これまで、赤ちゃんが生まれることは奇跡だということを何度も記事にしてきました。子供が欲しくても何年も叶わない人もいるのに10歳で出産する子供がいたりと、世の中不公平だと思わずにはいられません。筆者の周りにも10年間不妊治療を続けて来た夫婦、また何度も何度も流産を繰り返している女性がいます。

不妊治療を続けて来た夫婦にとってのこれまでの10年間というのは、他人には想像もつかない辛い道のりだったことでしょう。イギリスでは5500人の女性を対象に慈善団体がアンケートをした結果、79%の女性が流産後は孤独や罪の意識を強く感じるようになったと述べているそうです。

また、流産したという辛い経験を周りに話したくないという人も35%います。口にすることで自分の中で消化しようと努める人と、口にすれば余計に辛いという人がいるのは当然のこと。何といっても「妊娠」は女性には最もデリケートな問題だからです。

筆者の周りには、辛い経験をしている女性が結構います。10年間不妊治療をしても子供に恵まれなかった夫婦は、今養子縁組の手続きをしています。お互いサポートしながらも精神的にほとほと疲れ果てたと口にしていました。それでも支え合っていかなければいけないのが夫婦。

でも、女性側に原因がある場合は更に辛い状況に。筆者の知り合いのある女性、これまで9回もの流産を繰り返して来ました。ホリデー中に妊娠がわかり、帰りの飛行機内で流産した経験も。女性にとっては毎回の流産は身を引き裂かれるほどの想いだと想像します。

周りにも同情されながらも「なんでできないのかしらね。」と残酷な言葉を投げかける人も。義理の家族なら遠慮がないとでもいう風に「なんでかわからないけど、彼女のお腹では子供が育たないのよね。」親戚の人達はそういうことを無神経に口にします。

流産したことのない人からすれば、何度も何度も流産するということが不思議なのでしょう。でもそれを口にすることがどれだけ女性にプレッシャーと傷を与えているか。実はこの女性、流産を繰り返しているという辛い人生に、更に追い打ちをかけるようにある日、パートナーの子供が現れたのです。

自分の体のタイムリミットが近づいている中での衝撃の事実

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もうそろそろ40代後半の彼女にとっては、女性としてのタイムリミットが近づいているという恐怖もある中で、多くの流産経験が更に彼女を苦しめていました。それでもパートナーは彼女を支え、これまでなんとかやってきたのです。

ところが、数年前にパートナーの息子の存在が明らかに。実は遥か昔に別れた恋人が、そのパートナーの知らない間に妊娠、出産していてイギリスから遠く離れたオーストラリアで母子揃って住んでいたのです。

そして12歳になった息子は「父」の存在を知りたいと母に聞き、息子自らが書いた手紙がパートナーの元へ届いたのです。

手紙にはパートナーと似た顔をした子供の写真

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女性のパートナーの元へ届けられた衝撃の事実。12年間もちろん自分の子供が存在することなんて思いもしていなかったパートナーにとっては、これ以上ないほどの人生が大きく変化しました。

遠い過去に別れた昔の恋人からは「何も援助してもらおうとは思っていない。ただ息子があなたの存在を知りたがっただけだ」と手紙に書いてあったそうです。でも写真には、紛れもなくパートナーと面影が似た子供が。そんな存在を今後無視して生きてくことなど無理なのです。

そして、その女性のパートナーはオーストラリアにいる息子に会いに行きました。以降、年に数回は連絡を取っているそうですが、一方で長年一緒にいるパートナーに子供がいると知った女性のショックは、計り知れません。

何度も流産を経験していてどんなに願っても子供に恵まれない女性の前にいきなり、パートナーの子供の存在。受け入れるのは決して簡単ではないはず。それでも彼女は受け入れたのです。彼女の寛大さには正直驚かされました。筆者にはきっとできないだろうな、と思えるからです。

今も彼女は孤独と現実と闘っている

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パートナーの息子の存在を受け入れながら、また、自分の苦しみとも闘いながら彼女は毎日を生きています。もうすぐクリスマス。遠く離れた息子へのプレゼントを選ぶパートナーを見ながらきっと色々思うこともあるでしょう。

それでも彼女は自分を信じて生きて行くしかないのです。パートナーの兄弟はそれぞれ子供がいます。賑やかな家族に囲まれることを受け入れてはいるものの、「私の子供もここにいたら」ときっと思ってしまうでしょう。

周りは彼女に同情はしていても、目の前の孫の存在がやはり大切。流産を繰り返している女性の気持ちを十分推し量ることができなくなる時も。だからこそ辛い経験をした女性達は「誰にも話したくない」と思い孤独を感じるのかもしれません。

一方で、運命の妊娠・出産をした女性もいます。彼女もこれまで8回の流産経験をしました。そしてその辛さが精神的に夫婦の負担となり、離婚に至ってしまったのです。

ソウルメイト同士のカップルにもたらされた悲劇

出典 http://www.mirror.co.uk

ジョアン(41歳)とスチュワート(38歳)は2007年に出会い3年後に結婚。すぐに子作りを開始するもののなかなか子供に恵まれず3年半不妊治療をしていました。いつも子供が欲しいと願っていた夫妻。体力や健康には普段から気を付けていたので、すぐに妊娠できるだろうと思っていたというジョアンさん。

ところが何度も流産。2012年に妊娠が発覚した時も、超音波検査で胎児の心拍停止を知ったジョアンさんは、これまでの度重なる流産でこれ以上ないほど落ち込みました。そしてスチュワートさんは自分に原因があるのでは、と自分を責めるように。

夫婦としてお互いをサポートし合わなければいけない大切な時期だからこそ、余計なプレッシャーもかかり大きなストレスにもなる。そんな中での子作りはお互いにとって悪循環。

医師は二人に「ストレスをなくすようにするのが先」とアドバイス。流産の悲しみや罪の意識で疲れ果てていたジョアンとスチュワートはこのままではお互いダメになると離婚を決意。

でもやはりお互いを必要としていた二人

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二人の間にあるストレス、プレッシャーという壁を振り払いたい気持ちで離れてはみたものの、やはり愛し合っているという事実が。二人は別れた後一度だけベッドを共にしたのです。

そしてジョアンさんの妊娠が発覚。これまで何度も流産を経験して来ただけに二人の喜びはひとしおだったそう。去年無事に生まれた娘ポピーちゃんは今1歳半に。

待ちに待った子供が生まれた今も尚、二人は別々に暮らしているそう。でもスチュワートさんは週に2回、娘に会いに来るのだとか。「別れてから妊娠でちょっとタイミングが遅かったけど、別れたからこそ何のプレッシャーもストレスもなくなったのかも。」

まだお互いに愛し合っている二人。そして念願の子供もできたのだから「これからゆっくり時間をかけて家族として修復できれば」と話すジョアンさん。ポピーちゃんのためにも、パパとママがいつも一緒にいられる生活ができるようになるといいなと思う筆者。

辛い経験を共にサポートし合って

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不妊治療の間は、女性は自分の体を責め、また男性も自分を責めたりと、ストレスばかりが溜まって行くと聞きます。妊娠した喜びも束の間で流産となれば落ち込むのは当然。そんな時に「誰にも言いたくないし会いたくない」と自分の殻に閉じこもってしまいがちな女性をサポートする男性も相当辛いでしょう。

筆者の知り合いの女性のように、ハードな現実と向き合って生きて行かなければならない人もいれば、離婚して妊娠、出産という奇跡を迎える女性もいます。人は誰しも「運命」をいうものを抱えて生きているのでしょう。悲しいかな、その運命には時に逆らえないものなのです。

でもどんな女性にとっても、流産というのは辛い経験であることに違いありません。一度でもその経験をしたら激しく落ち込む人だっています。周りができることは、無理にその人の殻をこじ開けようとしないこと。

心身ともに癒されるためには、時間がかかる時だってあるのです。とても繊細な問題なために、知人がそういう経験をすれば思わずどんな言葉をかけていいのか迷ってしまうのも正直な気持ちです。

でもかける言葉が見つからないなら、そっとしておいてあげるのもまた優しさではないでしょうか。私達が知っておかなければいけないのは、不必要な同情はかえって相手を傷つけるだけだということ。

あなたに子供がいるならその奇跡に感謝して過ごしましょう。そして今、苦しい経験をしている真っ只中だという人へ、イギリスから心を込めてエールを送りたいです。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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