2016年1月30日に公開されるホラー映画「残穢」。原作は「傍に置いておくだけで怖い」といわれる小野不由美さんの同名小説です。主演の竹内結子さんも怖くて脚本をなかなか読み進められなかったという「残穢」の怖さは一体どこにあるのでしょうか?

原作小説を読んだ筆者の感想を交えながら「残穢」の恐怖に迫っていこうと思います。

ベストセラー作家・小野不由美の本格ホラー小説

出典 http://www.shinchosha.co.jp

※「残穢」特設サイトより

著者は「悪霊シリーズ」「十二国戦記」「屍鬼」など、ホラー要素を絡めた本格ミステリーや重厚な世界観を構築するファンタジー作品で知られている小野不由美さん。

第26回山本周五郎賞を受賞した「残穢」は、ドキュメンタリー形式の長編ホラー小説です。

畳を擦る音が聞こえる、
いるはずのない赤ん坊の泣き声がする、
何かが床下を這い廻る気配が……。
だから、この家には人が居着かない。
何の変哲もないマンションで起きる怪異を調べるうち、
ある因縁が浮かび上がる。
迫りくる恐怖は、どこまでが真実なのか。

出典 http://www.shinchosha.co.jp

自分の家が怖くなる!身近に迫ってくるような恐怖

著者の小野不由美さんと思しき主人公が、読者から届いた手紙をきっかけにある不可思議な現象を追っていくことになります。はじめはバラバラだった出来事の一つ一つがパズルのようにピタリと合わさった時、背筋が凍るような事実が浮かびあがってくる――。小説というより長編の実話系怪談本に近い印象を持ちました。

私たちにとって身近な「家」を舞台にした怪談だけに、読んでいるだけで自分の日常までも侵食されてゆくような不安に襲われます。

オカルト懐疑派・否定派の人も楽しめる

「残穢」は怪談でありながら、ミステリー的な構造を持っているのが特徴です。流行りの実話怪談本はおもに短編。怪異だけを描写し、あえて説明をしないことで恐怖を増幅させる、つまり読者の想像力に委ねる「怖さ」なのですが、「残穢」では主人公が実際に調査していくという点で異色です。

たとえば超常現象を霊能者の力で解決する話であれば、オカルトを信じない読者からは笑い飛ばされてしまうでしょう。しかし、小野さん自身がオカルトの存在を信じておらず、合理的な考えを持って現象を説明しているので謎解きとしても十分面白いのです。

小野さんは仏教系の大学出身ということもあり、豊富な知識に裏付けされた説明には説得力があります。

「鬼談百景」との関連性

読者から寄せられた99話の怪談が収められている「鬼談百景」。その100話目にあたるのが「残穢」です。「残穢」にも「鬼談百景」のエピソードがいくつか登場します。

「鬼談百景」を読んでから「残穢」を読むと怖いと聞き、筆者も「鬼談百景」を先に読みました。この本自体はオーソドックスな怪談集なのですが、いざ「残穢」を読み始めると怖い!

冒頭15ページあたりから嫌な気持になること間違いなし。「残穢」本編は徐々に怖くなっていくので序盤はゆるやかに進みます。しかし、「鬼談百景」を読んでいると最初から最高の怖さをキープした状態で「残穢」の世界に入っていけるのです。

竹内結子・橋本愛W主演の映画「残穢」

出典 YouTube

小野不由美さんの作品としては初の映画化となる「残穢―住んではいけない部屋―」。主人公の「私」を演じた竹内結子さんは家に帰っても怖さのあまり電気をつけたまま寝ていたそうです。現場では役になりきるために恐怖心を取り除くように努力していたそうですが、克服できるものではなかったのだとか。

原作に実名で登場する怪談界の大御所、平山夢明さん、福澤徹三さんは映画では少し名前を変えて出演しています。こちらもお楽しみに!

また、百物語怪談「鬼談百景」も映像化されるそうです。2016年1月23日にオールナイト上映イベントが実施される予定。

「残穢」の真の怖さは本を閉じた後にやって来ます。「傍にあるだけで怖い」という恐怖をぜひ味わってみてください。

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華蓮 このユーザーの他の記事を見る

子供の頃から不思議なものを見つけたら調べずにはいられない性格。ちょっと恥ずかしがり屋なのはご愛嬌。一般の人が知らない「面白い」を探すのが私の喜びです。

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