数年前、我が子の通う小学校で学級崩壊が起こりました。そのときに私が知った信じられない光景とは―。

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前回、息子の親友が虐めによって転校したというお話をさせて頂きました。丁度、今日、私の実母との間で、そのお友達の話が出ました。記事でお話したような内容をかいつまんで母に話している中に、ふとその関連である出来事を思い出したのです。

それは、息子がまだ小学生のときの出来事でした。

「学級崩壊」という耳慣れない言葉を突然、聞いた日の衝撃。

息子が小学4年生だったある日、小学校から帰宅した息子が一枚のプリントを私に差し出しました。参観日の案内か何かかと思って見てみたら、何と、4年生の各クラスで学級崩壊が起こっているので、保護者にも夜、集まって欲しいという内容でした。

プリントには、授業中、子どもたちが落ち着きがなく授業にならない状態が続いており、この際、教師と保護者が現状と今後について話し合いたいということも書かれていました。私は迂闊にも、息子のクラスというか学年がそこまで酷い状態になっていることを知りませんでした。プリントにはまた、満足に授業が行われず、勉強したい子が集中できないため、真面目な子が家庭に帰宅後、軽い情緒不安定になっているとの連絡が親から学校にあったと結ばれていたのです。

しかしながら、我が子にはそんな兆候はまったくなく、そのときに息子に尋ねてみても、こんな返事が返ってきただけでした。

「僕は勉強したいから、ちゃんと授業は聞いてる。騒ぎたい人だけが騒いでるんじゃない? 自分は自分、周囲がどうあろうと、自分がしっかりとしていれば、別に気にならないよ」。

周囲に流されないといえば聞こえは良いけれど、自分のクラス内で騒ぎにまでなっている出来事について、あまりにもクールすぎる反応に、母として戸惑った私でした。残念なことに、その保護者の集まりには都合で出席できなかったのですが、その後、先生方と子どもたちとの間でも話し合いが行われ、更に、先生抜きで子どもたちだけでも話し合いが幾度も持たれたそうです。

「勉強したいから、授業中は静かにしよう」、勇気を出して発言した子に次々と賛同する子が増えて―。

結局、先生をまじえての話し合いよりは、子どもたちだけの話し合いの方に効果があったようです。一人の子が「私は本当はちゃんと勉強したい。だから、これからは授業中だけは、きちんと先生の話を聞けるように静かにしよう」と発言すると、一人また一人と手を挙げて「賛成です」、「僕もそう思う」と、勇気ある子どもの意見に賛同する子ども達が増えていったそうです。

それをきっかけに、子どもたちは自分から率先して授業中は無駄話をしない、立って歩かないようになり、まるで人が変わったように真面目に授業を受けるようになりました。確かに、当時、月に一度の授業参観に行った時、何となく以前はクラス内がざわざわとした雰囲だったのが、中学年らしく落ち着いたなという感はありました。

息子に学校の様子を再度尋ねても、やはり「最近は、皆、静かに授業を受けるようになったよ」という返事が返ってきて、私はホッと胸をなで下ろしたものです。ところが、その一方で、まだ依然として落ち着きを取り戻せていないクラスもあったようでした。

「えっ、先生が女の子に泣かされた?」。ママ友から聞いた信じられない話。

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画像はイメージです。内容とは関係ありません。

少なくとも息子のクラスは見違えるように落ち着いたという話を聞いた矢先のある日でした。私は知り合いのお母さんから信じられない話を耳にしたのです。それは、4年生のとあるクラスで、新任の男性教諭が女子児童に泣かされたという大変ショッキングかつ信じられない事件でした。

一人の女子と担任のまだ若い先生が意見の食い違いから口論になったそうです。どうやら最初は先生が女子児童のふるまいに対して注意をし、女の子が素直に従わなかったことが、きっかけのようでした。

泣き出した先生を見かねて職員室にSOSを送ったのは男子児童だった。

確かに今時の子ども、しかも女の子も4年生ともなれば、口は大人並みに達者です。しかし、大の大人である男性教師がわずか4年生の子どもに対して何も言い返せないまま、泣いたというのも信じられない話ではあります。結局、その女の子が機関銃のように理屈を並べ立てて反抗するのに対し、先生は何も言い返せないまま泣き出しました。見かねて教室にある内線電話で職員室に助けを求めたのは女子ではなく男子児童であったそうです。

通報を受けた別の教員が職員室から駆け付けて、事態は漸く収まりました。

結局、先生は赴任わずか一年で、学校を去った―。

私は丁度、その年、PTAの学級評議員をしていたので、その集まりに出ることが多かったのですが、その集まりでこんな話を聞いたことがありました。その噂というのも、その女の子に泣かされてしまったという若い先生についてでした。

「だから、その先生がどんどん痩せてきて、最近では顔も青白くなってきてるって、ウチの子が言うの。だから、あんたが給食当番になったときは先生のおかずは山盛りにしてあげてって話してるのよ」。「えー、嘘。本当の話なの?」。そのお母さんたちは笑いながら話していましたが、私は複雑な心境で耳を傾けていました。

結局、その先生は翌年の春、この学校に来たばかりで再び転勤していきました。噂の域にすぎない話ではあるのですけれど、転勤時には一年前、来たときとは別人のようにやせ細り、軽い鬱状態にまでなっていたそうです。

児童が悪いのか、教師が弱かったのか? 今も結論を出しかねる問題。

子どもたちだけの話し合いを重ねたことにより、三つあるクラスの中の二つは落ち着きを取り戻しました。ですが、その転勤していった先生のクラスは残念なことに、その効果があまりなかったようです。ですが、この問題を通して、私は今も判りかねていることがあります。

果たして、先生を泣かせるまで追い詰めた女子児童が悪いのか、9歳か10歳の子どもに言葉一つ言い返せなかった先生が教師としては失格なのか―。確かに、言葉も一つの暴力ではあります。何も腕力をふるわなくとも、言葉だけで相手を追い詰め、時には自殺にまで走らせてしまうこともあるのです。ただ、いかにその女の子が反抗的であったとしても、教師たる立場の人が泣くことしかできなかったというのもまた、保護者の立場からみれば、厳しい言い方のようですが、教師としての適性があったのかどうか疑わしいとも思うのです。

この問題については、受け止め方、お聞きなった人の考えによって意見が分かれるところだと思います。どちらもどちらだという言い方がいちばん適切なようにも思います。息子が小4のときに起こった学級崩壊は、こうして関係者の心になかなか癒えない傷跡を残して終わりました。

前回に書いた虐めにしても、隣接するこの小学校の大半の児童が進学する中学において起こった出来事です。それを思えば、虐めの根も小学校でのこの学級崩壊のどこかに隠れてるような気がしてなりません。このとき、先生を泣かせた子と虐めた子、同一人物ではないでしょうが、この子たちがやはり他人の痛みを理解することができないまま成長しているということではないかと、不安に思うのは私の考えすぎなのでしょうか―。

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フリーライター。ウェブ小説を書いています。2013年、「歴史浪漫文学賞」において最終選考通過。入賞候補作品「雪中花~とりかえばや異聞」書籍化。洋の東西を問わず、歴史が大好き。自称【歴女】です。韓流時代劇に夢中。そのほかにも美容・天然石アクセサリー作りなどに興味があります。
ブログのURL http://ameblo.jp/megumi3777/

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