記事提供:mama・coco

少し前に、珍しく通勤時間帯の電車に乗った時のこと。

通勤時間帯といってもピークは過ぎていて、9時すぎでしたが、車内はまあまあ混んでいて。私が乗った数駅後にベビーカーに子供を乗せたママが乗車してきました。

子供は3歳くらい。電車に乗るとすぐに携帯を見せていましたが、電車の走る音で

「音が聞こえない!もっと大きくして!!!!!!」

と怒っていました。

とはいっても混んでいる車内で声を大きくできないママはあまり音量を上げることもできず…、子供はだんだんイライラしてきました。

「ヤダー、こんなのいらない!」と言って携帯を投げようとしたり、「聞こえないー!!!」とベビーカーで足をバタバタさせたり、「これじゃない!」と違う動画を指定してママにやらせたり、

シーンとした電車の中で大騒ぎ…。

周りを見回すと

眉間にしわを寄せて目をつぶっている人

ジロジロと上から下まで見ている人

明らかにイラついている様子の人

何度も振り返って視線を送る人

ママの顔は見えなかったけれど、いてもたってもいられなくなった私は思わず人混みをかき分けてママの近くに行きました。

やっとベビーカーのそばまでいって男の子に話しかけました。

「何見ているの?」

とても人懐っこい子で、私が話しかけると照れ笑いしながらもじもじしていました。

「電車好きなの?(電車の動画見ていた)何色の電車が好き?これ、なんていう名前か知ってる?」

と話しかけると、男の子はしばらく得意げに電車の話をしていました。

会話に飽きるとアンパンマンが見たいと言い出したので、私はコソコソ耳元でアンパンマンの歌を歌ってあげました。

男の子はにっこり笑いますが、すぐに目線を画面に戻して検索、検索…。

それでも少し前よりは随分落ち着いて、静かにYouTubeを見ていました。

その間に少しだけママに話しかけました。

「私も上の子がこのくらいの時、同じ感じだったからわかります~」

と言うと、そのママはさっきまでの引きつったような硬い表情が

ほわっと溶けて…笑顔に

なるかと思ったら、涙を目にいっぱい浮かべました。

その時のママの心境が痛いほど理解できて、私も思わず涙が出そうになりました。

「仲のいい姉がいて。姉の子供(姪)が可愛くて、可愛くて。自分も子供産んだら、こんな感じなのかな~てとても楽しみにしていたんです。

だけど、うちは男の子で…。ずっと見ていた姪や、想像していた赤ちゃんとは全くちがっていた。

じっとしていないし、言うこときかないし、本当に大変で手を焼いていて…コントロールできないんです。

携帯見せるのも良くないと思いつつ、電車では怖くて…。お菓子か携帯がないと乗せられないんです。

少し大きくなったら落ち着くかな、と思ったけど、年齢が上がるごとにエスカレートしているような気がして…」

堰を切ったように話し始めました。ママの表情や言葉 一つ一つに胸が苦しくなってきて思わず、背中に手を当ててしまいました。

うん、うん。そうなんですね、そうでしたか。

それしか言えなかった。

電車に乗った途端YouTubeに子守をさせる親

子供が大きな声を出しても怒らない親

3歳になってもベビーカーで通勤時間帯に乗る親

きっと世間ではそんな風に見えていて、そして周りがそういう目で見ていることもママは重々承知なの。だから辛い。だから苦しい。

誰からも何を言われたわけではないけれど、ちょっとした視線や、空気や、咳払い
舌打ちに聞こえる音やため息。

そんな一つ一つが全て自分に向けられているような気がして、肩身が狭くて、緊張で、不安で…。とにかく早く電車が目的地に着くことを祈るしかなくて…。

誰よりも分かっているママだから。だから何も言えなかった。

ただただ、その場の空気を少しでも和らげること。そして、私も、そして多くの親も同じだよ、伝えること。

たった数駅の短い時間、そんなことくらいしかできませんでした。

けれどそのママは「本当にありがとうございます」となんどもなんども私にお辞儀をしながらお礼を言っていました。

心なしか、先ほどまでギスギスしていた周りの空気もちょっと柔らかくなっていたような気がしました。

同じママだから。わかることもある。

これからも たった一言、言葉を

いいえ、言葉が無理なら笑顔を

大変だよね、お疲れさま、こどもだからね

だいじょうぶだよ、仕方ないさ、元気な子だね

そんな風にほんの少しでもあたたかい視線や空気で見守ってあげるだけでその場の雰囲気はガラッと変わる。

そして緊張がとけたママを見て、子供の癇癪もすこーしだけ治る。

必要なのは、携帯を見せるな!お菓子をあげるな!通勤時間帯に乗るから…

という正論じゃなくて、あたたかく見守る、たったこれだけのこと。

私はこれからも、おせっかいおばちゃんでいようと思います。

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