10月24日、時ならぬクリスマスのパレードが、カナダ・オンタリオ州のセント・ジョージという人口3,000人あまりの小さな町をあげて華やかに行われました。1週間後に迫ったハロウィーンを飛び越してクリスマスを祝うことにした町の人々の思いは、7歳の少年にありました。

7歳のエヴァン君は脳腫瘍のため、5年間も闘病生活を送っています

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腫瘍は位置的に手術が出来ず、放射線治療と抗がん剤治療を続けてきました。ところが9月の検診の際に母親のニコルさんは、もう治療が効果をあげておらず、MRIでガンが脳の他の位置にも転移していること、この半年の病状から推してクリスマスまでは生きられないかもしれないことを、医師から告げられたのです。

息子が楽しみにしているクリスマスを一緒に過ごしたい

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最悪の結果に打ちひしがれていたニコルさんでしたが、やがて気を取り直し、少しずつクリスマスの飾りつけを始めました。余命宣告は宣告として、もしかしたらエヴァン君はクリスマスまで生きられるかもしれません。でも元気にクリスマスを楽しめる保証はありません。それで今のうちに家の中だけでもという気持ちだったそうです。

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北米では、大人の背丈ほどもあるクリスマスツリーを表通りから見える客間の窓辺に飾る習慣があります。季節外れにクリスマスライトが灯るのを見た向いの家の住人が聞きに来てわけを知り、エヴァン君が見られるようにと、自分の家でもクリスマスの飾付けをすることにしました。

その話が少しずつ広がり、やがて通りに面した家がこぞってクリスマスの飾付けを始めたのです。

"You look out our front window, the entire street is lit up. Everywhere you look it’s Christmas. It’s more than I could have imagined."
"His question is 'Why?'," Ms Wellwood said. "My answer is: 'Because you have a whole town that loves you'."

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表の窓から見ると、通り全体が輝いているんです。どこを見てもクリスマスなんです。想像していたよりもずっと素晴らしいわ。

(早くからクリスマスの飾付けをすることを)彼に「どうして?」と聞かれました。私の答えは「町中があなたのことを好きだからよ」でした -- ニコル・ウェルウッドさん(エヴァンくんのお母さん)

残酷な現実を笑顔に押し隠して答えたお母さんの気持ちに胸が詰まります。

最初は内輪でクリスマスのお祝いをするつもりでした

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ニコルさんは家族や親戚に連絡をしてクリスマスディナーに招待し、加えてご近所の親しい人も、と考えていました。でもニコルさんの従姉妹のシェリーさんは、その知らせを聞いた時に「もっと何か出来るはず」と思ったそうです。

シェリーさんはビラを作って町で配り始めました。そこにあった生花店がまずクリスマス用のウインドー・デコレーションをすることに応じ、通りすがりの人がそれを目にとめて聞きに来て…という事が重なって行くうちに、「エヴァン君の最後のクリスマスのお祝い」が町中の人々の知るところとなったのです。

町をあげてのクリスマスのパレードが企画され、イブのちょうど2ヶ月前の10月24日と設定されて「Christmasu in St. George(セントジョージのクリスマス)」というFacebookのページが立ち上げられました。また10月17日にはチャリティーのための「One Last Christmas(最後のクリスマス)」というページも設置されました。

エヴァン君の最後のクリスマスのための準備は着々と進められて行きました。

そして待ちに待ったクリスマス

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サンタクロースとミセス・サンタが来てくれて、お兄さんのローガン君、弟のタイソン君、そしてお母さんも一緒にクリスマス写真も撮りました。

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パレードに参加する消防団員たちも準備万端。

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パレードには最近のお気に入り、ミニオンももちろんいます。

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パレードの特別ゲスト、グランド・マーシャル役のエヴァン君は、サンタクロースと一緒に。お母さんと兄弟達は山車のほうに、ミセス・サンタと一緒に乗り込みます。

町中の人と一緒にお祝い出来てよかったね、エヴァン君!

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このパレードのフル動画が、地元局のRogers TVからアップされています。はじめのほうにニコルさんのインタビューが収録されており、パレードの模様は2:12ぐらいから始まります。30分と長いですが、トラックやトラクターなども出て来る、日本人が考えるいわゆる「パレード」とはひと味違った昔ながらの小さな町の雰囲気がよく分かると思います。

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エヴァン君の今

エヴァン君には家族と一緒に作ったバケット・リスト、生涯でやっておきたい事のリストがありました。ナイアガラの滝を見に行く事、大好きなアニメ映画「モンスター・ホテル」の2を見る事、そして親友と一緒にゲームセンターとピザ・レストランがひとつになったチャッキーEチーズに行く事。

アイスホッケーのトロント・メープルリーフスのゲームを見にも行きました。SNSでエヴァン君たち兄弟への宛先を公表したので、世界中からクリスマスカードや手紙が届きました。それを1通ずつ、お母さんに読んでもらっています。

ところがエヴァン君の体調は加速度的に悪化し、11月4日の水曜日には末期の苦痛緩和ケアのための入院にはいりました。しばらくは意識もあったそうですが、日曜日、お母さんの誕生日に少し目覚めた後は眠りに落ちたままだそうです。お母さんはエヴァン君のいのちが少しずつ手のうちから離れて行ってしまうのを感じつつ、枕元に付き添っています。

She is hoping to create a foundation in his name, to raise awareness for childhood cancer.

“Evan is not the only one in the situation. There are numerous families facing this horrible disease and I want them to feel the love and support as we have in this journey.”

出典 http://www.thestar.com

彼女(ニコルさん)はエヴァン君の名前を冠した小児がんのための基金を設立出来ればと思っています。(エヴァン君のための「最後のクリスマス」サイトには5万ドル近くの募金が集まっています)

「エヴァンのような子供はたくさんいます。この恐ろしい病気に直面している多くの家族に、この事で私達にもたらされたような愛と支援を受け取って欲しいと思うのです」

私事ではありますが私の母も苦痛緩和治療を受けましたので、年齢こそ違え、当時の状況がエヴァン君の写真に重なって見えてしまいます。どうぞエヴァン君の残された日々が、出来うる限り痛みの少ない穏やかなものでありますように。

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