出典 https://www.flickr.com

記事提供:まぐまぐニュース!

8月の1号機に続き、2号機も再稼働させた川内原発。賛否両論喧しいですが、メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』は「福島第一原発の絶望的な状況を放置しての再稼働などありえない」と厳しい口調で糾弾しています。

福島第一原発の事故現場の絶望的な状態

福島第一原発で海側遮水壁がようやく完成したと、10月27日付各紙が報じている。

事故後4年半が過ぎた今日まで「大雨のたびに排水路から汚染雨水が海に流出するトラブルが続いて」きたということ自体が、ほとんど信じられないことだが、

さらに深刻なのは、これが完成しても「放射性物質の海洋流出が完全に止まるわけではない」(東京新聞)という現実である。

どうしてかと言えば、事故現場に毎日400トンの地下水が流入してくるのを止めることが出来ていないからだ。

山側から入ってくるものを止めないで海側だけを塞いでも何の意味もないことは、小出裕章さんと私の共著「アウト・オブ・コントロール」(14年1月、花伝社刊=13年10月「大山村塾」講演会の記録)の中ですでに私が述べていた。

「海側遮水壁」は造っても意味がない

海側遮水壁とは、1~4号機の海側の護岸の外側に全長約800メートルに、深さ22~24メートルまで鋼管矢板700本を岩盤層まで打ち込んで鉄鋼製の頑丈な壁を造って、

原発周辺の地上からも地下からも汚染水が海に流れ込むのを止めようという巨大土木工事で、2011年10月に着工、14年3月にはほぼ完成していた。

しかし、単に塞いだだけでは汚染水が溢れ出してしまうだけなので、建屋の周りに数多く掘られた「サブドレン」と呼ばれる井戸と、

遮水壁に接して5カ所に設けられた「地下水ドレン」と呼ばれる井戸から、汚染水を汲み上げて「浄化」した上で海に放出するシステムが稼働するまで、幅10メートルだけ隙間を空けて汚染水を海に流していた。

2つのドレン・システムが動き出したので、ようやくその隙間を塞いで汚染水が直接海に流れないようにしたというのが、「完成した」という意味である。

裏返せば、これまで4年半は汚染水を海に流していたということである。

とはいえ、これで本当に汚染水のダダ漏れ状態が止まるのかどうかは疑わしい。

2種類のドレンが汚染水を汲み上げて理屈通り「浄化」できるのかどうかは、試してみなければ分からないし、特に4年半もの間に地下に大量の放射性物質が堆積してとんでもない濃度に達していないかどうかも分からない。

「凍土壁」は技術的に無理?

そもそも、入って来る水を止めないで、出る水だけ止めようとする海側遮水壁という当初の発想そのものが全く理解不能で、まずは1日当たり400トンも建屋に流入してくる地下水を止めるのが先決なはずで、

ようやく東電もそれに気が付いたのか、建屋の四方を囲む遮水壁を造ることになりはしたものの、建設コストが安いという理由で採用された工法が、

四囲約1,400メートルにわたって1メートル間隔で30~40メートルの深さまでパイプを差し込んで、その中に超低温の冷却材を循環させて周りの土を凍らせて壁にするという奇抜なものだった。

普通はトンネル工事などで一時的に水を止めるために使われる工法で、恒久的な施設として技術的に相応しいかどうかには専門家の間も疑問の声がある。

それにしても、もしこの凍土壁が機能するのであれば、そもそも建屋の周りへの地下水流入は止まるわけだから、今まで滞留している分を吸い上げれば済む。

そうだとすると、そもそも海側遮水壁の巨大工事は要らなかったのではないか。

また、この凍土壁が機能しないのであれば、もっと上で、敷地全体に地下水が入って来ないよう敷地の外側にダムを作るしかなくて、それが誰が考えても最も合理的な対策であったはずだ。

このことも含め、上記「アウト・オブ・コントロール」の中でとっくに問題点を指摘しておいたことである。

何をやっているのか分からない、東電のあまりにお粗末な対応ぶりである。

福島原発サイトの現状がどうなっているのか、最近はマスコミで詳しく報じられることが少ないので、以下に脱原発活動家の間で最近回し読みされている「現場報告」を紹介する。

実際にサイト内で働いているベテラン作業員知り合い電話話した内容の要約で、テニヲハや誤字や重複などを最小限修正し、若干の注を施した。

結論的に、状況は絶望的で、この状態を放置して別の原発の再稼働を急ぎ、五輪準備を進めるなど狂気の沙汰であることがよく分かる。

この実態はいずれ天下に晒されて、安倍が五輪誘致に当たって「アンダー・コントロール」と宣言したことの嘘がバレることになろう。

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス