今年の4月から

知財の分野と関係ない方は関わる可能性は低いですし大手メディアで報道されてないのでご存知ない方が多いでしょうが、今年の4月から商標登録に関わる法律が大きく変わりました。

特許法等の一部を改正する法律(平成26年5月14日法律第36号)により、商標法が改正され、色彩のみからなる商標、音商標など、これまで商標として登録し保護することができなかった商標について登録をすることができるようになります。

出典 https://www.jpo.go.jp

詳しくは経済産業省のHPに載ってまして下記になります。

この商標登録の改正は簡単に言いますと今まで商標登録できたのは主に「言葉」だけだったのが、

・動き商標 ・・・文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標(例えば、テレビやコンピューター画面等に映し出される変化する文字や図形など)
・ホログラム商標 ・・・文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標(見る角度によって変化して見える文字や図形など)
・色彩のみからなる商標 ・・・単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標(これまでの図形等と色彩が結合したものではない商標)(例えば、商品の包装紙や広告用の看板に使用される色彩など)
・音商標 ・・・音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標(例えば、CMなどに使われるサウンドロゴやパソコンの起動音など)
・位置商標 ・・・文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標

出典 https://www.jpo.go.jp

音や動き、色なども商標登録できるようになりました。例えば

出典 YouTube

このCMの最後に中谷美紀さんが「お~いお茶」と言ってますが、この「お~いお茶」の部分を商標登録することができるようになったということです。

新しい商標登録に申請した企業

この新しい商標登録の申請を行った企業の認定したことを先月(10月)27日(火)に特許庁が発表をしまして、

特許庁は10月27日、音や動きなど新しいタイプの商標として第1弾43件の登録を認めると発表した。「ファイトーイッパーツ」(大正製薬)、「おーいお茶」(伊藤園)、「ブルーレット置くだけ」(小林製薬)などおなじみの音声やCMメロディーなどが含まれ、同庁は「言語を超えたブランド発信手段として、企業のブランド戦略に大きな役割を果たすことが期待される」としている。

出典 http://www.itmedia.co.jp

先述した伊藤園の「お~いお茶」や大正製薬の「ファイトー!イッパーツ!」などがあって、詳細が特許庁からリリースされています。

新しいタイプの商標について初めての審査結果を公表します(特許庁)
http://www.meti.go.jp/press/2015/10/20151027004/20151027004.pdf

これはほんの一部で認められたのは「カラリオ」(エプソン販売)、「ふじっ子のおまめさん」(フジッコ)、「第一生命」(第一生命保険)、正露丸の「ラッパの音」(大幸薬品)などCMに使われるメロディのほか、ゲームソフトの「バンダイナムコ」(男性の声による1秒の音声)といった音声、映画冒頭の「東宝」マーク、紫色の包みから「菊正宗」の酒びんが現れるシーンの動きなど見たら「ああ~!」とわかるものが多いです。

因みに申請されたのは特許庁のリリースによりますと10月23日(金)までに1039件、登録が認められたのは43件になります。

意外なところから懸念の声

この音の商標登録は特に生活に影響を及ぼすこともないかと思ってましたが、意外なところから意外な人たちが「困る!」という声が出てきました。

 多くの人は「へ~、そうなんだ」と思う話題だが「今後の仕事に大きく影響してくる」と真剣な表情を見せるのはお笑い業界関係者だ。

「CMなどでおなじみのフレーズをもじって一発ギャグにしたり、コントや漫才のネタに取り入れたり、というのはこれまで当たり前のようにやられてきたこと。それが、元ネタが商標として登録されてしまったら、それをパロディーにしていいのかという問題が生じる」

 お笑い芸人や番組スタッフなどにとっては一大事というわけだ。

出典 http://www.tokyo-sports.co.jp

なんとお笑い芸人やお笑い業界のスタッフから懸念の声が出てきました。「でも、どうしてお笑い業界の人が?」と言いますとお笑い業界の方は

「商標登録されたフレーズを使って、商標権侵害で訴えられたらどうするのか。ただでさえ、テレビ局にとっては大切なCMスポンサー。絶対に粗相があってはいけない。これからは“CMもじりギャグ”が披露される機会は激減していきますよ」(前同)

 市川海老蔵に扮して「おーいお茶」と叫んだレイザーラモンRG(41)や、ロート製薬のCMのフレーズで「ニート生活」などと歌ったCOWCOW多田健二(41)ら、CMパロディーギャグを多く生み出してきた芸人にとっては受難の時代になりそうだ。

出典 http://www.tokyo-sports.co.jp

商標登録された音や映像などをパロディ化やお笑いライブで使用をすると商標権を理由に訴えられたらお笑いライブやバラエティ番組で使用できなくなると恐れているということです。仮に許可をとっても商標使用料をお笑い芸人や番組が使用料を払わないといけなくなるのでお笑い芸人の失業や番組に使えなくなるという理由だそうです。

確かにこうした記事が今年の4月に東洋経済オンラインに載っています。

メロディーの商標登録が、どれだけビジネスに有利に働くかは未知数。大幸薬品は正露丸の名称で果たしきれなかったブランディングの夢を、ラッパのメロディーで取り返すことができるだろうか。

出典 http://toyokeizai.net

「正露丸」でお馴染みの大幸薬品の「パッパラパッパ パッパラパッパ パーラパッパ パッパッパー、パッパラパッパ パッパラパッパ パーラパッパッパー」というラッパの音も今回認められてますのでお笑いライブで「パッパラパッパ パッパラパッパ パーラパッパ パッパッパー、パッパラパッパ パッパラパッパ パーラパッパッパー」を使った時にビジネスチャンスになるのでは?と考えれば商標使用料を取ろうと思うかもしれません。

気にする必要はない

こうしたお笑い業界の声に真っ向から「違うよ!」という声が出ています。

商標権とは言葉の使用全般を独占できる権利ではありません(これは文字の商標でも、マークの商標でも、音の商標でも同じです)。商標権は、商品やサービスを商売として販売・提供等する際に特定の文字、マーク、音等を標識として使用することを独占できる権利です。

出典 http://bylines.news.yahoo.co.jp

商標権に関してお笑い業界の方が認識が間違えてるということです。商標権の侵害として具体的に言いますと

例えば、洋菓子の名称としてAという文字について商標権を得た場合、他人が
1.洋菓子の名称として同じ商標Aを使用することはもちろん、
2.洋菓子の名称として似たような商標A'を使用すること
3.和菓子の名称として同じ商標Aを使うこと
4.和菓子の名称として似たような商標A'を使うこと

出典 https://www.hou-nattoku.com

お菓子の名前で商標権を取得した場合お菓子で同じ名前は勿論、似たような名前を使うと商標権の侵害になります。これではわかりづらいと言う方は別の例として

あいぴー:音の商標が認められるっちゅーことは、芸人さんとかは下手にパロディしたら商標権侵害になってしまうからもうパロディのギャグ出来へんな

チーたん:えー?そうなの?

ふっくん:まさか。芸人のパロディに新タイプの商標は影響しませんよ。

あいぴー:ホンマに?たとえば、スポンサーが大正製薬で、リポビタンの音の商標を真似て、タイ出身の芸人が「ファイトー!3バーツ!」とかやったら、スポンサーに怒られるやろ

チーたん:ファイトが3バーツって安いんだか高いんだか・・・

ふっくん:チーたん、突っ込んであげなくていいですよ。

あいぴー:チーたんは優しいな

ふっくん:さっきのジョークですけど、商標権の侵害になると思いますか?

あいぴー:なるやろ。「一発」と「3バーツ」は似とるもん

ふっくん:じゃあ、指定商品・役務は何ですか?

あいぴー:え?

チーたん:あ、そうか。商標は商品・役務を指定して権利を取得するんだったね

出典 http://iphappy.com

商標というのは商品を指定しないといけないと法律で定められてます。

第2条 この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。

3 この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。
一 商品又は商品の包装に標章を付する行為
二 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為
三 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
四 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
五 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
六 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
七 電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
八 商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為
九 音の標章にあつては、前各号に掲げるもののほか、商品の譲渡若しくは引渡し又は役務の提供のために音の標章を発する行為
十 前各号に掲げるもののほか、政令で定める行為

出典 http://www.houko.com

法律の条文だとわかりづらいので具体例を挙げますと薬品のCMに正露丸のCMで流れてる「パッパラパッパ パッパラパッパ パーラパッパ パッパッパー、パッパラパッパ パッパラパッパ パーラパッパッパー」を使ったら商標権の侵害ですが、お笑いライブやバラエティ番組で「パッパラパッパ パッパラパッパ パーラパッパ パッパッパー、パッパラパッパ パッパラパッパ パーラパッパッパー」ってお笑い芸人が言っても商標権の侵害にはならないし、使用料を支払う必要がないと法律で定められてるということです。

商標権というのは使用する目的と使用する製品を申請する際に定めなくてはいけませんので使用する製品以外に使用されても商標権の侵害にはなりません。他に具体例として

ちょっと常識を働かせればわかる話で、ビッグマックはマクドナルド社の登録商標ですが、日常会話で「ビッグマック」という言葉を使うたびにマクドナルド社の許可がいるわけではありません。一方、マクドナルド社と関係ないハンバーガー屋がビッグマックという商品名のハンバーガーを売り出せば、あっと言う間に商標権に基づく警告がマクドナルド社から届くでしょう。

出典 http://bylines.news.yahoo.co.jp

商標権などの知財分野のプロである弁理士の方もこの様に記してます。つまり、お笑い芸人がお笑いライブやバラエティ番組で今回の法律改正で商標登録されたCMの音や映像などをお笑いライブやバラエティ番組でネタとして使っても問題は発生しないということです。
但し、

商品のイメージを著しく損なうようなネタであれば、メーカーからクレームが付くことはあると思います(大昔、「ヌーブラヤッホー」のネタがクレームを付けられたことがあると記憶しています)が、それは営業妨害等の話であって、商標権の話とは直接は関係ありません。

出典 http://bylines.news.yahoo.co.jp

商品のイメージを損なうようなネタは商標権とは関係なく営業妨害で訴えられる可能性があるのでご注意ください。

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政治・経済、思想・哲学、文学を学びつつ地元を中心にラーメンを食べ歩くフリーの物書きおじさんです。
spotlight公式/プラチナライターでもあります。仕事は随時受け付けしてますのでブログなどを参考に依頼待ってます。
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