生まれて来た我が子に障がいがあるとわかれば、我が子であっても簡単に捨てる親がこの世に存在します。そしてその子供を養子として新しい家族が受け入れる体制は、日本よりも海外の方が進んでいます。

今回、一人の障がいを持つ男の子が新しい家族となる人達と初めて出会いました。でもこの出会いはまさに「運命」の出会いだったのです。

カザフスタンで生まれたキリルくん

Licensed by gettyimages ®

生まれてすぐに「障がい児を育てることはできない」と実親に捨てられたキリルくん。孤児院で育った彼は、お風呂にさえ入ることの無かった生活でした。たまに体をタオルで拭くだけ。

他の子供が親に注いでもらっている愛情を、全く持つことができなかったキリルくん。何度か養子の話が出ましたが、今回ようやく3年という期間を経て新しい家族の待つカナダへとやってきました。

「自分と同じだ。」キリルの写真を見たクリスが涙した

出典 http://www.cbc.ca

養子手続きのために、カナダ在住の新しい家族には既にキリル君の資料を渡してあったそう。その中の写真を見て、引き取り人となるダグさんとレズリーさん夫妻は「父に見せなきゃ。」と思ったのです。というのも、ダグさんのお父さんのクリスさんは、キリル君と全く同じ右腕がないという障がいを持っていたからなのです。

「私と同じだ。」写真を見たクリスさんは涙を流しました。そしてカザフスタンから4歳のキリル君を連れてカナダに戻ってきた時に、空港に出迎えたのはクリスさんでした。運命ともいえる瞬間が二人の間に訪れたのです。

「キリル、ほら、触ってごらん。おじいちゃんもキリルと同じなんだよ。」目線をキリルに合わせ、自分の腕を触らせたクリスさん。クリスさんがキリル君へ伝えたいことはたったひとつのこと。

障がいを持っているからといって人生には影響されない

Licensed by gettyimages ®

右腕がないクリスさんは、これからキリル君と同じ障がいを持つ大先輩としていろんなことを教えていきたいと話しています。また、肝心なことは「右腕が欠けているからといって、自分の人生も欠けていると思う必要はどこにもない」ということをいつかキリル君に伝えたいそう。

クリスさんもこれまで生きて来た長い月日の中で、一度や二度ならず、障がいを持っていることで苦しみ、葛藤した日々もあったことでしょう。

それでも精一杯みんなと変わらないように人生を歩んで、ビジネスマンとして成功してきたからこそ、キリル君の模範教師として、そしてもちろんおじいちゃんとして、キリル君が自分の人生を強く生きていけるようにサポートしたいと思っているのです。

「おじいちゃんだってできるんだからあなたにもできるわ!」

出典 http://www.dailymail.co.uk

新しくキリル君の母となったリンジーさんは、常にキリル君を励ましサポートしています。「おじいちゃんができるんだから、あなたもできるわ!」この一言は、キリル君に自信をつけました。

「なんでもチャレンジしてみよう、きっと僕にもできる!」そう思い何にでもトライするようになったキリル君。新しい家族の愛に恵まれただけでなく、クリスさんという力強い味方がいることも、キリル君にとって幸せでしょう。

孤児院ではお風呂に入ったことがなかったキリル君は、今、お風呂が大好きに。「こんなにお風呂の好きな子供見たことないわ。」とリンジーさんとダグさんを驚かすほど。キリル君を養子として迎える決心をした時、孤児院側は何度も「右腕のない障がい児だがかまわないのか。」と聞いてきたそうです。

「自分の義父が同じ障がいを持っているからこそ、キリルを受け入れる決心をしたんです。」そういうリンジーさん。今、クリスさんは、運命ともいえる可愛い孫ができ「キリルはワシのもんだ。誰にも渡さんよ。」と話しているそうです。空港でキリル君に会った瞬間に、深い愛情を感じたクリスさん。

キリル君も、これまで過ごしてきた辛い孤児院生活や、両親がいなかった孤独も寂しさも乗り越えて、これからは新しい家族と共に素敵な思い出をたくさん作っていって欲しいと思います。

実親と一緒にいることが必ずしも子供が幸せになるとは限らない

Licensed by gettyimages ®

障がいがあるからといって、キリル君を養子に出すことになんの躊躇いもなかったという実親は、同じ年頃の息子がいる筆者から見れば冷酷な親のように思えます。

でも、子供は実親と生活することが必ずしも幸せになれるとは限らないのは、きっとみなさんもご存知でしょう。実の親であってもネグレクト、虐待など色々社会には問題があります。

子供を不幸のどん底に落とし、生きる光を奪うぐらいなら、養子に出し、新しい家族の愛に包まれて生活する方がよほどマシなのかも知れません。世の中には子供に恵まれない人も多く存在する中で、産んでいらないから養子に出すという親もいるのが現実社会。世の中は不公平だと思わざるを得ません。

生まれて来た何の罪もない子供は、小さくても確かな個体であり一つの命なのです。最近、日本でも虐待が多く「親が子供を捨てる・殺す」という話を耳にする度、胸が痛みます。子供にも人として幸せになる権利は十分にあるのです。

キリル君に、希望の光が見えて本当に良かった。彼のこれからの人生はきっと愛に満ち溢れたものになるでしょう。そして自分がいつか親になる日が来たらこの家族のことを深く感謝するに違いありません。これからも幸せに、強く生きて欲しいと願う筆者です。

この記事を書いたユーザー

Mayo このユーザーの他の記事を見る

公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

得意ジャンル
  • 話題
  • 社会問題
  • 動物
  • 海外旅行
  • 育児
  • テレビ
  • カルチャー
  • 美容、健康
  • ファッション
  • 感動
  • コラム
  • おもしろ

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス