「僕以外の子供ができたら、僕はその赤ちゃんを殺して、ママも殺して自分も死ぬ。」そんな言葉を愛する我が子に言われたら、きっと誰もが自分の子供であっても恐怖を感じることでしょう。

アスペルガー症候群のマイケルは、極度の自閉症で2歳頃からその兆候が現れ始めました。でも、きちんと症状が診断されるまでに11年もかかってしまったのです。

攻撃性のあるアスペルガー症候群を患うマイケル

出典 http://www.mirror.co.uk

アスペルガー症候群は、主に社会性、コミュニケーション、想像力の3つ組の障がいを持つことで知られていますが、その程度は人によって違います。マイケルの場合は8歳頃から攻撃的な行動が目立つようになったのです。

愛する我が子を妊娠中に、夫に先立たれ悲しみに暮れる暇もなく、ベス・バートンさん(38歳)はシングルマザーに。懸命に子育てをしてきたベスさんは、マイケルが2歳頃から気になる行動をするようになったことに気付きました。

「例えば、癇癪を起して物を投げたり暴れたり。最初は魔の2歳児ってこうなのかなと思っていました。でも癇癪の起こし方がとにかくすごくて。同じ色と食感の決まったものしか食べず、自分の思う服しか着なくなったんです。」

マイケルの症状は悪化

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そしてお菓子を食べる代わりに、浴室にあるスポンジを食べ始めたマイケル。何時間も何時間もそれを噛み続けたり、ベッド脇の壁に穴を掘ってその壁を食べるように。壁を噛む時の音が楽しいのか、笑いながら食べる自分の息子の姿を見て、ベスさんは「絶対におかしい。」と確信したそうです。

4歳から学校に行くようになっても学校に全く馴染めず、夜もほとんど眠らないというマイケルを心配したベスさんは、GP(クリニック)や児童福祉課に相談。ところが、幼い子供のあまりにも極度の攻撃的な行為を真剣に心配するどころか、でっちあげの話だと信用してもらえなかったこともあったそう。

8歳の時に目を疑うような事件が起きた

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マイケルが8歳の時に、いとことささいなことで口論となり、キッチンフロアに寝そべったマイケルがナイフを喉元に当てているのに気付いたベスさん。「恐怖のあまり、どうしていいかわかりませんでした。」

「自分は邪悪な存在だから、もう死んだ方がいいんだ。」8歳の息子の口からそんな言葉を聞いたベスさんは衝撃を受けました。とにかくナイフを取り上げようと必死で説得。なんとか大きな事故にはならなかったものの、マイケルは精神科に連れて行かれました。

それ以降も、マイケルの常軌を逸した行動が続くようになりました。自分で自分を傷つけようとする自傷行為が目立つようになり、電動ドリルで喉を突き刺そうとしたことも。その度にベスさんは、どれだけマイケルを愛しているか説得しマイケルの自傷行為を止めてきました。

恐ろしい絵を描くようにも

出典 http://www.mirror.co.uk

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マイケルは、常に「死」と関連した絵を描くようになりました。そして自分だけでなく周りの人も傷つける恐れがあることを知ったベスさんはますます恐怖を感じるように。更にマイケルはベスさんにとんでもないことを口走ったのです。

「ママが赤ちゃん作ったら、僕、殺しちゃうよ。」

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憎悪のこもった目でそう言われた時に、言いようのない恐怖を感じたというベスさん。「マイケルがどんなに凶暴になるか想像がつきました。いつももう一人子供が欲しいと思っていたけど、そんなことをしたらマイケルが本当にその子を傷つけてしまうでしょう。赤ちゃんも、ママも殺して自分も死ぬとあの子は言ったんです。」

ベスさんは、恐怖を感じながらも「それでもマイケルは私の大切な息子」と語ります。今後、一切子供を持つことがないように避妊手術をし、自分の人生を諦めることに。「とにかく息子を助けたいんです。」

そんなマイケルがアスペルガー症候群と診断されたのは13歳になった時でした。今は薬治療をしながら、特別な学校に数時間だけ通う日々を送っているそう。我が子が、自閉症で派とずっと思いながらもはっきりとは診断されなかった11年間。ベスさんにとってはまさに「地獄」のように辛い日々だったそうです。

どんな子供でも、親なら向き合っていかなければいけない

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今ではマイケルは自傷行為をしなくなり、攻撃性も緩和してきたそうです。15歳になったマイケルは、自分の過去を振り返り自分の経験を周りに話す余裕も出て来ました。そして「いつか同じ自閉症の子供を助けたい」とまで話しているということです。

医師によるはっきりとした診断がされたことの安堵感。そして息子の自閉症と真っ直ぐ向き合うことができるということは、11年間手探りで苦しい日々を過ごしてきたベスさんにとれば大きな進歩です。

でも、どんなに恐怖を感じても親だからこそ我が子をサポートし続けていかなければいけないのです。

もし我が子が自閉症と診断されたら?

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ベスさんのように、長年我が子を自閉症と思いながら生活して最終的にそうだと診断されるケースもありますが、親が子供の自閉症に気付いていない場合は、尚更注意が必要です。

特にマイケルのように極度の攻撃性を持つアスペルガー症候群の場合は、それによって起こる影響も大きく、本人だけでなく周りをも巻き込んだ危険性を伴うものになりかねません。

自分の子供が怒りっぽかったり、イライラが多かったり、またすぐに癇癪を起しがちだったり、怒りの度合いが通常では考えられないレベルだったりした場合に「子供だからそういうもの」と自分で納得しようとしてしまわずに、病院や専門機関に相談してみることが大切なのです。

そして、愛する我が子が「自閉症」と診断された時には、それを受け入れるのが困難な親もいることでしょう。でもそれは自然な気持ちなのです。だからといって子供の自閉症をを拒否するのではなく、大切なのはまず、その結果を受け入れること。

更に親として責任を持って子供に接し、子供が怒ったり癇癪を起した時には適切な方法でそれを説明してあげる余裕をもち、子供の怒りや負の感情を上手くコントロールできるようになることが大切です。

自閉症の子供は「自分対社会」と思いがち

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アスペルガー症候群の子供は、自分と社会とをはっきり分け隔て、社会を敵視するようになります。「世の中は冷たくて、怒りに満ちている。」「自分が生きている場所は安全ではない。」「自分はそんな社会の犠牲者なんだ。」という思考が常に湧きあがるのが特徴だと言われています。

親としてしなければならない大切なことは「子供の感情が爆発した時に、自分も爆発させないようにコントロールすること」です。子供の癇癪にイライラしてつい怒鳴ってしまうことは筆者もよくあります。

親だって人間で、完璧ではありません。理想の親のような模範的な躾けをしたいと思っていても、実際にはなかなか上手くいかない時がほとんどではないでしょうか。それでも、親が怒鳴ると子供の心理に絶対的に悪影響となるのです。

また、厳しく躾けることを恐れないことも大切だと専門家は言います。最近は「あまり厳しくすると子供が嫌がるから。」「子供に嫌われたくない。」という不安を持つ親が多いそう。大切なポイントは、子供に好かれることではなく子供にリスペクトされることなのです。

普通に子供を躾けるだけでも一苦労ですから、自閉症の子供への対応は親としてもそれなりに気遣いもするし、繊細にもなります。11年間という長い間、毎日子供の攻撃的な行動に悩んできたベスさんの毎日のストレスは相当なものだったことでしょう。

それでも愛する子供をサポートしたい一心で、寄り添い、共に闘い、逃げずに頑張って来たベスさん。息子のことを「怖い」と感じてしまったのもまたベスさんの正直な本音であり、誰も彼女を責めることはできません。

我が子の問題に正面から向き合い、支え、また医師やカウンセリングなどのヘルプにも頼ることが子供を正しく躾け、良い方向へ導いて行くために大切なことではないでしょうか。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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