またもパリ北部で発砲事件があり、警察数人が負傷するという事件がありました。これまでパリの同時多発テロ事件を、筆者なりに思うところがあり何回か記事にしてきました。そして今年6月に起こったチュニジアのテロ事件のこともこちらで書かせて頂きました。

今、世界中はこのパリで起きた同時多発テロのことをメディアが独占状態で伝えています。でも今年だけでISIS絡みで起こったテロ事件は今回のパリを含め8件になります。つい先日起こったロシアの旅客機墜落も結局ISISによるものだと断定しました。

人質事件も含め、ISISによるテロ襲撃により多くの人が犠牲となりました。そしてテロだけでなく今、シリアで起こっている戦争でも毎日たくさんの人が亡くなっています。パリで犠牲となった人達と同時に、罪なき人がいろんな所で苦しめられているのです。

NYのタクシードライバーが涙した理由とは

Licensed by gettyimages ®

NY在住のアレックスさんがタクシーに乗車したところ、運転手は「ありがとう」と言ったそうです。理由を聞くと、その運転手は「イスラム教徒なばかりに自分の車への乗車を避けられているのか、誰も乗ろうとしてくれないから仕事にもならない。イスラム教信者というだけで全員が悪者だと思われているのが悲しい」と泣いたそうです。

アレックスさんはこのことに対しSNSでメッセージを投稿。今、社会全体が「対イスラム教徒」というような空気になっているために、何の罪もない多くのイスラム信者までが巻き添えとなり、批判され、中傷され、差別されているのです。

そしてフランスやロシアは復讐を誓った

出典 http://www.dailymail.co.uk

別記事でも書きましたが、テロ行為を暴力で制するのは間違っていると筆者は思います。「自分の国を襲撃されたら怒るのに、他国には爆弾を落としてもかまわないのか」という矛盾が出て来るからです。

実際にフランス軍はISISのキャンプ地に爆弾落下。その爆弾には「フランスより愛を込めて」というメッセージが書かれていたそうです。これは敵を煽っている以外に他なりません。ISISを怨む気持ちはわかります。でも爆弾を落とすということは、シリアに住む他の関係ない市民をも巻き込む可能性もある、ということなのです。

そして更にISISはこの復讐を「挑発」と受け取るでしょう。限りない襲撃が今後も続くことを想定すればこのような報復の仕方は決して褒められるべきことではないのです。


ロンドン地下鉄内もパニックに

出典 http://www.express.co.uk

月曜日の夕方ラッシュアワーの時間帯に、ロンドン市内の地下鉄構内もパニックになりました。「ある事故」により電車がストップ、駅が閉鎖され、たくさんの警察が走り寄って来るのを多くの通勤客が目撃し、「テロか!?」とパニックに。

先週の金曜以来、イギリス住民も神経がピリピリしています。特に大都市ロンドンで通勤するほとんどの人達にとっては、地下鉄は必要不可欠。以前にも地下鉄爆破事件というテロ行為があったので、それを思い起こさせると同時にパリのテロ事件以降、人々の頭の中には「ISISは次にイギリスを攻撃するのでは」という恐怖と不安が常に付きまとっているからです。

そのため、車内で煙の臭いに気付いた乗客は「テロ」と思い込み、緊急停止装置を作動。これにより電車が緊急停止してしまったのです。結局はテロ行為とは関係の無い車両の不具合でしたが、いかにイギリス市民の間で恐怖が渦巻いているかがわかるでしょう。

また、火曜日の夜、ロンドンのウエンブリースタジアムでフランスとイギリスのサッカーの試合が行われました。この日は朝からニュースで「このスタジアムが攻撃されるのでは」といった予測が飛び交い、セキュリティの強化やイギリスとフランスの団結精神を伝えていました。

フランスで実際にスタジアムが襲撃されているので、イギリスでもサッカー観戦をする人は気が気でなかったと思います。不安な気持ちではせっかくの試合も楽しめないでしょう。そしてプレイヤー達も、やはり不安な気持ちを拭えず試合をしなければいけないのです。

中にはパリのコンサート会場で従妹をテロリストに殺されたフランス人プレイヤーもいます。でもセキュリティの強化が役立ったのか幸いにも試合は無事に終了し、観客共々安堵した様子がテレビでも伝えられました。

アノニマスの宣戦布告で社会の不安は更に広がる

出典 http://metro.co.uk

みなさんも既にご存知だと思いますが、国際ハッカー集団の「アノニマス」がISISに対し怒りの宣戦布告をしたことで話題に。国籍も身分も全く不明の彼らは、非常に巧妙な手口でサイバー攻撃をすることで有名です。

そんな彼らが今回のパリ同時多発テロ事件を起こしたISISに怒りをぶちまけたのです。「お前達は必ず倒す。許さないから覚悟しろ」という予告通り、既にISISのツイッタ―アカウントなどが5500件以上も特定され、彼らによってダウンさせられたということがメディアで伝えられました。

ISISの攻撃は誰が防ぐのか、誰が止めるのか。それをいつも考える筆者。政府は爆弾をシリアに落とすことで復讐し、アノニマスはISISのSNSアカウントをハッキングして復讐。特にアノニマスは「弱気を助け強気をくじく」というモットーがあるようで、恐れられるべき国際ハッカー集団は、今やISISに対抗できる唯一の集団と言われています。

ただ、それが果たしていいことなのかというとまたも考えさせられるのです。誰かがどうにかしてISISに復讐したところで、結局はまた仕返しをされるだけのことではないのかと。そして更なる犠牲者が出るのではないかと。

今回アノニマスのISISアカウントハッキングは、警察にそのデータが流れれば恐らくテロリストのアジトを襲撃できるでしょう。でもアノニマスは警察とはチームではないのです。普段、彼らは多くのサイバー攻撃をして社会を混乱させている集団。

そんな彼らの力に便乗するような社会であってはいけないと思う筆者。でも解決法が見つからないままで歯痒い思いをするばかり。きっと世の中の多くの人がそんな風に思っていることでしょう。

朝のBBCニュースではレポーターが涙を見せた

出典 https://www.youtube.com

筆者が毎朝見ているイギリスBBCのニュース。パリの現地でテロで犠牲になった人達や現地の様子を伝えていたレポーターのグラハム・サッチェルさんが、生放送中に感情が溢れ出て思わず涙する場面が。

プロのレポーターをも動揺させるほどの深い悲しみと怒り

出典 https://www.youtube.com

この放送を見ていた全ての人がきっとレポーターの悲しみと怒りを感じたことでしょう。仕事のため、現地でレポートしなければならないレポーター達にとっては恐怖の出来事を目の当たりにし、悲惨な現場に声を失い、ただ湧きあがるのは深い悲しみと怒りだけなのです。

そして忘れてはいけないのが、シリアの子供たち

出典 http://metro.co.uk

そして、そんな戦争やテロ行為のど真ん中にいるのが、シリアの子供達。シリア難民は周りの人達に敵対視されることを恐れています。でもシリア市民も立派な被害者。何の罪もない幸せになるべき子供が、この愚かなISISの陰で怯えて恐怖に晒されているのです。

更にそれだけではなく、たった今この瞬間も、命の危険に晒されながらシリアに残って生活している子供達がいます。中にはISISに家族を殺された子供もいます。また、他のヨーロッパ諸国に流れ着いても、家がなく路上や森で寝る子供達もいるのです。

私達は、大人の愚かなテロや戦争行為によって、これだけ多くの子供が犠牲になっている現実から決して目を逸らしてはいけないのです。

あなたは、この子供達の写真を見て何を感じますか。父親や母親を殺され家族を奪われ、家を壊され、行く場所もない子供達。それでも命ある限り生きなければいけないのです。ISISの攻撃から逃れて、ハンガリーやドイツに辿り着いても、そこにはもう以前のような温かい家も大切な家族もいないのです。

シリアの子供達の中には、絵を描くのが好きな子ももちろんいます。でも描く絵が全て銃などの武器ばかりということに不安を感じている母親も。自分が常に目にしている物といえば武器なのです。いかに彼らが危険と背中合わせの毎日かということを再認識させられます。

また、父親を殺された6歳の子供は伯父とハンガリーに逃げる途中、重い荷物を自分で持って長い道のりを歩きました。夜、森で寝る時に泣くそうです。たった6歳の子供が親を殺され、孤独と悲しみに耐えなければいけないのです。そんな子供の光景を想像しただけで筆者は胸が痛みます。

母親と兄を殺された姉妹は父と逃げて来たものの、路上暮らしをしています。こうして愚かな犠牲になっている子供達は、将来きっとこの出来事全てがトラウマになることでしょう。それも運良く生きていれば、の話…。

パリで犠牲になった人達の陰には、もっと辛い思いをしているシリアの子供達もいるということを私達は決して忘れてはいけないと思います。そして、彼らも同じ犠牲者なのだということを。

シリアの子供達に光が射す日がいつか来るのでしょうか。こんなふうに罪なき人々が犠牲になるテロや戦争を、どうすれば止めることができるのでしょうか。

この記事を書いたユーザー

Mayo このユーザーの他の記事を見る

公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

得意ジャンル
  • 話題
  • 社会問題
  • 動物
  • 海外旅行
  • 育児
  • テレビ
  • カルチャー
  • 美容、健康
  • ファッション
  • 感動
  • コラム
  • おもしろ

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス