これは衣食住に「住」の仕事をしていたときのことですが、年末になると…、思い出すことがあります。

「不動産取引は現金での集金が多い」

不動産は、大きなお金が自分の目の前で動くことがしばしばあります。

例えば、新築一戸建ての契約を締結して…、手付金、中間金(総額にもよりますが、中間金の入金が何回かに分けてあります)、決済金という流れでお金の受け渡しがあります。

最後の決済金は金額が大きい(千万単位)ので銀行にての振込となることが多いのですが、最初の手付金や何回かに分けてある中間金(百万単位)は、私が勤めていた会社では、大体みなさん、現金で用意されるので、こちらからお家に出向いての集金という形が多かったのです。



「人が変わってしまった同業者さん」

私が勤めていた会社のご近所には、他の不動産業者さんも道を挟んで何件かありました。なので、お昼に食事をするために外に出ると、お店で他の不動産会社で働く同業者さんと同席することもたびたびありました。

その日もお昼を食べに訪れたお店で、近所の同業者さんと顔を会わせたのですが、この方は、その会社の売り上げ1位、2位を争う凄腕営業マンの男性で、ふだんは顔を会わせてもニコリと笑って頭を下げるだけ。

ですから私は、その方と話したことは一度も無かったのです。

なので、私の印象としては(大体、不動産業者の営業さんは話のうまい人が多い=調子のいい人達という感じなのですが)、この方は受ける印象がソフトで、物静か、そんな誠実そうなところがお客さんに信頼感を与えて営業成績がトップなのではないか、と私は思っていました。

が、この日(丁度、その三日前に小さな地震があったので…)、お店のマスターと「地震になったら水が止まってしまうのが一番困るから、お風呂に水を溜めておかないといけないよねー」と話していたら…。

そんな、そんなこと!おまえらみたいな女に出来るはずが無いやろー!」といきなり切れられたのです。

私とマスターは目が点状態でその人を見ていました。

そして、その人は「ここにおくで!」と食事の代金をカウンターに〝バン〟と置いて私を睨んで出て行きました。


なんで?にらまれなあかんの??―

はっきり言って、私には意味がわかりませんでした。

それまで、その人に良い印象しか持っていなかったし。

それに、「おまえみたいな…」といわれるほど、その人との接点など皆無に等しい関係でしたから・・?????・・の疑問符が、そこいら中に飛んでいた…というのがこのときの正直な私の気持ちでした。

するとマスターが、カウンターのお金を取りながら…。

「許したってなぁ-、多分、今、奥さんと離婚話が持ち上がっていてイライラして八つ当たりしたんやと思うわぁ」と、マスター。

「えっ!なら、私は奥さんの代わりにイヤこと言われたということですか?」

「うん、そや思うわ…」とマスター。

「そんな、あほな。気ぃ悪いわぁ-」

「ゴメン、ゴメン、許したってなぁ-」と、マスターがすまなさそうな顔で私に謝ってくれるので、大変気分は悪かったのですが言いたい言葉を飲み込みんで…。

心の中で密かに…〝言いたいことがあるなら本人にいえや!なんで全然関係ない私に八つ当たりするねん。気ぃ悪い人や!〟と、悪態をつき。

この人に対するそれまでの良い印象が180度反転して、私のなかで“イヤな人”に変わった瞬間でした。



「人が変わるのには…、理由があったんです」

それから一月後の年末…。

社長が外から帰るなり「えらいこっちゃー」と話してくれたのは…。

私に八つ当たりした人が…、自殺した…との話でした。

私 「どうして?自殺なんか…」

社長 「客の金、使い込んどったらしいわ。それも一人二人や無いらしい。何人かの中間金で貰う金を、現金集金してたんを、全部、自分のポケットに入れてたらしいで。全部で5000万近くになるらしいぞ」

私 「ええぇー、そんな大金、なんに使ったんですか?」

社長 「女や…女。悪い女に引っかかったらしいわ」

私 「はぁ~?悪い…おんな?」

ということは、一ヶ月前に「おまえらみたいな女に…」と、私に八つ当たりしたのは、奥さんでは無くて…、その“”ですか??と疑問が頭を過ぎった途端。

社長が話してくれたのは、集金したお金をその女の人に貢ぎ、一緒に暮らし。家には帰らず、奥さんには「好きな人が出来たから、おまえとは離婚する」と一方的に宣言していたのだそうです。

そして、お客さんから集金してきた中間金を自分のポケットに入れて、その女の人に贅沢な暮らしをさせていたそうです。

それから、その中間金の一部を、Aさんから集金した分を、Bさんから貰ったことにして会社に入金する。いわゆる自転車操業のようにしてお金を回していたのですが…。

丁度私に暴言を言った時期になると、そのすべての顧客の家が次々完成していくは=決済をするということです。

その時に新しい契約が発生していればそのお金を回せますが、年末ということで(大体の顧客は新しい家で、新しい年を迎えたいと考えますので…)この時期、新規の契約は無し。

必然的に…、使い込んだお金がショートしてしまうことになります。

そして、これが一番、その人にとっての誤算だったのは、貢いだ女の人から「お金がないのなら、ここから出て行って」と、けんもほろろに女の人の家から追い出されたことでした。

つまりは、『金の切れ目が縁の切れ目』になった…ということです。

社長 「それで、家に帰ろうとしたら奥さんからも三行半や。おまけに、奥さんからは慰謝料請求までされてたらしい。そこに持ってきて、決済の日が迫ってくる。使い込みのお金をどうするか…。5000万円もの金を、いっぺんにどないかっしょうやなんていうのは、そりゃぁ無理やわ。俺でもようせん。それで、どうにもできんと悩んだ末に昨日、自殺したらしいわ。あんたに八つ当たりしたのなぁ・・・。丁度、女に『金がないなら出て行って』と追い出された直後やったらしいで、ほんま、あんたもとばっちりやったな…。けど、もう、許したれよ。相手は、死んでしもうておらんからな」

私 「そうですね…」と言いながらなにか引っかかる。

なにが引っかかる…のか…。

そう、多分…それは、なんでその人は、本当に言いたい人に本当のことを言えず、なんの関係も無い私に、その女の人を投影してひどい言葉を投げ掛けるほどになっていたのか?そこが引っかかる…と自分なりに考えた時。

女は男で変わる。そして、男も女で変わる

変わってしまった男が犯した=使い込みという犯罪。

よく世間一般的に言われている。

犯罪の陰に女有り』というのは、本当にそれだけなのか?それだけの理由だけなのかと考えた時に、もう一つあるのではないか・・と思ったのです。

もう一つの理由・・・『お金は人を変える』=『犯罪(=欲望)の陰にお金あり』・・目の前にある他人のお金を、自分が使っていいと勘違いさせてしまう(自分では何処にも動くことが出来ないが、人の力があれば何処にでも行ける)お金の魔力

これが一番大きな原因なのでは無いのかと、この話を聞いて考えるのでした。

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知らないことが知りたくて、メンタル、カルマ、礼法に漢方スクール…etc.とお勉強。で、ですね、人を動かしているのは無意識、でも、この無意識を味方につけるとスゴいんだ~と気づいたら…、なぜか、「えっ?!そうくるかぁ~」と、色んな場面に遭遇しれしまう…という面白いことが起こりだすのでした。

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