イタリアで日本語講師として働く筆者。イタリア人学習者が日本の昔話をいくつか読んで、グループレッスン中にそのことについて少し話したことがあります。

また、使用している教材に「浦島太郎」の話がでてくるのですが、日本人の筆者からすると意外な感想を学習者から聞くことがあります。

今回はイタリア人学習者から筆者が聞いた日本の昔話の感想をご紹介したいと思います。

なぜハッピーエンドでない話が多い?

使用している教材に出てくる「浦島太郎」。「浦島太郎」の話を読んだ後、よくイタリア人学習者に言われるのは「どうしてハッピーエンドじゃないの?」ということ。

亀を助けた親切な浦島太郎が、亀に連れられて竜宮城に行き、楽しい時間を過ごすまではいいのですが…陸に戻った浦島太郎の知り合いが誰もいないのも納得いかなければ、玉手箱を開けて浦島太郎がおじいさんになるという結末がどうも腑に落ちないようです。

「浦島太郎はいいことをしたにも関わらず、不幸になってる!」というのが納得いかない大きな要因のようです。

興味があって他にも日本の昔話を読んだ学習者からはそのストーリーを他の学習者に説明してもらったのですが…

「鶴の恩返し」→最後に娘は鶴に戻っておじいさん、おばあさんのそばからいなくなる。

「かぐや姫」→かぐや姫は最後に月に戻る

などなど…悪いことどころか、いいことをしているにも関わらず、最終的に登場人物たちが涙する結果になっている話が実はけっこう多いですね。

イタリアにもハッピーエンドにならない子供に話すような昔話があるか聞いたところ、「おそらくあるだろうけど…思い浮かばない。」ということだたので、きっと日本の昔話に比べると、その多くがハッピーエンドなのでしょうね。

登場人物が死ぬのはいかがなものか…

これはよく言われることなのですが…日本の小説、漫画、子供に読み聞かす昔話でさえも、登場人物が死んでしまうということに驚かれます。

「さるかに合戦」→ずる賢い猿が蟹を騙して殺してしまう。

「雪女」→雪女がきこりの男に息を吹きかけると男は凍って死んでしまう。

「花咲かじいさん」→意地悪なおじいさんが犬を殺してしまう。

確かに、よく考えてみれば小さな子供に読み聞かせたりするにはけっこうショッキングなストーリーだったりしますよね。

これもまた文化の違い

ある学習者の男性は「ヨーロッパにもたくさん童話がある。ほとんどの童話は子供たちへの“教訓”のようなものを含んでいる。でも“浦島太郎”はその“教訓”が分からない。」と言いました。やはり彼もいいことをした浦島太郎が結局不幸になってしまったことが腑に落ちなかったのかもしれません。

筆者としては「浦島太郎」にも“教訓”はあると思います。“楽しい時間はいつまでも続かない”とか、“約束や秘密は守らないといけない”といったような教訓が。

筆者の意見としてそう伝えたところ、「それがこの物語の教訓なのだとしたら、幼い子供に読み聞かせるのは酷ではないか?」ということでした。

確かにそれも一つの見方だと思います。

ヨーロッパのグリム童話などに比べると、確かに日本の童話は子供に読み聞かせるのにハッピーエンドではなかったり、登場人物が死んだりすることが多いかもしれません。

しかし、これも仏教とキリスト教といった宗教の違いからくるものや、日本とヨーロッパの道徳観念の違いからくるものがあるのかもしれません。

そうした違いがあるからこそ、どちらもとても興味深いと筆者は思います。

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2004年よりイタリアはフィレンツェに住んでいます。
イタリア人の夫と黒猫1匹との生活。
日本語講師としてイタリア人に日本語を教えています。
魅力的なイタリア、不思議なイタリア、海外から見た魅力的な日本、不思議な日本を中心にお伝えしていきます。

普段のイタリア生活についてはアメブロに書いています。
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