アメリカの観測上史上最大規模といわれる大型ハリケーン「カトリーナ」が2005年にアメリカ南部を襲撃したことは、記憶の片隅に残っている方もいるでしょう。日本の地震や津波同様、この災害はアメリカ南部をことごとく破壊し大きな爪痕を残しました。

特に被害が大きかったミシシッピ州、ルイジアナ州。貧困エリアでは避難勧告が出ていたにも関わらず、移動手段をもたず、ラジオやテレビがな低所得者たちが逃げ遅れたために多くの犠牲者が出たといわれています。

テロもそうですが、こうした自然災害も多くの人が犠牲になり、街が破壊されるという衝撃は私達に大きな傷を残します。自然災害であるが故に、予知ができてもそれを100%防ぐことはできないのは、まさにテロと同じではないでしょうか。

この予知に関していえば、ハリケーン「カトリーナ」の避難勧告を知らなかったという低所得者の人達のことが当時のメディアでも浮き彫りになりました。今回は、豊かな国といわれる先進国アメリカで最も貧困の白人の町に焦点を当ててみました。

ホワイトゲットーと呼ばれるビーティビレ

出典 http://www.theguardian.com

アメリカで最も貧困といわれるこのビーティビレは、人口の54%が低所得者といわれています。人口約1700人のこの小さな町はその98.5%が白人で占められていて、19世紀中頃は石炭の需要が伸び始めたことによって、炭鉱の開発が盛んになりました。

元々、ビーティビレはアパラチア山脈の麓にあることから、炭鉱、油田、材木業が活発でした。ところが1950年代以降、エネルギー革命が進展したことにより炭鉱業が廃止に。そのため炭鉱労働者が減少し、町の繁栄と人口動態に大きく影響するようになったのです。

貧困、無教育、失望の悪循環

出典 http://www.theguardian.com

この町にはもちろん子供もいます。でも大人たちは子供達に将来ここで住み続けて欲しくないと話します。貧困が招く無教育。そして何かにチャレンジするということのない、つまりそれが経済的にできない人達の失望感。まさに負のスパイラルにがんじがらめになっている人達が、何世代にも渡って続いている町なのです。

トレイラーで生活する子供

出典 http://www.dailymail.co.uk

貧しい家の子供達は、トレイラーで生活しています。決して清潔とはいえない家庭環境に裸足で生活する子供。親はどうしたのでしょうか、この少年は伯父に育てられています。電気もガスもないトレイラーでの生活。伯父が少しの生活保護を受けていること、周りの人が協力的なこともあってなんとか生活していける毎日。

アルコール依存症や薬物依存症の人も多い

出典 http://thinkprogress.org

仕事もない劣悪な環境では、失望した人達が落ちるのは簡単。薬物やアルコール依存症になってしまう人達も少なくありません。また、車も交通手段もないために仕事場にも行けないといった人も多いとか。

では、アメリカで一番貧しい町はやはり犯罪率も高いのかというと、そうではないのです。調査では貧困故に強盗や窃盗などの犯罪は多少はありますが、殺人やレイプ、放火は皆無という結果が出ています。

この町で犯罪に手を染める人物は、必ずドラッグと関わりを持つようになってしまうのだとか。この小さな町では小金を稼げるドラッグディーラーも多く、高齢者でさえもお金のためにドラッグを売っているという事実も。町にドラッグが蔓延しているにも関わらず、警察は見て見ぬふりをしているそうです。

アメリカは、発展途上国のチャリティ活動にはとても熱心な国です。でも自国の貧困に対する問題をおざなりにしているという感じが見受けられます。一番貧しい町はこのビーティビレだとしても、広いアメリカではこれはきっと氷山の一角。

戦争などの無駄なことに国の費用を使うぐらいなら、自国の貧しい人達のサポートに力を入れるべきではないでしょうか。アメリカと島国であるイギリスの違いはここにもくっきりと表れているような気がする筆者。

貧困層では、いともたやすく負のスパイラルによる悪循環が生まれます。そして世代から世代へとそれが伝染し、人々は「貧困」という呪縛から逃れられなくなっているのでしょう。

どん底の失望の中で生きている人達は、未来への希望や光を求めて這い上がる気力さえもないのです。特にそんな町の雰囲気で育って行く子供は、どんな影響を受けるか…きっとみなさんにも想像がつくことでしょう。

筆者の住むイギリスでも、もちろん貧困エリアや貧困家庭はあります。でもイギリスでは、自国の市民をサポートするチャリティ精神がアメリカよりも高いと再認識しました。アメリカという広い国は、それだけ人口も貧困層も多いからこそ、貧しい町に暮らす人々には国のサポートが必要ではないのでしょうか。

いつも思うことですが、どうにかして誰かが手を差し伸べない限りこうした負のスパイラルは延々と続いて行くのです。この貧しい町で、これから育って行く子供たちのことを考えると胸が痛くなる筆者です。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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