うのたろうです。
日本の未開の地といえば「長野」「岐阜」。そんなイメージが個人的になんとなくあります。
四方を山に囲まれている県であるうえ、都心からさほど離れていないのに気持ち的な距離がなんとなくある。そんな場所だからでしょうか。不思議……というか神秘的なイメージさえも持ってしまいます。

そんな岐阜にイメージ通りの謎の公園があることをご存じでしょうか?


「養老天命反転地」


バルゴのシャカの技のような名前です。
厨二心をくすぐるネーミングで、なんだかやたらとカッコイイ。

だけど、ここ、ちょいと危ない公園なのです。
なんといっても怪我人が続出しまくっているのです。

それもそのはず、この公園は……

いったいどんな感じなのでしょうか?
見ていきましょう……

「養老天命反転地」とは?

「養老天命反転地(ようろうてんめいはんてんち)」――めちゃくちゃカッコイイタイトルの遊園地です。

そんな「養老天命反転地」の開園は1995年。今から21年まえのことです。
この公園のコンセプトはなんといっても「芸術作品のなかを回遊して体験することで作品を鑑賞できるように設計されている」ということ。

ぜんっぜん意味がわかりません。

ひとことでいえば「芸術家のワケワカラナさが生みだした奇抜な作品のなかに入園者が自動的に放りこまれるテーマパーク」というところでしょうか。よーするに、とんでもなくトリッキーだということです。

ちなみに、そのワケのわからない芸術を生みだした人というのは荒川修作とそのパートナーで詩人のマドリン・ギンズ。荒川修作は世界的に有名なアーティストです。彼について少し詳しく見てみましょう……

作者「荒川修作」とは?

「養老天命反転地」は荒川修作というひとりのアーティストがつくりあげたテーマパークです。彼は第二次大戦後の前衛芸術をけん引していった芸術家のひとりで、なんと紫綬褒章も受章しているほどにすごい人物です。

こういった頭のイカレた天才芸術家で、ぼくがまっさきに思い浮かぶのは岡本太郎です。彼の作品はでたらめにカッコイイ。頭がオカシイ、頭がイカレてる。そういった感想が純粋なほめ言葉として感じられるほどに素晴らしい立体作品を生みだしてきました。

そんな天才・岡本太郎が弟分としてかわいがってきたのがこの荒川修作という人物。
しかも岡本太郎は彼を「おもしろいやつがいるぞ」といって三島由紀夫にも紹介したほどです。

で。
まあ、その際にちょいと悶着があってさっそく大喧嘩がおっぱじまってしまったといういのですから、天才芸術家たちはそれぞれが独自世界に生きているというのがわかります。

ちなみに。
荒川修作は過去にはニューヨークでボブ・ディランとともに暮らしていた時期があったそうです。その際も、ボブ・ディランを認めず(というより音楽自体を認めず)、彼が自分に差しだしてくれたレコードすべてを投げ捨てたというエピソードもあります。

なんとも、まあ、なお人です。
そんな荒川修作は2010年にこの世を去りました。享年74歳でした。

そんなイカレた彼が神秘の地・岐阜に残したのがこの「養老天命反転地」だというわけです。なんともまあ、迷惑な……素晴らしいことですっ!

「養老天命反転地」パビリオンの構成は?

「養老天命反転地」にもいちおうルールというか絶対的な事実があります。それは、パビリオンのジャンルが大きくわけて2つあるということです。


「楕円形のフィールド」
「極限で似るものの家」


あー、もう、これ、頭から煙でるやつだ。
そんなイメージのワケワカランネーミングです。

しかもその2つのものが溝状の道「死なないための道」
ちゃぶ台をひっくり返す用意をそろそろしたほうがいいかもしれません。

と。
まあ、冗談はともかく。
もちろん遊べる箇所が上記の2か所しかないというわけではありません。というよりも一日じゅう遊んでもあらゆる意味で時間がたりないほど充実しています。

ちなみに、パビリオンはこの2つのジャンルのなかに合計9つのものが点在しているという形をとっています。

そんな養老天命反転地の見どころは「対をなす丘とくぼみ」「148もの曲がりくねった回遊路」「大小さまざまな日本列島」など……

やっぱりどう考えてもタイトルだけでは理解できないものばかりです。というわけで……

まずは動画を見てください!

この「養老天命反転地」がどれだけワケワカラナイ公園なのか、実際に歩いて撮影した動画がここにあります。まずはこれをごらんください……

出典 YouTube

これは上記に登場した「極限で似るものの家」です。なんかもう、建物からしてわけわかんないですよね。
迷路なんだかダンジョンなんだか。どこが通れるのか。っていうか、無駄ばかりの集合体でできた謎オブジェのようた建物。

「綺麗な廃墟」

そういった矛盾がよく似あう。そんなテーマパークになっています。

「極限で似るものの家」詳細と使用方法

この「極限で似るものの家」は、建物内のすべてのものが上下左右という概念を無視した形でおかれています。一歩なかに踏みいれると「うわっ、キモチワリイ」という感覚を覚えるはずです。それが正解なのです。

ちなみに。
公式サイトによると「極限で似るものの家」は何度か家を出入りすることで楽しめるのだそうです。

家にはいったら、すぐにでる。そしてまたすぐにはいる。
ポイントとしては、はいるびに違った入口を通ってくださいということです。

するとどうなるのか?

それは体験して楽しんでみてください。きっと思わぬことが起こるはずです。そして「思わぬことが起こったらどうすればいいんか」ということも公式サイトで呼びかけています。

「思わぬことが起こったら、そこで立ちどまってください。そして20秒ほどかけてよりよい姿勢をとってください」

これが意味することとはいったい?

さらに、なかにはいってバランスをうしなうような気がしたら「自分の名前を叫んでみてください(他人の名前でもOK)」。こういった謎の使用方法があります。

この意味は、きっと養老天命反転地にいけばわかると思いますよ?

そして……

「死なない為の道」

ここを通り次のステージ「楕円形のフィールド」にむかいましょう……

「楕円形のフィールド」詳細と使用方法

次に「楕円形のフィールド」についてのお話しです。
こちらは屋外の作品となっています(といっても、極限で似るものの家も厳密に室内作品なのかといわれると大いに疑問ですが)。こちらはまず俯瞰画像を見てください。

近くにいくとわかりますが「楕円形のフィールド」には平らな道というものが存在しません。どこもかしこも傾斜、けいしゃ、ケイシャ! おまけに道は迷路のようになっているうえぐにゃぐにゃです。

こういったつくりのため、迷いこんだら最後、平衡感覚や遠近感がバカになってしまいます。

こういうところをふつうにのぼります(あるいはくだります)。するとどうなるか……?

怪我します。
とうぜんです。すってんころりん転がることもあり得ます。

そんなテーマパークのため開園当初は怪我人が続出したそうです。
しかし、その事実を知った荒川修作は「あんがい少ないな」といったきり。ぜんぜん気にするようすも見せなかったそうです。

なんともまあ、すさまじいテーマパークです。

ちなみに。
養老天命反転地ではこのようなことをいっています。


「万一ケガをされたお客様は、ミュージアムショップに救急箱を常備しておりますので、お近くのスタッフにお声をおかけください」


もう全部、想定内だということです。
まあ、怪我が想定内であるということは最悪のケースにはいたらないということでしょう。なにせ怪我まで想定しているテーマパークが「死」を想定していないはずはないですから。逆にいえば死を想定していないということは、さすがにそこまではないという安全の証でもあります(希望的観測)。

ともあれ、このヘンテコでイカレたテーマパーク、一度は迷いこんでみたいなと思ってしまいます。

「養老天命反転地」詳細は?

【住所】岐阜県養老郡養老町高林1298-2
【電話番号】0584-32-4592

【入場時間】9:00~16:30(開園時間/9:00~17:00)
【入場料金】おとな:750円 高校生:500円 小中学生:300円
【コインロッカー】100円

【休園日】毎週月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)


【アクセス】
【電車】養老鉄道養老線「養老駅」下車→徒歩約10分
【自動車】名神高速道路大垣インターチェンジ→国道258号にはいって約20分


さらに……

「荒川修作+マドリン・ギンズ」作品は東京にもある!

荒川修作+マドリン・ギンズのコンビは東京都三鷹市にもとんでもないものをつくっています。それが、これ。

「三鷹天命反転住宅(In Memory of Helen Keller)」

これは計9戸からなる集合住宅で世界で最初に完成した「死なないための住宅」というものだそうです。

うーむ。
ここもまたすごい。
こちらはイベントや見学会などをおこなっていますので養老天命反転地とあわせて公式HPを見てみるのも楽しいかもしれませんね。

まとめ

はっきりいって「養老天命反転地」の魅力はまだまだこんなものではありません。
といいますのも、荒川修作はオブジェがまたおもしろいんです。

「極限で似るものの家」には机やトイレやベッドなどが壁にめりこみ分断されていたりします。こういったモチーフが好きな方なのでしょう。この感性が、わけわかんないけどぼくも大好きです。

「養老天命反転地」――このテーマパークができたときメディアは「荒川修作はまたくだらんものをつくった」といっせいに非難したそうです。

しかし、こういった芸術は利用者の方が先にその価値や良さ、おもしろさに気づきます。


「死すべき天命の反転」 がテーマ――
これは、根源的な問題です。


人間は生を受けたら、誰もがからなず死にむかって一歩ずつ歩いています。この逃れられない運命を反転させる装置――それが「天命反転」の意味だそうです。

そしてこの装置を具現化するのにふさわしい場所が「養老」という地。
やはり、冒頭でぼくが感じた岐阜の不思議な魅力という感覚は間違っていなかったのでしょう。この地にはそういったものがあるのかもしれません。

死を反転させ、生から生にむかって歩いていくような方向性――そういったことを感じることができるのかもしれません。
その証拠にこのテーマパークで骨折をして入院してしまったおばあさんのもとに荒川修作がお見舞いにいくと「童心に返っただけだから、気にしないでいい」といってくれたそうです。

彼女は飛び石からジャンプできるような気がしたそうです。

人の平衡感覚を麻痺させるほか、年齢まで麻痺させ感じなくさせてしまう魅力(魔力?)があるのでしょうか。やはり「天命反転」の装置はしっかりと機能しているようです。

なにはともあれ「養老天命反転地」は都心からさほど遠い場所ではありません。
家族で友人でカップルで、ぜひでかけてみてはいかがでしょうか?

もちろん、怪我には細心の注意をしてくださいね。
2016年の素敵な思いでになるかもしれませんよ?

うのたろうでした。

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