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日本の仏教が大幅な衰退の危機にあると、複数の海外メディアが報じている。少子高齢化、後継者不足などのため、現在約7万7000ある寺院のうち、25年以内に約4割・2万7000ヶ所が閉鎖されると予想されている。

英ガーディアン紙はこれを、「仏教伝来以来の存続の危機だ」と記す。こうした「宗教離れ」は世界的な傾向だが、日本が特に顕著だと言えそうだ。

ロイターは、アメリカの若者たちの「教会離れ」を取り上げているが、そのスピードと規模は日本の「お寺離れ」よりはずっとゆるやかなものだ。

地域コミュニティーの崩壊が主要因

宗教ニュースサイト『World Religion News』は、既に日本の2万以上の寺院が住職のいない「空き寺」だとしている。

同サイトは、今後25年間で4割の寺が閉鎖に追い込まれるということは、「もう、美しい庭園を通って参拝することができなくなるということだ」と、日本の伝統文化の衰退を残念がる。

ガーディアンも、『Zen no more』という見出しを取り、欧米では「禅」のイメージと重なるクール・ジャパンの危機を嘆いている。

「お寺の衰退は、地方の衰退の写し鏡だ」と、ガーディアンは指摘する。日本創生会議が昨年発表した報告書によれば、若い女性を中心とした「地方離れ」が今のペースで進めば、2040年までに日本の地方自治体の半数近くが消滅するという。

寺の運営が地元の檀家の寄付で成り立っていることを考えれば、地域コミュニティーの崩壊がそのまま「仏教の危機」に結びつくのは明白だ。

仏教の危機に警鐘を鳴らす『寺院消滅』(日経BP)の著書があるジャーナリストで京都・正覚寺副住職の鵜飼秀徳氏は、「住職が金持ちだというイメージは東京や大阪のような大都市では事実かもしれない。だが、他の地域では決してそうではない」と語る。

鵜飼氏の寺には約120人の檀家がいるが、生活を維持するには200人は必要だという。鵜飼氏はそのため、ジャーナリストという副業に精を出すことにしたのだという。

『坊主バー』などの新発想で対抗するが…

衰退の流れを食い止めるのは容易ではなさそうだ。寺の大きな収入源は1回何百万円ともされる葬儀代だ。高齢化が進み、昨年は130万人近くが死亡した日本では、一見、成長分野のようにも見える。

しかし、ガーディアンは「それすらも救いにはならない」と記す。確かに葬儀件数は多いものの、社会全体が後退期にある中、既に伝統的な仏式葬儀にかかる予算を出せない日本人が大半を占めるからだという。

民間の葬儀場などで、より安価で簡素な葬儀を行う層が増えているという統計がその根拠だ。

寺院側にも、葬儀代の大幅ディスカウントで対抗する動きはあるが、ことはお金や人口減の問題だけではなさそうだ。

ガーディアンは、「1700年代初め、日本の人口は今よりも1億人少ない3000万人だった。それでも4万6000の寺があったのだ」と指摘する。

同紙は、1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件以来、仏教を含む組織的な宗教を「近寄りがたい、暗い、危険」だととらえる日本人が増え、若い世代の宗教に対するイメージがかつてないペースで悪化していることを、仏教衰退の要因の一つに数えている。

日本の宗教文化を研究している英ランカスター大学のイアン・リーダー教授は、現代日本の仏教は“葬式仏教”だと指摘する。

神道と共存する独特のゆるやかな宗教観の中、日本人は「正月には神社で祈り、死んだら寺に行く」と、同教授は米ラジオ局「NPR」のインタビューに答えている。

一部の若い住職の間では、衰退を食い止めるためには、この「仏教=葬式」のイメージの払拭が必要と考え、ボランティア活動や音楽会などの文化行事に力を入れる動きも出てきている。

特に、宗派を超えた若い住職たちがバーテンを務める仏教バー『坊主BAR』(東京・四谷)は、新しい動きの象徴として、複数の海外メディアに取り上げられている。

アメリカでも若者の「教会離れ」

アメリカでも、「ヤングアダルト」と呼ばれる若い世代の「教会離れ」が進んでいる。ロイターの報道によれば、「神を信じる」という成人の割合は、アメリカは他の先進国よりは高い傾向にあるものの、2007年の92%に対し、2014年は89%に落ちた。

「間違いなく神は存在する」と考える人の割合はさらに減少していて、2007年は71%だったのが、2014年は63%となっている。

この傾向は、1990年から1996年生まれ(20代前半)の「ヤングアダルト」の間で顕著だ。この世代では、「間違いなく神は存在する」と信じているのは約半数で、

1928年から1945年生まれの「サイレント・ジェネレーション(失われた世代)」の71%よりも大幅に少ない。

また、日常的に神に祈るのは「ヤングアダルト」で39%、「サイレント・ジェネレーション」は67%だという。

しかし、何らかの信仰を持っているというアメリカ人の割合は77%で、依然として2007年当時と同じ水準を保っている。

そのうちの3分の2は毎日祈り、宗教を非常に大切なものだと考えているという。

これらの統計を見れば、日本の仏教関係者からしてみれば、アメリカの状況はむしろ羨ましいとさえ言えるのではないだろうか。

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