過去数年で、筆者の住むイギリスでは、ゲイに対する権利への理解度が高まり性への平等、同性愛者の結婚が法的に認められ、性同一障がいを抱える人達への性別の認識も、今や社会のサポートによって広まっています。

でも、未だにどのグループにも所属できず平等に扱われる法的な権利のない人達が存在します。それは「IS(インターセックス)」と呼ばれる人達です。

あなたはもう読みましたか?

出典 http://www.ebookjapan.jp

漫画家六花チヨさんの作品「IS(アイエス)」を読んだことがある人もいるでしょう。サブタイトルにあるように「男でも女でもない性」のことをインターセックスと言います。つまり、両性具有。日本では半陽性という呼び方もされているそうです。

日本ではテレビ東京系列で2011年にこの漫画がドラマ化されました。

生まれてきた時に男女どちらかの判別がつけられない場合をISと呼びますが、詳しくは下記のような状態です。

●内分泌系の異常によって起きるクリトリス(陰核)の肥大化
●外見上の性別が性染色体上の性別(Y染色体があれば男性、なければ女性)とは逆
●尿道がペニスの先端ではなくて、下側にある
●外見が女性型だが、膣を持たない
●性腺が睾丸もしくは卵巣に分化していない、もしくは両方を含む
●二次性徴が異常に早い、起きない、あるいは育てられた性とは別の性の特徴を持った二次性徴が起きる

出典 http://www.intersexinitiative.org

「先天的な生殖系、性器の異常」が原因のISは、日本では2000人に1人の割合で存在し、イギリスでは人口の3万人がこのISだとわかっています。ISとして生まれて来た人は、出生届の性別の欄は空白のまま。本人もどちらの性で人生を送るのがいいのかという葛藤や苦悩に悩まされることが多く、非常にデリケートな問題であるためにそれを隠す人もいます。

「ISだからって生まれた時に手術はしないでほしい」

出典 http://www.vice.com

過去に両性具有として生まれた赤ちゃんを、医師が外科手術を施し事実を隠そうとするというのが自然な社会が日本でも欧米でもありました。でも、この外科手術を受けたISの患者に様々な問題が起こったために「生まれた時に手術するのは止めて欲しい」という思想が広がり、これが社会運動に発展しました。

第一に、性器にナイフを入れられたことなどによって感覚が弱くなり、性生活に問題がでたこと。
第二に、繰り返し手術を受けさせられたり医者に興味本位に扱われたこと自体がトラウマになったこと。
第三に、情報が与えられなかったことでかえって自分自身がどうなっているのか悩んだり、自尊心を傷つけられたこと。
第四に、これだけ重大な手術でありながら、その必要性や有効性や安全性を示すデータは全く存在していないこと。
最後に、この種の治療には患者自身の意志が全く反映されておらず、インフォームドコンセントの原則に反すること。

出典 http://www.intersexinitiative.org

これら5つが主な理由となりIS患者への手術が批判されるようになったのです。手術に当たっては患者の意志をリスペクトするのは今や当然。でも赤ちゃんの時に誰がその権利を訴えられるでしょうか。そしてISの子供を持った親も「恥ずかしい」「普通じゃない」という気持ちで事実を隠してきたために、今現在でもISの人達への社会の理解度が低く、解決策が見つからないのです。

オープンにできる人とできない人がいる現在

Licensed by gettyimages ®

イギリスでは、ISの人をサポートする団体、UK Intersex Association(UKIA)「イギリスIS連盟」というのがあります。この連盟ができたのは、2000年とたった15年前のこと。過去に比べて、少しは理解してもらえる社会になったとはいえまだまだ道のりは長く「人権」に苦悩し、葛藤するIS患者は大勢いるのです。

「全ての人が生きやすい世の中」への模索は続く

Licensed by gettyimages ®

男でもなく女でもない。でも自分の気持ちや意志に反し、体は微妙な成長の変化を遂げて行く。周りと違う自分。普通じゃないと自覚せざるを得ない苦しみ。これらを経験しなければいけないISの人達の葛藤は、私達には計り知れないものです。

「人は一人一人違うもの」それは基本の概念であるにも関わらず、どうしても男、女と区別されてしまう私達。果たしてISの人達が生きやすい社会はやって来るのでしょうか。今でもサポート団体などによる模索は続いています。

もし、あなたが、ISの人に出会ったらどうか彼らを一人の人間としてリスペクトしてください。彼らはあなたの何十倍もの苦しみを抱えて人生を生きています。どうかそれを理解してください。自分の体と葛藤しながら生き続けるISの人の苦悩を共に分かち合える人間関係ができる社会になればと願う筆者です。

この記事を書いたユーザー

Mayo このユーザーの他の記事を見る

公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

得意ジャンル
  • 話題
  • 社会問題
  • 動物
  • 海外旅行
  • 育児
  • テレビ
  • カルチャー
  • 美容、健康
  • ファッション
  • 感動
  • コラム
  • おもしろ

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス