てがあったときは、相当の期間を定めて、当該関係人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、審査会が、その必要がないと認めるときは、この限りでない。

出典 http://www.city.osaka.lg.jp

審査会が意見を言わせる必要がないと判断した時は反論の機会を与えずに公表もできる可能性があります。

その反響は?

様々な問題を含んでいて波乱を起こしそうなヘイトスピーチ条例ですがインターネット上ではやはり様々意見が出てきています。Twitter上でも話題になっていまして

賛否含めて色々な意見があります。それだけ色々と難しい問題なのでしょう。
ヘイトスピーチ条例のきっかけとなった橋下徹前大阪市長は

ヘイトスピーチ条例に関して触れていません。
筆者個人としては

橋下氏は内容に不満を訴え、「勘違いしている京大をライフワークとして、しっかり正していく」と述べた。

出典 http://www.sankei.com

これらの発言がヘイトスピーチに当たるのか興味がありますが、現大阪市長が審査会の委員を選ぶなら「該当しない」になるでしょう。

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