記事提供:そんな今日も誰かの誕生日

こないだ、iPhoneでApple Musicの新作情報を何気なく見ていたところ、JUJUやEXO、R.ケリー、フロー・ライダーといった日・韓・米の人気アーティストの新作が並ぶなか、一際地味なジャケットの作品が目にとまりました。

アートワークデザインというものを完全にサボったかのようにすら思えてしまう、極端にシンプルな“白無地に文字だけ”というアルバムジャケット。そして、その下に書かれている名前が「篠崎愛」であることに、非常に驚いた次第です。

だって、篠崎愛さんっていったら…

彼女を知るほとんどの人(特に男性)がその名前を聞いて頭に思い浮かべる姿は、こんな感じだと思うんです(以下、画像はすべてAmazon.co.jpから)

ネットやコンビニの雑誌コーナーで幾度となく見てきたこの童顔と悩ましいカラダ。そりゃあ、問答無用に好きですよ。「いいですねぇ~」と思ってますよ。

でも、篠崎さんが12月9日に出したというソロシンガーとしてのデビューアルバム『EAT 'EM AND SMILE』のジャケットは、こう。

いや、なんで??実際にアルバムを手に取ってみると分かるんですけど、これはWebサイトに載せるために少し文字が濃くなっているようで、実物はほとんど見えないほど薄い文字。1メートル離れて見れば、ただの“無地の白”です。

ふつう、彼女のCDをつくるなら、そのご尊顔やわがままボディを全面に押し出したジャケットをつくるでしょ…?それが前提で、そこからどんなデザインにするか考えるでしょ?

実際、2015年4月に発売したソロデビューシングル『A‐G‐A‐I‐N』のジャケットは、こうです。

でも、アルバムは白無地…。

「これは何か意味がありそう」と思い、とりあえずこの『EAT 'EM AND SMILE』というアルバムを買ってみて何回も聴き込み、さらに同作に付随する情報を辿ってその“背景”に潜むものを探ってみました。

結果、歌手・篠崎愛さんの完全なるファンになりました。

至る所にメッセージのようなものが隠れており、それが謎めいていて、あまりにもかっこいいんです。ソロ歌手としての活動に尋常ならざる気合いを入れていることもうかがえます。

以下、個人的な予想も含めて説明していきたいと思います。

篠崎さんは、14歳から現在(23歳)にいたるまでの長年のグラビア活動のなかで「童顔巨乳グラドル」というパブリック・イメージを広く浸透させ、

また並行して2011年1月から2014年9月まではアイドルグループ「AeLL.(エール)」のメンバーとしても活動。(※AeLL.は現在、無期限活動休止中)

芸能人の歌のうまさを競うテレビ番組でも活躍しており、「アイドルグループもやってて歌がうまい童顔巨乳グラドル」というタレントとして認識していた人が少なくないと思います(僕もそうでした)

そんな彼女が、「L's Shit recordings」なるプライベートレーベルをつくってそこからリリースしたのが、前出のデビューシングルやアルバム『EAT 'EM AND SMILE』です。

同アルバムには計8曲収録されていますが、率直に言って捨て曲は1曲もなく、彼女がソロとしてやりたい音楽性が明快な形で伝わってくる。

バラードからアップテンポなガールズロックまで、曲ごとに微妙に声質を変えられる器用な歌唱もとにかく見事。聴いていて非常に気持ちのいいアルバムです。

特に素晴らしいのは、『メモライズ』という1曲。K-POP好きという彼女ですが、K-POPらしいホーンサウンドのリフでスタートするこの曲は、とにかくポップ。

曲調に合わせ、言葉の意味よりも響きを優先しているような歌詞と歌い方にも非常に好感がもてます。

「見る」か「聴く」かを選ばせるという、この曲のスマホ用ミュージックビデオのプロモーションもオシャレです。

出典 YouTube

とにかく、アルバムを聴くだけで、彼女の歌手活動への本気度がヤケドしそうなくらい熱く伝わってきます。そんなアルバム、最近ではなかなか出会えないのではないでしょうか?

極端にシンプルなジャケットは、「音楽を聴いて!」という願望と自信の表れなのかもしれません。

そして、何よりも熱さが伝わり、また不思議さと面白さも感じられたのが、「EAT 'EM AND SMILE」というこのアルバムのタイトルです。

このタイトル、洋楽トリビア好きな人なら、耳に覚えがある人もいるのではないでしょうか?実は、約30年前にまったく同じタイトルでアルバムをリリースしたアメリカの歌手がいるんです。

おそらくそのイントロを聞いたことがない人はいないであろう『Jump』をはじめ、『Panama』や『Dreams』といった数々の名曲で知られるアメリカを代表するバンドのひとつ、「ヴァン・ヘイレン(Van Halen)」

同バンドが人気絶頂であった1985年、ボーカルのデイヴィッド・リー・ロスがバンドから脱退します。

そして彼は翌86年、トップクラスのミュージシャンを集めた超絶技巧バンドを率いて、ソロとして最初のアルバムを発表することになるのですが…。そのタイトルが、『Eat 'Em and Smile』なのです。

これは、偶然なのでしょうか?グループ活動から離れて最初のソロアルバム。それが、同じタイトル…。

いかんせん、この「Eat 'Em and Smile」という言葉は英語の定番フレーズというわけでもなく、GoogleやTwitterで検索しても、

デイヴィッド・リー・ロスのこのアルバム関連のページやツイート以外はほとんど出てこないので、“確実に影響を受けている”と考えるのが自然でしょう。

では、このデイヴィッド・リー・ロスの『Eat 'Em and Smile』にはどんな意味が込められているのか?

これが洋楽トリビアなわけですが、“Eat 'Em(=Eat them)”のthemは、脱退したバンド「ヴァン・ヘイレン」のことを言っているといわれています。「themをeatしてsmileする」。つまり、「あいつらを食って笑う」という具合でしょうか。

確かにこのアルバムは、R&B好きの僕でもエアーギターで暴れたくなってしまうようなジャンルレスな魅力をもった傑作ハードロックアルバムであり、聴いているだけで「あいつらを食ってやるぜ」という気合いが伝わってきます。

トリビアを付け加えれば、その2年後の88年にヴァン・ヘイレンが出したアルバムのタイトルが『OU812』であり、

これは「Oh, you ate one, too」を意味したデイヴィッド・リー・ロスへのアンサーであるとされています。(※和訳すれば、「オー、お前も同じもの食ったのか」、もしくは「オー、お前も食われたひとりなんだぜ」?)

で、篠崎愛さんの話に戻すと、彼女にとっての“them”は誰、もしくは何なんでしょうか?

公式には、アルバムのテーマは「彼女の人生にとっての二大要素である『唄(歌)』と『喰(食)』をテーマに添えている」とされていますが、そうであれば「Eating and Singing」的なシンプルなタイトルでもいい気がするわけです。

でも、違う。そんな安易なタイトルにはなっていない。彼女には、何かしらの“them”という対象があるわけです。それは一体、何なのでしょう?

ここからは完全に予想ないし妄想ですが、篠崎さんは以前、複数のテレビ番組のなかで、AKB48のメンバーが雑誌などでグラビア活動をすることに対して「やめてほしい」とハッキリ発言しています。

グラビアアイドルたちが、そのせいで仕事を取られてしまっていると…。

自分の主戦場であるグラビア活動に、“AKB”という看板を背負いながら浸食してきたAKB48系列グループのメンバーたち。それなら、今度は自分が“歌”という戦場であいつらを“喰って”やるんだ。

初回限定版に入ったフォトブックの複数の写真の中で“エビ”を食べている彼女の姿を見るに、そんな想像をはたらかせてしまいます。

とまぁ、ここまでは本当に妄想。篠崎さんは、そんなことはまったく思っていないかもしれません。でも、こういうことを想像させること自体、アーティストとして非常に魅力的だと思うわけなんです。

ニューヨークに歌の武者修行に行ったり、自らレーベルをつくってCDを出したり…。篠崎さんがそういった草の根的な音楽活動に励んでいることを、数日前まで全然知りませんでした。

ちなみに、ニューヨークでの武者修行の様子は、『ヒカリ』という曲のMVの中で観ることができます。

ニューヨークのど真ん中で奇異の目にさらされながら花魁のような格好で歌うその姿からは、彼女の歌手活動に対する熱さがこれでもかと伝わってきて、思わず鳥肌が立つほど。

出典 YouTube

歌手・篠崎愛さん、ちょっとかっこよすぎます。

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