どうやって食べるという行為を学ぶんだろう?

WHO(世界保健機関)が推奨する離乳食開始時期の生後半年が近づいてきた頃、ミルクを飲むわが子を見ていて思い始めました。

「一体どうやって『食べる』という事の概念を教えたらいいんだろう?赤ちゃんは、口に入ってきたものを飲み込むという行為をどこから学ぶんだろう・・・」。


この疑問を解消すべく、片っ端から「離乳食」について調べはじめました。古今東西の離乳食について調べまくり、最終的に筆者がたどり着いた先にあったものが、イギリスでは主流になってきていると言われる、

『Baby Led Weaning (ベビー・レッド・ウィーニング)』

という離乳方法でした。早速、本を取り寄せて読み始め、自分の中で納得し、「これだ!」と思えた時、この方法を取り入れることに決めました

教える必要なんてなかった

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赤ちゃんに睡眠、排せつの方法を教える必要はありませんよね?寝る事や排せつ、ミルクを飲むことは生まれた時からすでに身についている事です。歩く事も、子供自身が、歩く時期を知っているから教える必要はありません。親は、子供が立ち上がり、歩きだすのを見守るだけです。「食べる」という行為も、これらと同じことという考え方が、『Baby Led Weaning 』というものです。

「ベビー・レッド=赤ちゃんが自ら行う」
「ウィーニング=離乳」

子供自身が自らの探求心、好奇心を発揮して、食べ物に触れ、口に入れて、飲み込むという行為を通し、何かを食べるという行為だけでなく、食べる事の喜びを学んでいくというものです。

離乳食は与えない

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「離乳食を作らないなんて!」と、日本のほとんどのお母さんが青ざめてしまうかもしれません。実際に筆者の日本に住む友人たちはドン引きしていました。

しかしながら、この方法は何も今に始まったものではなく、ずっと昔からあった離乳法なのです。

「ベビー・レッド・ウィーニング」では、親がスプーンで子供に食べさせることはしません。家族で同じ食卓につき、赤ちゃんも家族の一員として、一緒に食事を楽しむのです。

食べ物をとろとろのピューレ状にしたり、すりつぶしたりはせずに、赤ちゃんが持ちやすい大きさに切った、硬すぎないものを与えます。ヨーグルトなど、形がないものを与える時も、親が食べさせるのではなく、スプーンを渡して、子供自らが食べ物を口に運び、食べる量を決めて、食べ方を学んでいくのを見守ります。


ちなみに、栄養面においては、離乳食(ベビー・レッド・ウィーニング)を始めて、1歳に達するまでの半年はあくまで学びの期間と考えられています。野菜やお肉、ご飯にパン、いろんな食べ物に触れ、学んでいく事で、その後の食生活をスムーズにしようという事です。実際にこの方法で離乳した子は偏食が少ないというエビデンスも出ています。1歳までは、母乳或いは、粉ミルクが赤ちゃんのメインの栄養源、食事は補完という考えで、栄養面を考えすぎてストレスにならないよう、楽しく、リラックスして離乳を進める事ができます。

危なくないの?

赤ちゃんは、食べ物が口に入ってきた時、量が多すぎたり、口の中を通過するスピードが速すぎる場合「えずく」という反応を起こします。大人でも、自分が食べられないような物を食べたとき、「オエッ」っと涙目になってしまう事がありますよね?


口の中には、この「えずき」を引き起こす反射ポイントがあり、私たちが食べ物を口に入れた時に、通常通りに飲み込めない場合はこの反射が引き起こされることにより、食べ物が口の前方にもどってきて、「誤嚥(ごえん)」を防ぐことができるのです。
赤ちゃんの場合は、大人のそれよりもずっと前方にこの反射ポイントがあります。「食べる」という行為を学び会得していくために、「えずき」は、赤ちゃんにとって大切な自己防衛反応の一つなのです。

また、「誤嚥」というのは、水であっても、ピューレ上の食べ物であっても、硬い食べ物であっても起こりうることです。赤ちゃんにとって、すりつぶされた食べ物が形のある食べ物よりも安全であると言える根拠は何もないのです。

そして、どんな食べ物を食べさせるときも「誤嚥」に対する防止対策は絶対に欠かせないことです。

噛めるの?

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歯の生えそろっていない赤ちゃんに食べ物を噛むことが出来るのか?と疑問に思う方はたくさんいらっしゃると思います。意外にも歯茎でしっかりと噛めるものなのです。硬すぎるものは当然避けなければいけませんが、想像以上に歯茎は強いものです。きゅりや、ゆでたニンジン、パン、スパゲッティなど、筆者の息子は生後半年からはじめて、1歳までの間にいろんな食べ物を口にし、驚くほどに楽しんで食事が出来るようになっていきました。

何を食べさせるのか?食べさせてはいけないものは?

「Baby Led Weaning」におすすめの食べ物をご紹介します。赤ちゃんが手で持ちやすい様にやや細め、長め切ることが大切です。

・少し柔らかめに蒸したニンジン

・茎のところを持てるように切って、蒸したブロッコリー

・アボカド

・きゅうり

・柔らかめに蒸したアスパラガス

・スパゲッティとソース

・蒸した鶏肉

・家族が食べているもの(塩なし)

食べさせてはいけないもの

丸いものは、幼児になってからも誤嚥の危険があります。赤ちゃんも当然ぶどうやミニトマトなどの丸くて、ある程度の硬さのあるものは避けなければいけません。食べさせるときには、必ずカットすること、柔らかめに出来るものは柔らかめに調理するようにしてください。この他にも、ナッツ類は誤嚥のリスクが非常に高いので、離乳時には絶対に避けてください。

安全に食べさせるために注意すべき事

従来の離乳の方法を選ぶにしても、Baby Led Weaning(ベビー・レッド・ウィーニング)を選ぶにしても、食事をさせるときには必ず注意しなければいけないことがあります。

安全のために必ず守ってほしいことを
1.上記の様なリスクの高い食べ物を避ける
2.食事中絶対に一人にしない
3.4カ月以下の乳児に固形物を食べさせない
4.ベビー・レッド・ウィーニングは生後6か月から行う
5.まっすぐに座って、食事に集中できる環境を整える
6.「えずき」と「誤嚥」の違いをしる
7.「誤嚥」の時の対処法を学んでおく(ネット・本・講習など)

「えずき」と違い、「誤嚥」の場合は、子供は声が出なくなります。顔色も赤ではなく、真っ青になります。泣くこともできず、呼吸が阻害されます。誤嚥が確認された場合は、ただちに適切な対処を施して下さい。

誤嚥時の対処法 ベビー編

出典 YouTube

まとめ

リンゴを堪能する筆者の息子です。

どんな方法で母乳やミルクから食べ物に移行していくのか、最終的にはそれぞれの親が良いと思った方法で決める事です。一人一人の赤ちゃんは、それぞれに個性があります。発達が少し遅れていたり、何らかの原因で飲み込みがうまくできない赤ちゃんだって当然います。筆者は、母として息子をみていくなかで、これが最良の方法だと判断し、「Baby Led Weaning」を取り入れました。そして、良かったと思っています。

何よりも、とにかく楽しかったです。この方法だと、毎回食事のたびにドロドロになります。食べ物が床にもいっぱいこぼれて、子供の服も手も、顔もぐちゃぐちゃに汚れてしまいます。しかし、子供が、好奇心をもって食べ物に手を伸ばし、自分で触って、感じて、そして口に入れてみて、笑顔になったり、嫌な顔をしたり一歩一歩成長していく姿をみる事が喜びでした。うどんやスパゲッティも、短く切らなくても、自分で上手にすすること、噛み切る事、ちゃんと出来ていて驚かされることもいっぱいでした。

子育てをしていると時には大変なこともあるけれど、自由に、楽しんで、自分にしか出来ない自分だけの育児を大切に、子供の成長を温かく見守っていきたいものです。

この記事を書いたユーザー

Maria このユーザーの他の記事を見る

オーストラリア在住。息子が生まれて一年半後、夫はアスベストが原因の悪性中皮腫という、これといって有効な治療法もない、強烈な癌を発症。そして、二年の闘病を経て他界しました。今は、5歳になった息子と二人、夫の眠る地で、毎日を大切に生きています。中皮腫の闘病記・アスベストの事・死別後の息子との二人三脚の毎日をブログに綴っています。http://ameblo.jp/maria1428

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