ある日、突然、姿を消した息子の友達。後日、その子のお母さんから聞いた話は私を驚愕させた。

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今年、中学3年になる息子にはかつて仲の良い親友がいました。こんな書き方をすると、今はいないように聞こえるかもしれません。もちろん、今も彼等は友達なのですが、その友達はある理由で、二年前に転校していってしまいました。ですが、その転校した経緯というのは、お父さんの転勤でも、家庭の都合でもありません。これは私がそのお子さんのお母さんから直接聞いた話です。

中学の入学式を済ませ、数ヶ月、漸く新しい学校や生活にも慣れたかなという頃、息子の仲良しの男の子を見かけなくなりました。どうしたのかなと心配していたら、息子から、その子が転校していったという話を聞いて、本当に驚きました。しかも、その転校先というのは息子たちの中学からかなり離れている中学校でした。息子に尋ねても、詳しい事情は知らないと言いますし、何が何やら判らないままだったある日、近くのスーパーで、その子のお母さんと偶然遭遇し、私は彼の転校の理由を初めて知ったのです。その理由というのは―。

転校の理由はクラスメートによる執拗ないじめだった!

そのお子さんが虐められるていることは、お母さん自身でさえ、最初はまったく知らなかったといいます。お子さんの様子に少し元気がないなとは思うものの、特に変わった様子もなく、部活動にも所属し、学校にも普通に登校していたので、気づきませんでした。ところが、そんなある日、入学式から二ヶ月が経った頃、お母さんがそのスーパーで買い物をしていたところ、息子さんを見かけました。もちろん、中学生は学校にいるはずの時間だったので、お母さんはとても驚きました。

それから、お父さんも含め親子三人で話し合いをしました。息子さんが途中で学校を抜け出しスーパーをうろついていたのは、あろうことか、クラスメートからイジメを受けていたからでした。それでも、両親に説得され、彼は翌日も登校していったそうです。ところが、数日後には、「もう行きたくない」と登校拒否をするようになってしまいました。

「もう駄目なんだ!」。大人しかった子が怒鳴り散らし、部屋中の物をめちゃくちゃに壊した日。

今度はお父さんと息子さんとの間で話し合いが持たれました。「お前、このままじゃいけないことは自分でも判ってるんだろう?」、そう告げた父親に彼は「そんなのは僕だって判ってる、でも、もう駄目なんだよ! 駄目なんだ」と、「駄目」という言葉を繰り返し叫びながら、部屋にある物を手当たり次第に投げつけて暴れました。

我が子はそこまで追い詰められていたのかと、母親は愕然とし―。

私の家にもよくそのお子さんは遊びにきていたので、大人しい良い子だということは私もよく知っています。お母さんの言うように、けして怒鳴ったり、ましてや物をぶつけて壊すような乱暴な子ではないのです。その大人しいお子さんが人が変わったように暴れる姿を見ながら、お母さんは愕然としました。「息子がそこまで追い詰められていたことを初めて知ったのよ」―、私に語った彼女の口調には、やりきれないものが滲んでいました。

ついに両親は息子を連れて学校に掛け合ったが―。

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ご両親はお子さんを連れて中学校に掛け合いにいきました。最早、このままにはしておけないと思ったのです。しかし、担任教師も校長も話は聞いてくれるものの、その対応は「もう少し様子を見ましょう」というようなもので、親側が「何か具体的な対策をして欲しい」と願っても、「担任から、お子さんをいじめているという子によく事情を聞いて指導します」という返事だけでした。

結局、事態は変わらず、イジメはなくならなかった。

そんな手ぬるい対応で、イジメがなくなるはずもありません。ご両親が心配したとおり、息子さんはまたすぐに不登校になりました。学校に行かない日が続く中、ご両親はついに一つの決断を下しました。

もう、息子をこの学校に任せてはおけない―。

この時、はっきりと息子さんを転校させる決意をしたそうです。ですが、ここでも学校側の対応は信じられないものでした。「そうは言われましても、それでは理由になりません」、返ってきた学校側の返事は彼等の学校や教師への不信感を更に深めるばかりでした。学校に行きたくないと泣いて嫌がるほどの執拗で陰湿なイジメを受けているのに、何の具体的な対策も立てないどころか、それが転校の理由にはならないだなんて―。

「ますます、もう、ここには息子を置いていけないと思ったわ」。お母さんはスーパーで強い意思を感じさせる口調で言いました。

私も正直、そこまで話を聞いたときは愕然としたものです。その対応は幾ら何でも無責任すぎるというか、あまりにも事なかれ主義すぎるのではと学校側の誠意のなさに憤りを憶えずにはいられませんでした。

元の中学には内緒で転校を決断。

これ以上、無理解な学校側と交渉しても意味がないと、ご両親は受け入れ先の中学に相談しました。幸いにも新しい中学校の校長先生がとても理解のある人で、書類上の手続きはすべてやって貰い、すべての事務手続きが終わった時点で元の中学には「転校しました」と報告と届け書だけ出し、事後報告ということにしたそうです。

息子さんには笑顔が戻り、毎日、元気で登校していると聞き、ひと安心。

息子さんが選んだ中学は、彼のお父さんが勤務している会社の近くの学校でした。毎朝、登校時は通勤するお父さんの車に同乗し、帰りはバスで一時間かけて帰ってきます。そうなのです、新しい中学はそこまで離れている隣の市にある学校なのです。それでも、お母さんは話の終わりに私に笑顔で言いました。

「思い切って決断し、息子を転校させて良かった」。

転校してから、彼には笑顔が戻り、嫌がることなくまた毎日、元気で登校するようになりました。すべての事情を語り終えたお母さんは晴れやかな笑顔でした。あれから二年経ちますが、彼は今も毎日、往復二時間かけて登校し、新しい友達と楽しく過ごしているようです。そして、その二つ下の弟さんの方はお兄さんから地元の中学の内情を聞いて、最初から地元ではなく別学区の中学に行く選択をしたそうです。

私がもっとも疑問と怒りを感じたこと。

結果として、ご両親の思いきった決断と、受け入れ先の学校の理解ある柔軟な対応が、一人の子供を救ったと考えるのは私だけでしょうか? もし、仮にあのまま彼が元の中学にいたとしたら、最悪の事態だってあり得たかもしれません。深刻なイジメにより、自殺する子供たちは今もって後を絶たないのが現状です。

そして、私がこの話を通して、最も疑問と怒りを禁じ得なかったのは、彼をいじめていたという女の子のひと言でした。

「それくらいのことで、あいつ、バカじゃねえ?」。イジメっ子が放った一言があまりにも自覚がなさすぎる。

これもお母さんから聞いた話になりますが、彼をいじめていたのは何と女の子でした。一昔はイジメっ子というと、体格の良い男の子というイメージがありますが、我が子たちにも話を聞くと、最近は男の子よりも女の子の方が質が悪いといいますか、率先してイジメるのは女子だそうです。

彼をいじめていたその問題の女子は担任教諭から自分がイジメていた男の子がイジメが原因で転校したと聞かされた時、「その程度のことで転校するなんて、あいつ、バカじゃねえ?」と言い放ちました。この科白には流石に私も開いた口がふさがりませんでした。しかも、そのときの態度は少しも反省の色は見られなかったそうです。確かに、この科白は、自分がどれだけのことをしでかしていたのか、まったく理解できていません。

親の育て方がうかがえる問題。

一言でいえば、その女子生徒の親御さんの躾が窺える問題だと思います。何故、学校側はもっと早くにその女子生徒の保護者に連絡を取り、親にもすべての事情を話し、親子ともどもに対して厳しい指導をしなかったのか? それが残念でなりません。結局、そのイジメていた張本人は自分が犯した罪の自覚もなく、そのまま大人になっていくしかないのです。今回は被害者側の迅速な対応で何事もなく終わりましたが、先ほども申し上げたように一歩間違っていれば、大変なことになっていたかもしれない重大な事件でした。

学校側にも、もっとイジメの事態を深刻に受け止めて欲しいと一人の保護者として強く願うばかりです。

それぞれの春、新たなる旅立ち

皆様、こんにちは。
 午前中、買い出しに行ってきました。
 春のお彼岸に入りましたので、お寺は少し多忙になります。
 もちろん、夏のお盆ほどではないですけどね。
 今日は仏様にお供えする供物などを買い込まなければならず、

その後、息子のお友達は転校先の中学で充実した日々を過ごし、この春、卒業、無事に志望校に合格も決まったそうです。ご両親や受け容れ側の中学の適切な対応がこの喜びの春につながりました。本当に良かったと思います。

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フリーライター。ウェブ小説を書いています。2013年、「歴史浪漫文学賞」において最終選考通過。入賞候補作品「雪中花~とりかえばや異聞」書籍化。洋の東西を問わず、歴史が大好き。自称【歴女】です。韓流時代劇に夢中。そのほかにも美容・天然石アクセサリー作りなどに興味があります。
ブログのURL http://ameblo.jp/megumi3777/

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