障がい者同士のカップルが子供を持つことは度々社会でも取り上げられています。日本でもそして筆者の住む欧米でも、障がい者同士が子供を持ち、子育てしていくことに対して社会が「諦めるべき」という無言の拒絶を与えているような気もします。

確かに現実問題、障がい者同士のカップルは経済的にも余裕がある生活は望めないでしょう。もちろん障がいのレベルや症状にもよりますが、共働きで年収200万円程度しか見込めないというケースもあるそうです。

障がい者手当を普及してもらえるとはいえ、周りのサポート無しでは生活は苦しいというのが事実。でも、そんな二人がもし子供を望んだとしたら?

生まれてきた子供にまで障がいが遺伝したら…

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障がい者同士が子供を持ちたいと思うことは身勝手なのでしょうか。健常者と同じように障がい者だって幸せになる権利があります。子供を持つことで幸せだと感じるなら当然、子供を望むでしょう。でももし生まれてきた子供も障がい者だったら?

周りのサポートなしでは生活できないほどの障がいを持つカップルでも、子供を望めば誰が否定する権利などあるでしょうか。でも子供の後々のことまで考えると「こわい」という障がい者の方も。

「万が一子供に障がいがなくても、両親が障がい者なら一生福祉に頼って生きて行かなきゃいけない。子供から、なんで自分なんか産んだんだって言われる日が来るかも知れない。」そんな不安を吐露する障がい者の方も。

「恋愛だってしたい。結婚だってしたいけど…」

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実際には、子供を持つことには躊躇してしまう障がい者も少なくはないのです。親からも「結婚は諦めなさい」と言われて育ってきた人も。医師でさえ「あなたたちに子供を育てていくことは恐らく不可能でしょう。」と宣告します。

残酷なように思えますが、子供を産み、責任を持って育てていくというこれからの長い人生を考えれば、医師が放つ言葉は的確なアドバイスと言えるかも知れません。子供はあくまでも一人の人間ですから。

それでも夫婦が子供を望んだら

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下半身麻痺で、夫婦ともに車椅子生活。それでも子供を産んで育てていきたい。そんな強い思いを抱えた夫婦がここイギリスにもいました。彼らはいわば幼馴染み。お互い10代の頃に病気が発症しそれでも共にサポートし合い、強い絆で結ばれたカップルが「家族を作りたい」と思うのはごく自然なことだったのでしょう。

ヘルスセンターの医師は子供を諦めたほうがいいとアドバイス

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ジェイムズ(25歳)とサラ(24歳)は介助無しでは歩行ができません。病気により病状が進行したり寿命が短くなったりすることはないのですが、ただ一生車椅子生活を強いられるといった状況。

ヘルスセンターの医師に「子供を持ちたい」と伝えたところ「あなたたちには子育ては無理でしょう。」と率直に言われショックを受けた二人。「子供ができたらめいいっぱい愛してあげる自信はあるし、なんとか育てていけるっていう自信もあります。僕たちが障がい者だからってあんな風に言われて顔に泥を塗られたような気持になったよ。」そう語るジェイムズさん。

でも、この「なんとか育てていける」というのはあくまでも援助を受けながらの話。周りの人のサポートがあってこそ、我が子の子育てができるというもの。ただこれは健常者も同じですよね。家族や友人のサポートは誰にとっても大変ありがたいものなのです。

二人の信念が家族を更に強く結びつけた

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去年11月にサラは元気な女の子アミーラを普通分娩で無事に出産。「下半身麻痺だから痛みも感じなかったわ。」なんと3時間の安産だったそう。

障がいを持つカップルの励みになってくれたらと夫婦は言います。「障がい者同士でも普通に子供も産めるし幸せになれるって、あの時諦めるように勧めた医師に伝えたいわ。」とサラは言います。

サラができないことはジェイムズが補い、またその反対も然り。そうしてこれまでお互いをサポートし合ってきたように、愛娘も責任を持ってしっかり育てていくと話す夫妻。

社会は、障がい者同士の子作りに「子供が可哀想」と否定的な態度をとる人もいます。見方を変えればそれも間違いなく事実。それでもサラとジェイムズのように二人の強い信念がこのように素敵な奇跡を生むこともあるのです。

社会全体が「障がい者同士だから」ということにこだわり過ぎるのも良くないのかも知れません。健常者であっても無理して子育てしている人もたくさんいます。子供に注ぐ愛情がいつもたっぷり溢れていれば、子供は幸せではないでしょうか。

障がい者が望むことは「健常者と平等に扱われること」。もしどこかでサラとジェイムズのように障がい者夫婦を見ても「大変そう」というネガティブな感情ではなく、家族の強い絆を感じて微笑むことができるような自分でありたいと思います。

健常者であれ障がい者であれ、人はみな助け合って生きているもの。サポートが必要なら頼りながら子育てするのもいいじゃない。そんな風に誰もが思える優しく寛容な社会になってほしいなと思う筆者です。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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