一人旅をする人は変わった人?

日本の社会では、人と変わった事をする人、集団から離れて行動する人は『変わった人』という位置づけです。一人旅、ましてや長期の旅に出るなんて、とんでもないはみ出しものです。外国では、長期旅行に行ったとなると、「何を学んできたのか?」「どんな経験をしてきたのか?」とプラスに捉えた質問が投げかけられます。日本では、「遊んできたんでしょ?フラフラしてるんだね」となります。

はるか昔、交通機関が徒歩か馬しかなかったような時代では、「旅」というのは命がけでした。危険を避けながらひたすら歩き、食べ物や寝床を探し、「苦しい旅」を通して人は成長し、また多くの事を学んだものでした。しかし、今の時代では、航空券とホテルを予約し、飛行機に飛び乗って、タクシーをつかまえて観光名所や素敵なショップ巡り、誰でもがあらゆる場所へ気軽に出かけられる時代になってきました。

ここで述べる旅は、「おしゃれで素敵な旅行者」の方ではなくて、所謂「バックパッカー」と見下される事も多い「変わり者」と呼ばれる側の旅人ですが、実は、この自分で作り上げる「旅」を通して学べることは、人生に於いて、かけがえのない財産になる、素晴らしいものの詰め合わせみたいなものにもなり得るのです。

旅をつくりあげる方法

1.行き先・期間を決める

娯楽だけではなく、他の何かを求めての「旅」は数日から数週間ではなく、数週間から数カ月、長い人は一年を超える旅を計画します。学校を卒業して就職するまでの期間や、仕事をやめて再就職するまでの期間を利用する人、或いは、旅の為に仕事を辞めてしまう人、どちらにしても結構な程度の覚悟が必要ですもちろんそれだけの期間を費やすのだから、いろんな面でのリスクがあります。この『リスク』と『得るもの』を天秤にかけて、『得るもの』を選ぶ人が「旅に出る人」です。

2.前準備

まずは飛行機のチケットを取ります。3カ月など期間が限定されるFIXチケットと、帰りの日は後で選べるオープンチケット、旅先で気が変わった時の事を考えて、何度でも日にちを変更できる正規チケットなど、選択肢は色々とありますので、旅の期間や、自分の気持ちに沿って選びます。飛行機が決まったら、とりあえずの2泊程出来る宿泊先を選び予約。後の宿泊先、ルートなどはすべて現地で調達です。

パスポート、ビザ、免許証、予防接種、薬、旅行保険など、基本的な重要事項を片づける。

現地調達できるものを考えて、荷物は出来るだけコンパクトに。お金やクレジットカードなどの旅の資金はどのように使っていくのかを計画します。また、パスポートやクレジットカードなどを紛失した時に役立つ連絡先、書類のコピーや予備の証明写真も必ず持っていきます。

3.旅の進め方

自分が行きたい場所、見たいもの、やりたい事はあらかじめ少しは決めておきますが、後の宿泊先、交通手段など細かいことは全て現地で探します

ホテルではなく、ゲストハウスに泊まります。ゲストハウスは、先進国では、値段も高めなのでドミトリータイプがメジャー、発展途上国では個室シャワー付きというところが低価格で見つかります。どちらに泊まっても、清潔で十分快適に過ごせる宿泊施設はいくらでもあります。そして、併設されているカフェや、共同で使われるキッチンやリビングルームで出会う他の旅行者と情報交換をする事で旅のヒントを見つけます。

旅を通して得られるスキル

まず最初に行動を起こすための決断力、そして旅を始めるための計画力、いざという時のための危機管理能力、旅先でのほかの旅行者や現地の人と交わるための社交術、人を見る目、そして語学力の向上、一人でやり抜くための忍耐力と自立心、責任感、一つの旅を通して実践的に学べる事は山の様にあります。

これらは、学校の授業で聞いたり、何百冊の本を読んでも得られることのない、リスクを背負っても手に入れたい貴重な財産となり得るのではないかと思います。


一部では、『バックパッカー』と言うと、一括りに『変わり者』『ちゃらんぽらん』『無責任』『はみ出し者』などネガティブなイメージが抱かれがちですが、こういった種の一人旅をすることは生半可な気持ちで出来る事でもないのではないでしょうか?

旅を通しての学び

自分の生まれ育った場所を飛び出して旅に出るという事は、

「居心地の良さ」を手放す

という事です。旅に出ると、自分の思い通り、計画通りにいかないことが山ほどあります。母国語ではない言葉を駆使して、全く通じない自国の常識を抑え込み、相手の常識を受け入れながらも、必要な自己主張をする。そうした中で、相当な忍耐力と融通性を身に着けていかなければ旅を続ける事が出来ません。

これは、もしかすると、旅を通して身に着ける事が出来る最大のスキルなのかもしれません。

異なる文化に「触れる」という事

誰もが学校の授業や本で学ぶ歴史や他国の文化ですが、実際に現地に行って触れてみると学びは一気に深みを増し、人づてに聞いたのでは決してわからない本当の文化を肌で感じることが出来ます。ありきたりな様ですが、「百聞は一見に如かず」というのは本当の事です。

例えば、教科書では数行程度でしかあらわされていない様な事、教科書には載せられてさえいないような世界の事を、現地に行って、その土地に立ち、地元の人の話を聞いたり、地元にある資料を見て学んだりすることで、数行だった知識に一気に色と深みが加わります。

それは、たとえば今も根深く残るインドのカースト制度であったり、マヤ・アステカ文明の歴史であったり、昔と変わらないタイ農村部の生活スタイルであったり。または、英国の地方を駆け抜ける列車から見える美しい田園風景や、真っ白なヒマラヤ山脈、インドの黄金色の砂漠、カリブの青すぎるほどに青い海に心を奪われること。旅をしなければ想像することさえなかった世界が目の前に広がるのです。

旅人・現地の人との交流

ゲストハウスに泊まっているのは、10代20代の若いバックパッカーばかりではありません。下は10代から上は60代ぐらいまで、世界中から集まってきた人々との出会いがそこにはあります。世界中を旅してきた人々は、人種の壁、言葉の壁をすんなりと飛び超えて話せる人がたくさんいます。ここで交わされる会話は、時として旅の情報だけにおさまらない、素晴らしい人生トークだったりします。

しかし、旅の醍醐味はなんといっても現地の人との交流です。人々の素朴な優しさ、温かさに触れ、時には家に招かれ、お互いの思いを語り合い、現地の人が食べるものを食べたり、現地の人が集う場所に参加する。自分の生きてきた世界とは全く異なる文化を生身で経験するということは、学校の椅子に座っているだけでは決して学ぶことが出来ない、全く違う種類の授業を受けているのと同じ事です。

自分が今まで持ってきた価値観はひっくり返され、物事を今までとは違った角度から見る事が出来るようになったりします。今まで当然の様に享受してきた様々な物に感謝の心が芽生えます。『居心地の良い場所』に座っていては、決して知ることが出来ないものが『旅』の中には散りばめられているのです。

これだけは避けたいという事

1.薬物に手を出す 

旅行中には羽目を外す以上の許されない事に手を出してしまう人も多くいることは事実です。これだけはダメだという線引きが自分で出来る事は、一人旅の絶対的な鉄則です。

2.危険地帯に行くこと

これも基本です。外務省の通達には必ず従って危険と言われる地帯に足を踏み入れないのも絶対のルールです。また、訪れる町の危険と言われる地域、夜の外出や人気のない路地を避ける事は自分の身を守るための最低条件です。

3.近づいてくる人には絶対に気を許さない

相手から近づいてくる場合、たとえ相手が警察官の恰好をしていようが、スーツを着ている紳士であろうが、日本語がべらべらであろうが絶対に気を許さない。どんな時でも「NO」と言える冷静さと勇気を持たなければいけません。

4.その他の危険な事全般

野良犬やその他の動物にむやみに近づいたり、追い払おうとしない。外国では「狂犬病」はいまだに存在する国はいくらでもあります。「噛まれたら終わり」です。病院に駆け込みましょう。それでも、けがや突発的な病気は避けられない事でもありますので、必ず旅行保険には入っておきましょう。アルコール摂取も適度に、酔わない程度を心がける。

まとめ

何十年と続く長い人生、ほんの少しの寄り道をするのもたまには良い事かもしれません。平均寿命を考えても、80年以上ある人生のほんの数カ月、道を逸れる事で学べる事もいっぱいあります。もしも、そんなチャンスがあるのならば、思い切って一歩踏み出してみませんか?

この記事を書いたユーザー

Maria このユーザーの他の記事を見る

オーストラリア在住。息子が生まれて一年半後、夫はアスベストが原因の悪性中皮腫という、これといって有効な治療法もない、強烈な癌を発症。そして、二年の闘病を経て他界しました。今は、5歳になった息子と二人、夫の眠る地で、毎日を大切に生きています。中皮腫の闘病記・アスベストの事・死別後の息子との二人三脚の毎日をブログに綴っています。http://ameblo.jp/maria1428

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