記事提供:長谷川豊 公式ブログ

田母神氏の記事がネットに出ていた。例の同性愛者の話についてのツイートだ。

田母神俊雄氏「同性愛は異常」発言を報じるメディアを批判「言論弾圧」

田母神氏は、10日の岐阜県会議で一般質問の最中に、自民党の県議・藤墳守(ふじつか・まもる)氏が、「同性愛は異常だ」とヤジを飛ばした問題について、

「岐阜県の藤墳(ふじつか)守県議(74)=自民=が10日、本会議中、「同性愛は異常」とやじを飛ばした。これを特別ひどいことのようにマスコミが報道する。

そうすると今後同性愛は異常とは言いにくくなる。言論弾圧だ。同性愛が異常ではないと思う人は同性愛は正常と発言すればよい」

とツイート。田母神氏とは先日も番組内でご一緒した直後だし、そもそも、思想的にも考え方にも賛同する部分も少なくないのでアレなのだが、一応「アナウンサー」という職業上、またキャスターという立場上、3点だけ指摘させていただきたいと思う。

1. 「異常」という言葉がいらぬ誤解を生むこと

→「異常」という言葉の対義語は「正常」なのだが、簡単に言うと…「異常」って「正しい」の反対なので「異常」という言葉には、暗に「間違ったもの」というニュアンスが含まれてしまうのだ。

これが「生まれながらに性同一性障害」の立場の方や「同性愛者」の方々にはきつい言葉に映ってしまうのだ。

例えば、先天的なものではなく、もともとスリムな人なのに、自堕落な生活をして太ってしまった人に対して「このデブ!」と罵倒することを、私は実はそこまで否定するつもりはない。

と、言うのもそれは自分の生活が乱れている部分を非難しているだけであって、体調面を考えても、健康面を考えてもその指摘をしてあげた方が、実はその人のためになることも少なくないからだ。

しかし、生まれながらにして身体に障害があったり、生まれながらにして心と体の性が一致していないような人は…そもそもその人、何か悪いことしているだろうか?

田母神氏を初めとした、同性愛者に対して厳しい論を展開する方々はそこの視点が抜け落ちているのだ。

彼らは何も悪くないのである。彼らは何の努力不足でもないのである。

で、あれば「一般的ではない」くらいの表現の方が正しくて「間違った存在だ」というニュアンスを含む「異常」という単語は、単純に憲法の精神に逆らった表現なのだ。そこが二つ目の指摘。

2. 憲法14条にそぐわない

「異常」という単語は「間違っているのだ」というニュアンスを含む語のため、気を付けなければいけないのは憲法14条で明確に示されている「差別の禁止」に背くことになりかねない表現なのだ。

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

出典日本国憲法第十四条

明確に書かれている通り、生まれつきの人種などによって、日本では人を蔑んだり「オマエは間違っているんだ」と非難することを、日本では禁じられている。なので上記した通りなのだが…、

「同性愛者は異常!」というから問題なのであって、「同性愛者は多数派ではない」

という事実を淡々という分には全く問題のない表現となる。繰り返すが、日本では生まれながらにして持って生まれたあらゆることについて差別をしてはいけない国だ。

やはりあの岐阜県議の表現は、論理的に間違っている(もしくは誤解を生む)と言わざるを得ない。

3. こんなもの「言論弾圧」じゃない

そして、これはあらゆる相手に対して私は言っていることだが、そもそも日本には「言論の弾圧」なんてものは存在しない。言論は自由だ。日本では何を言ってもいいのだ。これも憲法21条で明確に示されている。

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

出典日本国憲法第二十一条

ただし、忘れてはいけないことは「言論」は各個人が様々持っている自由なので「批判する自由」も存在するということを忘れてはいけない。

四の五の言われて嫌でした~なんだか傷ついちゃいましたぁ~。

とか言ってるんなら、言論空間になんて参戦しなければいい。何かの意見を言えば、言うまでもなく「反論はある」それが健全な民主主義国家の在り方だ。

今回の件で言えば「異常」という言葉自体に「間違っている存在」というニュアンスが明確に含まれる言葉なので、それは批判されるべきだ。何故かと言うと、憲法の精神にのっとっていないからだ。

が、それを指摘されたと言って「言論の弾圧だ!」は少々違う。「論」に対しては何か言いたいことがあれば「論」で返せばいいだけだ。

こんなこと、つらつらと書いてきたが、私自身、心情的にはもちろん田母神氏の言いたいことはよく分かる。男は女を、女は男を愛さないと、種族が維持できない。

しかし、多数派とは違う生まれをしてくる存在は少なからずいるもので、それらを「異常=間違っている」と表現してしまうと、何の罪もない人たちが少し傷ついてしまうと想定できる。

なので、表現方法をもう少し変えた方がいいのだろう、と言うだけのことだ。

もし、岐阜県議以外にも「同性愛者は異常だ」という人がまだいれば、ぜひこのコラムを読ませてあげてほしい。論理的な反論であれば、アナウンサーとして明確にご説明できると思う。

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