積極的安楽死が合法のベルギー

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日本は安楽死に否定的ですが、世界では合法の国があるのはみなさんもご存知でしょう。カリフォルニア州やオレゴン州など一部のアメリカ以外に、ヨーロッパではスイスが1942年と古く、続いてオランダ、ベルギー、ルクセンブルグで合法となっています。

基本的に安楽死は、本人の意思を確認できる18歳以上が原則となっていますが、オランダでは12歳に引き下げられました。というのもたとえば末期がんに侵されている子供を苦痛にさらすのは非人間的だという理由からです。

更にアルツハイマーのような認知症の人にも事前に安楽死の意思があるかどうかの確認を取っておけば、重度の症状になった場合でも医師の判断でそれを行うことも可能です。

社会の安楽死に対する理解も増えてきている

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特にオランダやベルギーでは、安楽死が合法化されてから既に10年以上の月日が経ちました。「死」が合法化されたことで安易に死を選んだり、また安楽死を勧められたりする人が増えるのではという懸念もあったようですが、この10年間の調査ではその割合は意外と少なかったことが判明しました。

これによって、社会の安楽死への理解度もまた変わってきたのです。今は筆者が住んでいるイギリスやドイツなどでも安楽死の合法化を検討しているようですが、これを待てない人達が「スイスへの安楽死ツアー」を決行しているという話も聞きます。

24歳で人生を終える決断をした女性

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ベルギー在住の1人の女性が、今メディアで取り上げられて話題になっています。彼女はごく普通の家庭で育ち、家族に愛されて来ました。でも、3歳ごろから「どうして自分はここに存在してるのか」「ここにはいたくない」という精神疾患を患うように。

そして12歳になると自殺願望が芽生え始めたのです。そして24歳になるまで自傷行為を何度も何度も繰り返し、生きて行くことに何の意味も見出せなくなってしまったと言います。そしてついに、エミリーさんは自ら「死」を選ぶことを決心しました。

生きて行く辛さを訴えるエミリーさん

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2年前に録画した動画を見ては、絶望的な気分になるというエミリーさん。この世の中には、どんなに生きたくても生きられない人がいます。末期のがんなど余命わずかの人達は、いつ迫りくるかわからない死と毎日闘っています。

安楽死が合法化しているベルギーのような国では、主にこういった「不治の病・末期の病に苦しむ人」の幇助として尊厳死が認められています。

でも、エミリーさんのように重度の精神疾患のために生きて行くことがどうにも我慢ならない人達もいます。そういった人達は単に自分に甘えているだけなのでしょうか。その判断は第3者にはとうていできるものではありません。

自分を毎回傷つけてしまう毎日。どうして生きているのかわからないまま、日常生活を送ることは自分を負の世界へと導いているのも同じ。毎日同じことの繰り返しでカウンセリングをしても、薬を飲んでも一向に良くならない精神の病だとしたら…「もう生きていくのが辛い」と思ってしまっても誰も責めることはできないのではないでしょうか。

「何度も何度もトライした」

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自分の人生を、どのように生きたらいいかわからないエミリーさんは、これまでそれでも努力して生きることへのチャレンジをし続けて来ました。でも、もうこれ以上我慢できない限界を悟り、安楽死を選んだのです。

ただ、安楽死を決めたからといって安易にできるものではありません。医師とのカウンセリングが何回もあり、最終的に認められるまでに時間もかかります。もし、認められれば日付と時間を言い渡され、それが自分の人生のタイムリミットとなるのです。

最後に友人に気持ちを打ち明けるエミリーさん

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エミリーさんの場合、これまで何度も繰り返し自傷行為をしてきたこと、そしてカウンセリングによってエミリーさんがどれだけ生きることに絶望しているかということに焦点がおかれ、安楽死が許可されました。

ベルギーでは、エミリーさんのように精神疾患を患っている人達の安楽死希望はこれまで100人いたそうです。そのうちの48人が安楽死を認められたそうです。エミリーさんの友人達は、エミリーさんの気持ちが最後に変わるかも知れないということに希望を持っています。

エミリーさんの母親は今ではそれが娘の意思なら最後までサポートしたいと話しています。医師とのカウンセリングでは、エミリーさんは「最後の最後にもし気が変わっても、止めますという権利はあるのですよ」と説得されました。

「その時」は午後5時

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ベルギーでは、薬を飲むか注射にするかの二通りの安楽死法があります。エミリーさんは注射を選びました。注射は2本。死に至るまでは5分から10分だそうです。淡々と医師の説明を聞くエミリーさん。

24歳という若さで自ら「死」を選んだエミリーさん。今、自分の人生のリミットを前にして何を思うのでしょうか。そしてその時間が来ました。果たしてエミリーさんは…

「できなかった。死ねなかった」

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間際になって、やっぱり止めようという気持ちになったというエミリーさん。安楽死を選べる国では、それを選んだ人が事前に死と冷静に向き合うことができ、自殺願望を思い留まる場合もあるということが利点だとされています。

「できなかったの。またこういう自分と闘っていかなきゃいけない。」そうエミリーさんは語ります。それでも、死よりもその辛さを選んだエミリーさん。生きるということに、もう少ししがみつきたい気持ちになったことは、彼女にとって大きな変化と言えるのではないでしょうか。

安楽死合法は必ずしも悪いことばかりではない

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自分がどうしたいのか、考えないようにしたというエミリーさん。でも、これまでの彼女は前向きになるどころか、死ぬことだけを考えて来ました。今回、安楽死の現実と向き合ったことで「この先も頑張っていくしかない」という決断をしたということは、エミリーさんにとって「この先」を思う心の余裕がほんの少しだけ出た証拠だと思います。

それは正直、いいことだったのではないでしょうか。「死」とは何かを落ち着いて考えさせられるタイムリミットがあり、それが自分にとって必要なことなのかも考えさせられることができるのは、衝動的な自殺が多い国よりもよほど合理的ではないかと筆者は思います。

人の死の権利はその人個人が有するもの。それをリスペクトした尊厳死は、日本でも合法化されるべきではないでしょうか。あなたはどう思いますか。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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