これは、以前の会社での出来事ですが、

朝、出勤すると「ありがとう。使わせてもらったよ」・・と、同僚から嬉しそうにお礼を言われて、〝はてぇ?私は、何かお礼を言われるようなことをしましたか?〟と、驚いたことがありました。

子どもの素直な疑問

その日、仕事がお休みだった私の同僚は、保育園の年長さんになる姪っこちゃんが熱をだしたので、どうしても抜けられない仕事がある母親の代わりに、前日からお泊まりで子守に行ったそうです。

朝、母親が仕事に出かけ、軽く朝ご飯を食べてクスリを飲んだ姪っこちゃんも寝息を立てて眠ってしまったので、同僚は家から持ってきた本を読みながら時々眠っている姪っ子ちゃんの部屋を覗いていました。

2時間後に覗くと、姪っ子ちゃんは布団の上に紅い顔をしておとなしく座っていたそうです。
「あーちゃん、おきたん。喉渇いてないか?」と同僚が尋ねると、小さな姪っ子ちゃんはコクンと首を立てに振って頷きました。そして、ジュースを飲んだ姪っ子ちゃんは唐突に「どうして先生は、あーちゃんが嘘ついたって言ったの?」と聞いたそうです。

保育園での出来事

話は前々日の保育園に戻ります

この日は運動会の練習と、それが終わってから来年小学校に入る年長さんは、鉛筆を使って字を書く練習をしましょう・・というプログラムが保育園で組まれていました。

ですので、各家庭に2Bの鉛筆を3本以上、ちゃんと削って持ってきて下さいという連絡がされていました。

まだ、鉛筆削りを持っていなかった同僚の姪っ子ちゃんは、近所に住む親戚のお姉ちゃん(中学2年生)が、学校から帰ってきたら新しい鉛筆を削って貰う約束をしていたので、嬉しそうに母親に買ってもらった鉛筆4本を持って行ったそうです。

すると、その親戚のお姉ちゃんが「お母さんに買ってもらった鉛筆は、新しいから小学校で使い。保育園で練習するんやったら、お姉ちゃんが使っていた鉛筆あげる。それに、あーちゃん、まだ手が小さいし、初めて使うのに新しい鉛筆は長すぎて使いづらいかもしれんから」と、丁度、3分の1ほど使って少しだけ短くなった鉛筆をくれたそうです。

朝から運動会の練習と、初めて使う鉛筆・・、姪っ子ちゃんは緊張して何度もカバンの中に鉛筆が入った筆箱があるのを確かめていたそうです。



さて、運動会の練習も終わりに近づいた頃・・。

姪っ子ちゃんは身体がしんどくなってきて、我慢出来なくて先生に「先生、しんどい」と訴えたのです。

姪っ子ちゃんのクラス担当の先生は今年入った新人先生。慌てて先輩先生に報告すると「運動会の練習がいやで嘘ついてるのと違う」と先輩先生に言われ逆らえずに・・。

姪っ子ちゃんに、「本当に、しんどいん?」と尋ねる新人先生に、正直に「うん」と答える姪っ子ちゃん。

「やっぱりしんどいそうです。お母さんに連絡します」という新人先生に・・。

「鉛筆忘れたんと違う。それで、しんどいと嘘言うてるんやわ」と、初めに聞いた先生とは違う先生が言って・・。

「鉛筆、見せなさい!忘れたんやろ。忘れたから嘘ついて!」と、姪っ子ちゃんにまた違う先生が怒鳴ったそうです。

「持ってきたもん」という姪っ子ちゃんに、先輩先生3人が「見せなさい」の合唱で・・、新人先生は、なにも言えずに姪っ子ちゃんを連れてカバンの中にあった筆箱を出してみたそうです。

「あります。ちゃんと鉛筆4本、消しゴムも持ってきてます。お母さんに連絡します」という新人先生に・・。

「まぁ、使い古しの鉛筆、新しい鉛筆を買ってもらわれへんから、それが恥ずかしいから、しんどいと嘘ついたんやろ。あんた、そういうとことちゃんとみて言わんとあかんよ」と、先輩先生3人が新人先生に怒鳴ったのだそうです。

「恥ずかしかったん?」と聞く新人先生に姪っ子ちゃんは、「違うもん、お姉ちゃんが新しい鉛筆は小学校に入ってから使いって、あーちゃんの手は小さいからって、お姉ちゃんが、あーちゃんの手にあう鉛筆くれたんやもん」というと・・。

「家に新しい鉛筆があるんやね?」

「うん、ある。お母さんが4本買ってくれた」と言うと・・。

「嘘・・、違うかったん・・や・・」と、3人はひそひそ話し始めたそうです。

が、ここで、もうしんどい身体が限界だったんでしょう。
姪っ子ちゃんが「先生、しんどいぃ-」と大声で泣き出したので、そこで、やっと妹さんのところに連絡が来たそうです。

結果、姪っ子ちゃんは38度近くの熱があり・・。嘘など、これっぽっちもついていなかったのです。


独身貴族の伯母の思い

翌日、熱があるので休むという連絡を入れた妹さんに、新人先生は前日の出来事をすべて話してくれて・・、(どうやら、日頃から、この古参の・・。3人の先輩たちに何かといじめられていたそうです)妹さんに「本当に、すみませんでした」と謝ってくれたそうです。

その夜、妹さんの家に行った同僚は、妹さんからこの出来事のすべての話を聞き、その保育園の古参の先生3人に対して怒り心頭でしたが、紅い顔でしんどそうに寝ている姪っ子ちゃんの耳に人の悪口は聞かせたくない・・と、(それでなくても、嘘つき呼ばわりされて傷付いている気持ちを考えて)なにも言わず我慢したそうです。


そして・・。

どうして先生は、あーちゃんが嘘ついたって言ったの?」と聞かれ、「嘘ついてないのに、嘘ついた言われて、あーちゃん悲しかったなぁー」と言うと、姪っ子ちゃんは頷いたそうです。

「あんな、あーちゃんの先生、他の先生からイジワルされてるんやて、それで、その先生3人は、あーちゃんが嘘をついてるとイジワルしてきたんやと思う。思うけど、本当は、おばちゃんもイジワルする人の気持ちなんか分からんねん」と、妹さんから聞いた話を嘘はつかずに、なるべく姪っ子ちゃんが理解で来るように話そうとしたそうです。

「うん」

「そやねん、あーちゃんもイジワルな人の気持ちなんか分からんな-。そやけど、お母さんに謝ってくれた、あーちゃんの先生の気持ちは分かるよ。あーちゃんの言うことを、もしかして嘘かもと思ってしまってごめんね、イジワルな先生から守ってあげられなくてごめんね、と・・。あーちゃんの先生は思ったんやないかな。そやから、お母さんに正直に話して、謝ってくれたんやと思うよ」

「うん」

「あんな、あーちゃん。おばちゃんが働いている会社の友達のお祖母ちゃんが、ええこと教えてくれる人なん」

「うん」

「『ありがとう。』と、『ごめんなさい。』を素直に言える人は幸せになれる。けど、言えん人は幸せにはなられへん・・、って友達に教えてくれたんやて。それはなんでか言うたらな、ありがとうもごめんなさいも、嬉しいなぁ~って、心がウキウキするから ありがとう が言える。悪かったなぁ~って、心がチクチクするから ごめんなさい が言える。素直な心がちゃんとあるから言える言葉やねんて。」

「うん」

「そやからな、熱が下がって元気になって、保育園に行ったときに、先生があーちゃんに『ごめんなさい』て言ってくれたら許してあげ。先生も幸せになりたいんやから許してあげ。それで、あーちゃんも先生の幸せのお裾分けもろたらええと思うよ」と話したそうですが・・。上手く伝わったか自信は無かったそうです。


ですが昨夜、姪っ子ちゃんから、保育園に行くと先生が姪っ子ちゃんに謝ってくれたと嬉しそうに話す電話があったそうです。

同僚は、確かに保育園の先生たちには腹が立った。でも、それで先生の悪口だけを姪っこちゃんに言って終わる終わり方はイヤだったのだそうです。

同僚は、姪っ子ちゃんには、自分が悪いことをすれば素直に「ごめんなさい」が言えて、人から何かして貰ったら「ありがとう」とお礼がいえる子になって欲しいと、私から祖母の話を聞いた時に思ったのだと言いました。

今回の出来事は、それ自体はイヤなことでしたが、ちゃんと自分の思っていたことを姪っ子ちゃんに伝えることが出来たから、自分もちゃんと私に「ありがとう」を言いたかったのだそうです。

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知らないことが知りたくて、メンタル、カルマ、礼法に漢方スクール…etc.とお勉強。で、ですね、人を動かしているのは無意識、でも、この無意識を味方につけるとスゴいんだ~と気づいたら…、なぜか、「えっ?!そうくるかぁ~」と、色んな場面に遭遇しれしまう…という面白いことが起こりだすのでした。

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