今や、悲しいことに世界はすっかりISISとの「戦争」態勢に入ってしまいました。パリの同時多発テロを引き金にしたかのように、ISISは次にニューヨークを、またイギリスの女王を狙うといった脅迫状を公開。

筆者が住んでいるイギリスでもキャメロン首相が「ISISは次にイギリスを攻撃する可能性が十分ある」と発言し、市民を更に恐怖に陥れました。そしてネットでは「テロに備えて」というファイルもダウンロードできるようになっています。

時間が経つにつれ、先週起こったパリの同時多発テロの詳細が徐々に明らかになってきました。実際に現場にいた人達がFacebookでその恐怖を告白したりしています。そして筆者が目に止めたのは、ある一人の母親のことでした。

自らが盾となり5歳の息子を銃弾から守り抜いた

出典 http://www.mirror.co.uk

襲撃され、多くの命が犠牲となったバタクランコンサート会場に、エルサさん(35歳)は母のパトリシアさん(61歳)と息子のルイス君(5歳)といました。突然起こった銃撃戦に、エルサさんとパトリシアさんは自分の体を盾にしてルイス君を守ろうとしました。

二人に守られて一命を取り留めたものの、病院に運ばれたルイス君は全身おびただしい血を浴びていました。盾となり自分をかばってくれた母と祖母の血だったのです。

悲しみにくれるエルサさんの友人が追悼の意を込めてフランスの雑誌「Le Point」にこのようなコメントをしました。

「エルサにとってルイス君は太陽のような存在でした。命と引き換えに息子を守った素晴らしい母エルサは、いつも笑顔を絶やさない明るい女性でした。そして素晴らしいチェロ奏者でした。エルサは、チリのピノチェトの独裁政治を逃れてフランスに来たエルサのお母さんの血を引いて、いつも正義感に満ち溢れていました。」

出典 http://www.mirror.co.uk

89人の犠牲者と100人以上の負傷者を出したバタクランでの襲撃事件。犠牲者への追悼のために劇場前には花やキャンドルがたくさん置かれています。涙を流しながら祈りを捧げる人々たち。

ルイス君は助かった命と引き換えに、大切な母と祖母を失ってしまいました。恋人や、家族、友達を失った多くの人のことを思うと筆者も毎日メディアで事件を追ってはいるものの、胸が痛いです。

自分の生活している場所が、いつ、狙われるかもわからないのです。でも母であるならどんなことをしてでも我が子を守り抜かなければいけません。パニックの中で「ルイスを守らなければ」と咄嗟に判断したエルサさんは、立派な母親でした。

助かった人達は、今後、この事件がトラウマとなって苦しい思いをする人もいるでしょう。まだ幼いルイスくんの精神にどんな影響があるかも計り知れません。でも、母と祖母の体を盾にして守られた命を大切にして欲しい、そう思います。

イギリスでも厳戒態勢

出典 http://metro.co.uk

筆者の住むイギリスでは、特にロンドンが緊迫な雰囲気で武装警官があちこちにいるという状況。人々は不安を隠せないまま、それでも日常生活を送っているのです。

世界がすっかり「戦争」態勢になってしまった今

出典 http://metro.co.uk

ISISの攻撃に対して、守らなければならない大切なもののために政府は戦うと宣言しています。ただ、この「戦争」態勢の空気が常に私達市民に緊張とストレスを与え、関係のない差別問題まで広がり、どこかで誰かが傷ついているのです。

繰り返し行われるテロリストの殺戮行為は決して許せることではありません。それでも、私達市民が自分達の命を守るためにできることは「逃げる」「隠れる」という二つだけなのです。政府の戦闘態勢と一般市民にできることのギャップがあまりにも大きく、余計な混乱と悲劇を招くことなるのではないかと不安な筆者。

この世に神が存在するならば、ISISは神によって裁かれてほしいと強く願う毎日です。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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