記事提供:Cart

冬の雨の日のバスには、独特のイヤな空気が漂っています。

傘についた雨水が水滴となってバスの床にたまり、車内は異常な湿度。

そんな湿気と厚着していることによる暑さが相まって人を不快にさせ、狭い座席に座りながら、ゆっくりと進むバスに反比例するようにイライラはどんどんと増してゆきます。

さて、いまから紹介するのは、現在31歳の男性・古谷さん(仮、大手メーカー勤務)が学生時代に実際に“冬の雨の日のバス”で見たという光景の話。

当時就職活動に勤しんでいたという古谷さんですが、なかなか就活がうまくいかないことに加え、2年付き合っていた彼女に振られたこともあって常にイライラしている状況だったといいます。

そんなある日、大学からバスで帰っていたときのこと。

雨がザーザー降る冬の日のバスということで、車内は乗客の大人たちのイライラした空気で充満していました。

しかし、ある停留所で乗ってきた小学校低学年とおぼしき女の子2人組がその空気を一変させます。

まずそのふたりは、同じ停留所からバスに乗ったおばあちゃんの大きな荷物を手分けして持って乗車してきたそう。

そのままおばあちゃんを優先席まで案内し、おばあちゃんが「あなたたちも座ったら?空いてるから」と言ったところ、元気よく「わたしたちは大丈夫です!立ってます!」と返しました。

すると運転手さんがマイクで、「立ってると危ないから、優先席に座っても大丈夫ですよ」と一言。ふたりはこの言葉に甘えて優先席に座り、ずっとおばあちゃんと和やかに話し続けていたそうです。

そして、バスを降りるとき。

他の大人たちは無言で降りていくなか、その小学生のふたりだけは、運転手さんの方向を向いて大きな声で「ありがとうございました!」と挨拶して降りていったそうです。

古谷さんは言います。

「子供たちと触れ合った楽しいひと時を思い出すように微笑むおばあちゃんと、カラフルな傘を差して外を歩くその女の子2人組をバスの窓から見て、

そして彼女たちによって一変したバスの中の空気を感じて、自分がイライラしていたことが心底情けなくなりました」

古谷さんはこれを機に心機一転。イチから就活をがんばり、大手メーカーの内定を獲得したそうです。そして、現在でも壁にぶつかったときはこの光景を思い出して心を入れ替えるといいます。

子供たちの無邪気な行動が、“冬の雨の日のバス”の暗鬱たる空気を変え、ひとりの大人の未来まで変えた…。見習いたいですね。

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス