我が家には子供が2人。長男はもうすぐ4歳、次男は1歳です。夫は働き盛りのため家にいないことが多く、長男は毎日私にこう言います。
『今日、パパ帰ってくる?』

その日、長男は39度の熱を出していました。世間は3連休でしたが、主人は仕事で全て埋まっています。加えて次男も風邪をひいていたため、乳幼児2人を外に出せない3日間が憂鬱でした。

熱があるとはいえ、子供はおとなしく寝ていてくれるわけではありません。長男とは延々と仮面ライダーごっこをしなければならないし、次男は何度引き戻してもキッチンに吸い寄せられ、引き出しの中のオタマや泡立て器を熱心に床に並べてくれます。

やらなきゃいけないことはたくさんあるのに彼らはどんどん仕事を増やす。そんなとき
『今日、パパ帰ってくる?』
いつものように長男が私に聞きました。

少しイライラしていたのもあって、
『帰ってこないよ!!パパなんかなーんもしてくれないんだからママがいればいいじゃん!』と答えました。
自分も主人に帰ってきて欲しいし、嬉しいはずの3連休が辛い、という気持ちがあったのであまりいい返事をしてあげられなかったのです。

するも長男は少しくやしそうにして、再び
『今日、パパ帰ってくる?』
と続けます。

『もう!!何回聞いてもパパなんか帰ってこんわ!』と私。熱で辛いのも、パパに帰って来てほしい気持ちもわかってあげなくてはいけないのに、長男は私よりも帰ってこないパパを求めているような気がして自分の感情のままに答えてしまいました。

しかし長男は、なぜかその後も同じ質問を繰り返します。このやり取りを何度かして、少し気になった私が『どうしたん?』と聞くと。『ママのおへんじ、そうじゃないんだもんー!!』と大きく泣き出しました。

彼は泣きながら
パパ、○○(自分の名前)たちのためにはたらいてるんだもんー』と。

・・・ああ、そうか。イライラとは別のあたたかい涙が、親としては良くないのかもしれないけれど、その場であふれてしまいました。

長男はパパが帰ってこないことなんて知っていた。ただ私に『パパ、頑張ってくれているんだよ。パパ、かっこいいんだよ』と、笑顔で返して欲しかったのだとわかりました。私が主人を尊敬し、応援している事を確認するために何度も同じ質問を繰り返したのだと・・・。

一番大切なこと、一番あなたたちに伝えてあげなくちゃいけないこと、ママは忘れちゃっていたんだね。

男性も育休を取るようになってきた世の中で、それができる企業はもちろん素晴らしいことだし、うらやましいなと思いますが、お金や職業や立場上、子供に合わせた時間を作ることが叶わないお父さんたちもきっと多い。

例外ではない主人に私は『イクメンじゃない』とか『手伝ってくれない』というレッテルを貼っていたのかな。少なくとも長男は、パパが自分たちのために仕事をしてくれることを立派な育児だと認めてあげていたのですそして私には、パパが頑張ってることをわかってあげてほしかったのだと思います。

いろんな家庭がある中で、家族ひとりひとりがその家庭での役割を果たし、お互いを理解しあった中で子供が育つということ自体が、子育てなのかもしれない。どんな仕事か、誰が働いて養うか、そんなことは自分の家族が一番好きな子供にとって大きな問題ではないようです。

ついつい溢れる情報に振り回されてしまいますが、決まりはないし比べる必要もないのですね。我が家で言えば、主人が仕事を頑張ることも、家族を養う親父の背中を私が子供たちにみせることさえも、彼らのためにしてあげられる育児になるのだとわかりました。

長男のおかげで、大晦日から元旦にかけても勤務が入っている主人を笑顔で送り出してあげられそうです。きっと彼らが見たいのは、そういう私だと思うから。

熱があって苦しいのに一番大切な人を大切にできる、彼の強さと優しさを感じました。毎日ピュアな心で親育てをしてくれる子供たちに感謝をしたエピソードです。

この記事を書いたユーザー

須藤 暁子 このユーザーの他の記事を見る

医師、コラムニスト。Spotlightプラチナ公式ライター。
大学病院に勤務する二児の母。総合格闘技、プロレス興行でリングドクターを務める。
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