記事提供:CIRCL

ジャニーズの人気グループ「関ジャニ∞(エイト)」。年頃の娘さんをお持ちの方なら名前くらいはご存じでは?歌や踊りは言うに及ばず、メンバー全員が関西出身だけあって、しゃべりも達者。女性にモテる要素を全て兼ね備えている。

そのメンバーの一人、渋谷すばる君の記事を読んで感心したことがある。彼は何でも「音」で覚えてしまうらしい(※1)。

文字で記憶する?音で記憶する?

すばる君は歌詞はもちろんのこと、例えば聞いたことのないような地名でも、その「音」で覚えられるそうだ。日本人だと人名や地名など大抵の場合は漢字が頭に思い浮かぶから、その漢字のイメージで記憶するという人がほとんどではないだろうか?

しかしヨーロッパの地名や外国人の名前など、カタカナになってしまうと何のイメージも湧かず、なかなか覚えられないし、忘れやすい。彼にはそんな苦労がないようなのだ。

ミュージシャンの特殊能力は誰でも身に付くのか?

ミュージシャンが他の人々よりも音に対する感覚が敏感であることは、想像に難くない。初めて聞いたメロディーをすぐに覚えて再現できたり、多数の楽器から成る演奏の中から一つの楽器のメロディーだけを聞き分けたりできる。

音に対する能力を研究しているアメリカのチームが最近出した論文によれば、このような能力は訓練次第で獲得できる可能性がある。

研究チームは音楽教室を主宰する街の団体に協力してもらい、3年間の音楽教育の成果をいろいろな年齢層で調べた。「音」を受け取るのは内耳の「うずまき管」にある神経だ。

ここで電気信号に変えられた音の情報は神経細胞を伝わって、中脳にある「下丘」というところに集まる。ここで情報は振り分けられ大脳の実に様々な部位に伝えられる。

考えてみれば「音」はただの空気振動でしかない。けれど長年の経験を経て、例えば足音を聞いただけで「あ、お父さんが帰ってきた」とか、台所の物音で「冷蔵庫開けてビール探してるな」など、音を区別してさらに意味を見出すことができるのである。

音楽のためだけではない音楽教育の成果

実験では「聴性脳幹反応(※3)」と呼ばれる、音刺激に反応して無意識に出てくる脳波が測定された。測定の際はスピーチを聞かせるが、その背後に雑音が入っている。雑音があると当然ながらスピーチは聞こえにくく反応が遅くなる。

実験の結果、音楽のレッスンを受け続けた子どもでは、受けていない子どもより有意に反応が速かった。大人ではレッスンを受けている人でも反応の速さに差はなかったが、雑音が入っている音への適応が、レッスンを受けていない人より速かった(※2)。

また「が」と「ば」という似た音を区別する反応を調べたところ、音楽のレッスンを受けている人のほうが、年齢に関わらずよく区別ができていた。

また幼稚園児ではその傾向がより強く表れた

ミュージシャンはさらに高い能力

ミュージシャンはこれらの能力がさらに研ぎ澄まされていると考えられる。似た音を別々に処理する能力が開発されていることで、わずかな違いの音も区別でき、それらの音を記憶する回路も発達するのだろう。

話を読んだり聞いたりする能力も向上

さらに研究の結果、音楽のレッスンを受けた生徒では読んだり、話を聞き取ったりする能力が向上していることが明らかになった。言語認識や読む能力は「リズム感」と関係があるとされる。

今回の研究からこのような「聞く」能力はある程度の柔軟性があり、訓練によって向上することが分かった。学習に困難を抱える子どもや認知症の人たちへの治療にも、音楽教育が期待できそうだ。

とはいうものの大人になってしまってからでは、すばる君のような能力はなかなか身に付かないかもしれない。音感を体得するには、やはり文字を本格的に覚える前ぐらい小さな頃からのほうが効果はありそうだ。

お子さんがピアノやバイオリンなど楽器を習っているなら、音楽だけでなく「国語」や「英語」、さらにカタカナの暗記物の多い「社会」の成績も期待できそうだ。

※1:関ジャニ∞渋谷すばるは、歌詞も地名もすべて“音”で覚える!?

※2:Emergence of biological markers of musicianship with school-based music instruction. Kraus N and Strait DL. Ann N Y Acad Sci. 2015 Mar;1337:163-9.

※3:聴性脳幹反応

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