年々増える一方の難民数。2014年度の統計によると、実に5950万人の人々が国をおわれて難民となりました。今年シリアから逃れた人を加えれば、さらにその数は上昇します。はたして、彼らはどこへ行き、どこで暮らすのでしょうか?

難民の現状

グローバル・トレンズ・レポート(年間統計報告書)によると、2014年末時点で移動を強いられた人の数は5950万人で新たに1390万人が家を追われた。1年間に増えた人数としては最多である。
人数が急増し始めたのは2011年からだが、これはこの年に始まったシリア紛争が大きな要因である。5950万人という数は、2014年毎日平均4万2500人が難民や、庇護申請者、国内避難民になったことを意味する。この数は5年間で4倍に膨れ上がり、世界中で122人に1人が難民、避難民、庇護申請者になったことになる。また5950万人は世界で24番目に大きな国が出来る規模である。

出典 http://www.unhcr.or.jp

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このグラフを見ても分かる通り、その大半はシリアからの避難民です。

イケアが打ち出す解決策

出典 http://www.bettershelter.org

これまであったテントの概念を覆した画期的簡易住居、ベターシェルター。

イケア(IKEA International Group)は、スウェーデン発の世界最大の家具販売店です。ヨーロッパ、北米、アジア、オセアニアなど、世界中に一大展開しています。このイケアが、難民が一時的にでも暮らすことが出来る、簡易住居(Better Shelter)を開発しました。

2013年にはプロトタイプが開発され、後は発注を待つばかりでした。しかし、2015年になってにわかに避難民の数が増し、今年だけで既に10000個のテントが受注されました。これだけを聞けばただの商売になりますが、イケアはここまでを全て非営利で行っています。

ベターシェルターは、イケアの非営利団体であるイケアファンデーションによって運営されています。彼らの任務は、様々な要因により難民となった人々に仮の住まいを提供することです。母体となるファンデーションは、恵まれない地域の児童教育を基盤に、収入の確保、住居の確保、そして医療の供給に焦点を当てて活動しています。

ベターシェルターのここが凄い!

出典 http://www.bettershelter.org

どんな環境下でも抜群の耐久性を誇るベターシェルター。需要は高まるばかりです。

イケアが提供するベターシェルターは、先ずその耐久性がずば抜けています。ユニセフがこれまで提供していたテントでは、過酷な環境下では半年ともちませんでした。ところが、ベターシェルターなら3年は利用することが可能となりました。それでは、以下にその性能をご紹介します。

1. テントはたった3つの部位から成り立っている

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3つの部位からなるテント。

テントは3つの部位から作られており、フレーム、パネル、そして太陽光発電装置に分かれている。太陽光パネルは屋根に設置され、蓄電量はテント内の照明と電化製品に使用するには十分である。

出典 http://www.techinsider.io

ベターシェルターの太陽光パネル。小さくても性能はピカイチです。

2. テントの組み立てには特別な工具を必要としない

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テント自体は二組の段ボール箱に梱包されて来ます。重量は大人4人で運べるくらいに軽量です。

テントの設営は非常に簡単であり、誰もが作れる構造になっている。材料は、大人4人が運べる大きさの段ボール箱2つに梱包されており、組み立てに要する時間は4~8時間となっている。

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組み立ては簡単。特別な工具も要りません。

3. 頑丈なロックで施錠も可能

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従来のテントにはない堅固な作りと施錠システム。

難民の間による盗難、性的虐待を防止するために、テントには丈夫な鍵が取り付けられている。高さは6フィート(およそ183センチ)あり、大人が腰を屈めることなく生活できる。広さは57スクエアフィート(約5.3平方メートル)ある。

4. 全天候に耐えられる設計

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地中には杭を打ち込みます。これにより、強風にも飛ばない頑丈な作りに仕上がります。

従来のテントのようなロープやフックがない代わりに、地中に杭を打ち込みその上に組み立てることになる。そのため、強風が吹いてもテントが損傷することはない。四方の壁に使われるパネルは、雨にも、風にも、雪や太陽光線にも強く、過酷な環境下でもある程度の快適さを得られるようだ。さらに、換気のための窓が4つ設置されていて、そのどれもが蚊の侵入を防ぐ仕組みになっている。

全体的には、71本のパイプ、35枚のパネル、施工時間は最長でも8時間しかかかりません。解体するのにもそれほどの時間はかかりません。しかも、取り壊したテントは完全リサイクルが可能で、エコに優しい仕組みになっています。

世界にはこのテントがいつまで必要なのか?

イケアが製作したこの画期的なテントのおかげで、多くの難民が雨風を凌ぐことが出来ます。ユネスコは、今後もベターシェルターの発注を続けることでしょう。人道支援のサイクルとしては、素晴らしい図が完成しつつあります。しかしながら、この図にはなにか大きなピースが欠けているように思えます。国の政情が安定していれば、難民が生まれることはありません。戦闘に予算を投じなければ政策が頓挫することはなく、飢餓に苦しむ人はいなくなるかもしれません。国を二分してまで争う愚行を犯さなければ、破壊ではなく建設に労力を費やせます。難民を生まなくするには、戦争よりも平和を維持することに思考をスイッチすれば済むはずです。難民が暮らせるテントが作られたことに感動するよりも、そこに暮らす人が減ることを喜びたいとは思いませんか?「今出来ることをする」のが人のあり方だというのなら、直ちに戦いを止めることが難民を作らない最良の方法ではないのでしょうか?言うは易し行うは難しとは言ったものの、思いは実現するのも人の能力のはずです。出来ないのは、ただやろうとしないだけなのではないのでしょうか?

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今季おススメのアニメは「うしおととら」。海外ドラマでは「ブラックリスト」。これまでに見た映画の中では、個人的トップ10の常連である、「フィッシャー・キング」です。

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