ロシアの動物園で、悲しみのあまり死んでしまった白鳥の話をさせて頂こうと思います。でもその前に、鳥類の伴侶の見つけ方について少しお話しさせて下さい。

野生系の番組で鳥類の求愛行動を紹介する事があります。一般的にメスよりオスのほうがきれいでオシャレなのが多いですが、発色がよく動きが敏捷で声もいいオスならば優れたDNAの持ち主で、厳しい自然に負けず生き残る子孫を残せるということですから、メスのほうも真剣です。

たとえば、飾り羽根を広げて求愛するクジャク

Licensed by gettyimages ®

自作の巣を青く飾り立ててメスを誘うアオアズマヤドリ

Licensed by gettyimages ®

集団でダンスするフラミンゴ

出典 YouTube

「ハカ」みたいな動きのコウロコフクチョウ

出典 YouTube

これだけ頑張っても何か気に入らなければ飛び去ってしまいますから、オスはまたメス探しからやり直し。巣を吟味させる鳥だと、また作り直したりします。
こういう事を繁殖期ごとに繰り返して必死でメスを探すんですから、男の世界は大変ですね。

でも鳥類のなかには一夫一婦制で、生涯おなじ相手と連れ添う種もいます

例えば夫婦円満の代名詞になっているオシドリ

Licensed by gettyimages ®

アフリカに住むケープペンギン

Licensed by gettyimages ®

タンチョウヅルも添い遂げるので有名です

Licensed by gettyimages ®

寄り添う姿がハート形で愛のシンボルにもなっている白鳥

出典 http://wonderopolis.org

そしてこれは一生を同じ相手と添い遂げた白鳥のつがいのお話です

場所はロシア、ニジニ・ノヴゴロドは1221年に開かれて以来の交易拠点の町

出典 http://www.myworldshots.com

ソ連時代はスターリンの命を受け、ここ出身の文豪の名から「ゴーリキー」と呼ばれていましたが、連邦崩壊後はもとの名前に戻りました。

もともとロシアを代表する大河、ヴォルガ河とオカ河の合流地点であるため、城塞都市から商工業都市へと発展しました。おのずと金融業も盛んで株式や農産物取引所も所在します。クラシック音楽ファンの方には、昔からたびたび来日しているピアニストで指揮者のアシュケナージ氏の生まれ故郷と言えば通りがいいかもしれません。

つまりは文化芸術にあふれ、河を遊覧して来る観光客も立ち寄る、経済的に恵まれた豊かな都市部ということです。

町の観光スポットの1つ、リンポポ動物園

出典 http://www.wzd.cz

「リンポポ」というのは南アフリカの地名です。エキゾチックさを醸し出すために選ばれた名前なのかもしれませんね。トリップアドバイザーでもほとんどのレビューがExcellentですし、ロシアの観光案内Express to Russiaの動物園特集でもシベリアの首都にあるノボシビルスク動物園に次いで2位となっています。
ニジニ・ノヴゴロドを訪れるなら外せないスポットの1つのようです。

グヴィドンとツァレーヴナは、その動物園に暮らして8年になるつがいでした

出典 http://russia-ic.com

ツァレーヴナというのはプリンセスの意味だそうです。

ニジニ・ノヴゴロドには国立アカデミックオペラ・バレエ劇場がありますから「白鳥の湖」や「瀕死の白鳥」などの演目から、さぞ白鳥も人気があるのではと思います。子供の頃に初めて「白鳥の湖」を見た後で実物の白鳥を見て、優美さに感動した覚えが私にもあります。
(余談ですが伝説のダンサーで振付師のヴァーツラフ・ニジンスキーの妹ブロニスラヴァ・ニジンスカは、この劇場で初舞台を踏んでいます)

ところが今年の1月、ツァレーヴナが謎の死を遂げます

野生の白鳥の寿命は10年、長くて15年ほどだそうですが、餌付けした場合は18〜20年、動物園で完全飼育をすれば20年以上は生きるのだそうです。ここへ来たのが何歳の時であるにせよ、8年というのは短すぎます。

突然の死ですから、死因の解明、特に他の個体に害が及ぶ感染症などの検査のために、恐らくは解剖したのでしょう。動物達が家族同然な飼育係の方達に取っては大変な辛さだったに違いありません。

彼女がいなくなった後、グヴィドンはどんどん元気をなくしていきました

出典 http://www.themoscowtimes.com

群れの他の白鳥達を避けるようになり、日を追って食事の量が少なくなって行きました。飼育係が手を尽くしましたが、だんだん弱って行くのを手をこまねいて見ている事しかできませんでした。最終的には入院し、24時間体制で獣医の監視下に置かれましたが、結局そのまま、2月の終わりに息を引き取ったそうです。

そしてツァレーヴナの死因は心臓発作でした。心無い見学客がパンに仕込んで食べさせた縫い針が、直接の原因だという事が分かったのです。

なんて酷いことをするんでしょう。どうしてそんなひどいことが出来るのでしょうか。

"Gvidon literally didn't want to live without his beloved Tsarevna, and his swan-song has come to an end," the zoo said.

出典 http://www.themoscowtimes.com

「確かな事は、グヴィドンは愛するツァレーヴナ無しで生きていく事を望まなかったのです。そして彼のスワン・ソング(白鳥が死の間際に歌うと言われる美しい歌のこと=死を意味する比喩)の終わりが訪れたのです」と動物園は発表しています。

リンポポ動物園では相次いで亡くなった2羽の悲劇を忘れないため、記念碑を建てる事にしました。愛と忠実さと献身のシンボルとなるようなデザインを公募する予定だそうです。

最後にもう1つ動画をご紹介します。
今ネット上でも評判になっているようですが、相方を亡くしたセキセイインコが、どうしてもそのそばを離れないのです。
私もインコを飼っていた事があり、みんな手の中で最期を迎えさせました。その時に、まだ元気なもう1羽がそっくりそのままの動きをしていたのを思い出します。

動物の愛情は本当に純粋なものです。この動画は数日前に知ったものですが、何度も見てしまい、見るたびに涙がこみあげます。

出典 YouTube

この記事を書いたユーザー

Eko このユーザーの他の記事を見る

米シアトル在住、「地球の歩き方」特派員です。
http://tokuhain.arukikata.co.jp/seattle/
新記事をアップするとツイッターでつぶやきます。
https://twitter.com/EkoNay7789
たくさんのステキを共有できたらと思っています。気に入った記事がありましたらぜひ教えて下さい。

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス