記事提供:カラパイア

ここに良いニュースと悪いニュースがある。どちらも世界情勢に関するもので、どちらか1つしか聞けないとしたら君はどちらを選ぶだろうか?

悲しいことに人は、つい悪いニュースの方ばかりを聞きたがる傾向がある。これも防衛本能の一種だと思えば致し方のないところなのだが…。

この世の中はひどい出来事ばかりが起きているように錯覚してしまうのも無理はない。一面を飾るのは、パリのテロ事件、レバノンの爆撃、全面戦争を予感させるトルコ軍によるロシア機撃墜など、世界は混沌と狂気に支配されつつあると思いがちだ。

だが悲観論や死亡記事の陰には、あまり報道されることはないが、希望や平和や人間の勇気を教えてくれる出来事も起きている。

確実に良いことも起きているのだ。ここであげるのは人為的な10の良いニュースである。

10. 1990年以来、小児死亡率が半減

1990年、世界では5歳以下の子供が1,270万人亡くなった。だが今年、失われた幼い命は記録史上初めて600万人を下回ることになった。

25年間で実に半減という快挙であり、例えばバングラデシュでは1990年から2012年にかけて小児死亡率が72%、東ティモールでは67%低下している。

国連は2015年までに世界の小児死亡率を67%低下させることを目標としていたため、この成果を失敗と見る向きもある。だが、世界の途上国で大勢の子供の命が救われたということは紛れもない事実である。

9. 10億人以上が極度の貧困から脱出

国連の定義によれば、“極度の貧困”とは、1日に150円(1ドル120円換算)未満で生活する状態をいう。

1990年の時点で、極度の貧困状態にある人々はおよそ20億人で、世界人口の半分近くにも達していた。だが今では8,360万人と、世界人口の15%以下にまで減少した。

これは非常に重要なことである。

1日120円以下で生きる子供たちを特集した最近のタイム誌によるフォトエッセイには、ある8歳の少女がマラリアに冒されつつも、生活のために有害物質で汚染されたゴミの中から鉄くずを掘り集める姿が取り上げられていた。

インドでは、同情を引き施しをもらう目的で両親によって意図的に栄養不良状態にされた2歳の子もいた。極度の貧困の中で生きるとはこういうことなのだ。

だが世界的な連携によって、こうした悲惨な状況の下で生活している人の数は20億人近くも減少した。現在、極度の貧困の中で暮らす人々は、インド、ナイジェリア、中国、バングラデシュ、コンゴ民主共和国に集中する。

8. 普遍的教育の実現まであとわずか

世の中に羽ばたきたいと願うなら教育が必要だ。25歳以上の人の週間所得は教育レベルに完全に比例している。だからこそ、2015年の時点で、大部分の子供たちが普通教育を受けられるようになったことは大ニュースだろう。

1990年では途上国の20%の子供たちがまったく教育を受けることができなかった。彼らは読むことも書くこともできず、学校に通うと想像することすらできなかった。

現在、その数字は10%にまで低下した。つまり途上国にいる10人に9人の子供が、人生の大きなチャンスを手にできるようになったということだ。

地域によってはその成果はさらに目覚ましく、北アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ地域、東アジア、東南アジア、コーカサス地方、中央アジアでは、子供の99%が初等教育を受けられるようになっている。

7. キューバでHIVに関する大ブレイクスルー

キューバには従来から世界有数の医療制度が整っていた。それを証明するかのごとく、2015年夏、同国はHIVの母子感染を根絶した世界初の国となった。

このブレイクスルーは“大”ブレイクスルーである。梅毒と同じく、HIVには子宮内の子供にも感染するという困った性質がある。

治療を受けない女性が身ごもった場合、胎児の15~45%がウイルスに伝染してしまう。毎年140万人のHIV陽性の女性が妊娠していることを考えれば、その深刻さが分かるだろう。

2009年以来、世界中がこの問題に取り組んできた。そして、適切な抗レトロウイルス剤を使用した場合、母子感染の確率を1%することに成功していたが、これを0%にしたのはキューバの医師たちの功績である。

残念なことに、この成果はキューバの高度な医療制度があってこそのもので、他国がおいそれと真似できるものではない。それでもWHOは途上国の重要なモデルケースと考えている。

6. カーターセンターによってメジナ虫病が根絶間近

人類史上、根絶に成功した病は天然痘だけだ。これはWHOの14年間にわたるワクチンプログラムの成果である。だが間も無く、ここに新たな名が加わることになりそうだ。メジナ虫病である。

主にサブサハラアフリカで見られる病気で、メジナ虫に感染することで起きる。この虫が感染すると体内で1mもの化け物に成長し、およそ30日後に患部に巨大な腫れものと感染症を残して皮膚を食い破って体外に出てくる。

口の中、乳首、陰嚢、臀部など、所構わずだ。そして、その間凄まじい痛みに襲われる。痛みを抑えるために傷口を水で洗おうとすれば、メジナ虫によって大量の卵が産み付けられてしまう。

1986年の時点では、21ヶ国で350万人がこの病気に感染した。だが2015年夏には30の村でわずか126件にまで減少した。この病気に苦しむ人は、もはやわずか100人を上回る程度なのだ。カーターセンターは今後数年で完全に根絶されると発表している。

5. ボコ・ハラムが弱体化

ISIS(イスラム国)がいなければ、2015年のイスラム系過激派に関するニュースはボコ・ハラムが独占したことだろう。ナイジェリアに広い勢力圏を有し、村々で虐殺を続けている。現在でも首都への爆弾テロなどを行っているが、ボコ・ハラムの敗色は濃厚だ。

ムハンマド・ブハリが大統領になって以来、ナイジェリア政府はチャド、カメルーン、アメリカと連携し、ボコ・ハラムに打撃を与え、かなりの領土奪還に成功した。ナイジェリア軍によれば、年内の完全勝利もあり得るそうだ。

2015年10月に実施された作戦では、同グループの勢力圏に捕らわれていた338人の人質解放に成功した。

2014年4月に276人もの女学生が誘拐された当時と比べれば、状況は大きく変わっている。完全に過去の存在になったわけではないが、その力は相当弱体化されたと言えよう。

4. ISIS(イスラム国)が劣勢

パリでテロ事件が発生した2015年11月13日、実はISISにとってもひどい日だった。

各国のメディアはフランスの状況ばかり報じていたが、ISISはクルド軍とヤジディ教軍に敗北し、シリアとイラクの補給線をつなぐ重要拠点シンジャールを失ったのだ。だが同グループの劣勢はこれだけではない。

ISISが依然として危険なグループであることは間違いないが、現況は彼らの思い通りに進んでいない。2015年9月、ニューズウィーク誌は原油価格の下落によってISISの財政は大打撃を受けていると報じた。

財源を補填するために同グループは増税を行い、そのために専門家や優秀な人材が大量に流出することになったという。占領下にあるイラクのモースルでは、一般人の不満が高まっており、銀行強盗という財源も尽きつつある。

軍事レベルでも問題に直面している。クルディスタン地域の諜報部は、西洋諸国が本格的に参戦してきた場合、数ヶ月、下手をすると数週間以内に敗北する可能性があると推測した。にわかには信じがたいが、クルド軍はISIS軍の著しい弱体化を報告している。

3. 世界で飢餓が激減

21世紀に入ってこれまで約60万人が大飢饉(10万人以上が死亡した飢饉)によって亡くなった。ショッキングな数字であるが、1900~1909年にかけて2,700万人近くが餓死していることを思えば、相当な進展だろう。

何も都合のいいデータばかり集めたというわけではない。これは世界の飢餓に関する代表的な数字だ。

1970年以来、大飢饉の数は専門家が「ほぼ消えた」と評するほど激減した。1960年代以降、飢饉によって500万人以上が亡くなった年はない。21世紀に入ってからは、飢饉による年間平均死者数は4万人だ。

確かにそれでもなおショッキングではある。それでも大きな改善はあった。1990年、国際食糧政策研究所による世界飢餓指数で「極めて不安な水準(Extremely Alarming)」に分類された国は16ヶ国だったが、2015年は0だ。

2000年以降で飢餓が悪化したのはクウェートのみであり、それもわずかな悪化だ。世界の途上国では約27%低下した。

2. 女性を取り巻く環境が大幅に改善

男女平等に熱心な西洋諸国では今日も性差別改善に向けての動きが高まっているが、一部の国家では依然として深刻な状態にある。

世界では3分の1の女性が肉体的あるいは性的な暴力を受けており、名誉殺人(名誉を守るとの名目で、家族内の女性を殺害すること)も横行している。

だが、こうした悲しい状況はある事実を覆い隠している。それは世界的に女性をめぐる状況は大きく改善しているということだ。

1990~2013年で世界の妊婦の死亡は45%低下した。さらに女性の平均寿命も72歳まで大幅に伸びた。また働きに出る女性や学校に通う女性の数も増えている。

幼な妻が過去のものになり始めたことで、結婚年齢も上がった。先進国のアメリカでさえ改善が見られる。

1994~2012年で死亡に至らないドメスティックバイオレンスは63%も低下したのだ。先は長いだろうが、それでも一般的にはいい方向へ向かっている。

1. 世界の殺人発生率が激減

各国で頻発する紛争やテロのニュースを見ると、虐殺や殺人が横行する暗黒時代に突入したかのようだが、実際のデータが示唆しているのは、あなたが誰かに殺害される可能性は急激に低下しているということだ。

実験心理学者スティーブン・ピンカーの最近の研究によれば、国際的な殺人カテゴリーのほとんどが劇的に減少していることが判明している。

イギリスやアメリカでは殺人発生率が歴史的な低水準にまで低下した。だがそれは世界全体にも当てはまる。データは2000年以降のものに限られ、地域によっては「大胆に推測」されているが、それでも減少傾向は明らかだ。

重要なことは、こうした傾向は暴力で悪名高かった国でも見られることだ。メキシコの殺人発生率は2006年以来大幅に上昇したが、それでも現在は減少を示し、過去最低を大きく下回っている。コロンビア、ロシア、ブラジルでも同様だ。

また1945~1992年にかけて上昇した一般市民の大量殺人だが、それ以降はこちらも劇的に減少している。

ここ数年はISISの登場によって再度急上昇を見せているが、それでも歴史的な低水準にある。集団虐殺や武力紛争による死者も減った。ピンカーによれば、「70年前と比べれば、現代人が標的にされる可能性は数千分の1」だそうだ。

何も世界中の人々全員が幸せで安全に暮らしており、苦しみなどないと言っているわけではない。シリア、コンゴ民主共和国、イラク、ナイジェリアやウクライナの一部は、今でも悲惨な状況にある。そしてこれ以上良くならないと言っているわけでもない。

だが世界的に見れば確かに状況は改善している。信じようが信じまいが、世界はゆっくりと良くなっているのだ。

自分や自分の周辺が巻き込まれたら、世界が良い方向に向かっていようとも、そんなの関係ないと思うかもしれないが、人類はまだまだ捨てたもんじゃないのだ。

出典:listverse

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