前回、イギリスではたまに自分が妊娠していることに気付かない女性がいることを記事にしました。今回、イギリスのエセックス州で起こった事件は、妊娠していると全く気付いておらずに流産した女性に対して、警察側の対応があまりにも非情で不公平だったためにメディアで話題になっているのです。

自宅で流産した29歳の女性

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4歳の娘と1歳4カ月の息子の母親でもあるローレン・ブルさん(29歳)は、早朝、トイレに行った時に大量の出血を引き起こしました。あまりの出血量に3回も倒れ、その時に自分が初めて妊娠していたことを知ったローレンさん。

不幸にも、男児を流産してしまいました。とにかくすぐに病院へ行かねばとパートナーのジャックさん(27歳)に言い、家を出る前に二人は子供達のことを考えてバスルームの大量の血を掃除。

男児は18週目~22週目だった

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ローレンさんは自分の妊娠に全く気付かないまま流産。これがどんなにショックなことか女性なら想像がつくかと思います。でもそのショックから立ち直る暇もなく、ローレンさんとパートナーのジャックさんは「乳児殺害」として逮捕されてしまったのです。

病院に行く前に掃除をしたことで警察に疑いを招いた

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ローレンさんは病院側に、自宅で大量出血した際に赤ちゃんが出て来たこと、とにかく急いで病院へ来なければならなかったために赤ちゃんを自宅のバスタブに置いて来たことを説明。すると病院側が警察に連絡。

ローレンさんとジャックさんは、あくまでも二人の子供のことを考えたまで。早朝の出来事で、これから起きて来る子供達にいきなりバスルームで大量の血を目にさせるのは良くないという親としての判断をしたことにより、警察側から「証拠隠滅を計った」と取られてしまい逮捕となったのです。

なんと流産したその日に二人とも留置場に

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病院での処置はしてもらったものの、精神的にもかなりのショックがあるローレンさんとジャックさんを警察側は逮捕し、留置場へ一晩泊まらせたのです。これはあまりにも非情な判断ではないでしょうか。

流産したばかりの女性の体と心を労わるという行為が警察側に全く見られず、更にショックを受けたローレンさん。

釈放になったものの裁判沙汰に

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「なぜ、どうしてこんなことになってしまったのか。」逮捕されて以来、近所からはまるでローレンさんとジャックさんが本当に赤ちゃんを殺害したかのように噂され、冷たい目で見られるように。

そして流産した男児の遺体も警察側に引き取られたまま。お葬式をしてあげることさえもできないのです。当然、彼らの子供達二人も児童福祉課スタッフに引き渡されてしまいました。

「こんなことになって、毎日が悪夢のようです。」そう語るローレンさん。逮捕の翌日に釈放されたものの、今は保留の身分なために来年2月までどうなるかはわからないそう。子供たちがどこにいるかも、また、いつ会えるのかも何も知らされていないという信じられない状況なのです。

仮に全て誤解だったとわかっても、近所ではすっかり殺人者扱いになっていて、誰も口をききたがらないから引っ越さなければいけないと夫妻は言います。男児ははっきり流産とその後の調べてわかっただけに、なぜ、夫妻がこんなに辛い思いをしなければいけないのか納得いかないとこの事件を知った人達は言います。

赤ちゃんの性別も新聞で初めて知っただけ

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妊娠していることに気付かなかったのですから、当然病院にも言っておらず胎児の性別もわからなかったローレンさん。でも今回のことが「犯罪事件」として報道されてしまったために、新聞で、自分は男児を妊娠していたのだと初めて知ったそう。

この日以来、眠ることができなくなってしまったというローレンさんとジャックさん。二人の子供のことももちろん心配でしょう。筆者なら勝手に勘違いされて、子供とこんな風に引き離されたら警察側を訴えるでしょう。

でも今はローレンさんはそれよりも、妊娠と知らずに流産したこと、殺人を犯したとして逮捕されたこと、二人の子供達と引き離されたことでかなりの精神的ショックを受けています。これら全てが今後のトラウマになることは容易に想像がつきます。

警察側は何故、このような非情で不公平な判断をしてしまったのでしょうか。ローレンさんとジャックさんの二人の子供のことも心配です。

イギリスはアイルランドやイタリアのようにカソリック色が強い国ではありません。つい先日、これまで中絶が違法だったアイルランドでは、レイプや近親相姦で妊娠した女性の中絶を認める法律にようやく変更されたそうですが、例えば自然流産しただけで逮捕、投獄されてしまうということが起こる国は、カソリック系のエルサルバドルで、流産や中絶に対する処罰が最も厳しいと言われています。

宗教色の濃い国は人権を尊重と説きながら、結局は苦しむ女性の人権は全く無視しています。それはそれで大きな社会問題ですが、ローレンさんのように悪意の無い流産を事故ではなく事件として扱い、しかも逮捕してしまう警察もかなりの問題といっていいでしょう。

ローレンさんとジャックさんの失ったものの大きさを思うと気の毒でなりません。赤ちゃんの命だけでなく、二人の子供達への社会的影響を考えると、今後この子供達も苦しめられることになるのではないでしょうか。

こういった冤罪事件は、いつの時代でも後を絶ちません。そして警察側は冤罪だとわかっても大した謝罪もしないまま。ローレンさんのショックと悲しみは計り知れません。このようなことが起こってしまう社会に不安を隠しきれない筆者です。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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