「どうかこのペンを買って下さい」眠る子供を抱えてそう言いながらレバノンの首都、ベイルートの街を歩いていた男性。彼はアブドゥラリム・アラッターさん(33歳)。彼は子供を連れてシリアから難民としてレバノンにやって来ました。

子供を食べさせるためにペン売りをして小銭を稼いだ

出典 http://www.independent.co.uk

「ペンを買って下さい」街でペンを売り歩くこのシリア難民に、人は目を止めました。そしてある人がツイッターで寄付金の呼びかけをしたのです。すると世界中からアラッターさんに義援金が送られました。

オンラインで集められた寄付金はなんと日本円で2300万円にも上りました。写真を撮られたことさえ知らなかったアラッターさんは、世界中の人の親切に感動。キャンペーンがストップした後でも、更に28万円ほどの寄付があったそうです。

助けてもらった恩を返すためにお店をオープンした

出典 https://twitter.com

感動したアラッターさんは、この恩を違う形で返したいと思いレバノンにパン屋、ケバブショップ、レストランの3店舗をオープン。そして自分と同じシリア難民16人を従業員として雇いました。

更に、寄付金の一部(約310万円)をまだ危険なシリアに住んでいる友人や親族たちに送ったそうです。「みなさんがしてくれたことは、私の人生を変えただけでなく、私の子供達や、シリアに住む私の友人や親族の生活をも変えたのです。」

今回、アラッターさんのサポートのために基金を設立したのは、オスロに住むある人でした。レバノンにはPaypalのシステムがありません。そのため銀行やPaypalなどが数百万円にも上る破格の手数料を取り、実際にアラッターさんが手にしたのは寄付金の40%のみだったそう。

難民であるアラッターさんは銀行口座を持つことが許可されない為に、寄付金は代理人がドバイで引き出した後少しずつレバノンに持ち込み、アラッタさんに渡したということです。

それでも、アラッターさんは感謝しています。4歳のリームちゃんに家と食事を与えることができるようになったからです。今、レバノンには1200万人ものシリア難民がいるといいます。そのうちの3分の2が仕事がなく辛い状況なのです。

アラッターさんは、レバノンの住民とシリア難民のコミュニティに貢献したいと話しています。実はベイルートでは、2013年から立て続けにテロ行為が行われています。今年もパリの同時多発テロの1日前に過激派による爆破事件があり、37人が死亡、181人が負傷するという事件が起こっています。

パリの多発テロ事件で、ベイルートのテロ行為がメディアであまり伝えられず世間では「パリ」にばかり注目していました。そのためレバノン市民は「フランス人が犠牲になるのと同じように私達市民も犠牲になっているのに、私達のことはどうでもいいのか。」と世間から見放されたと受け取ったようです。

そういう状況の中、シリアから流れて来る人が後を絶たないレバノンですが、シリアに住むことを思えばベイルートはまだ安全なのでしょう。危険な状況であるにも関わらず、市民が自分達を受け入れてくれた恩を、アラッターさんは忘れていません。

今後も、ベイルートの人達との親交を深めていきたいと話しています。今でもすっかりコミュニティに打ち解けたというアラッターさん。「みんな私に挨拶してくれるんだ。リスペクトしてくれているのがわかるよ。」

親切にしてもらったら恩返しをする、そういう気持ちがアラッターさんにあるからこそ、その人柄は周りにも伝わるのでしょう。これからもアラッターさんの3店舗が繁盛するといいなと願う筆者です。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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