現代では怖いものというより愛すべきキャラクターとして子供から大人まで親しまれている妖怪。私たちが日常的に使っている言葉にも、妖怪が語源になっているものがたくさんあります。

火の車

火の車の語源となった妖怪は「火車」。

火車はその名の通り火炎に包まれた車の妖怪で、生前に悪事をはたらいた人の遺体を地獄へ連れて行くと恐れられてきました。家計が非常に苦しくなると、その生活はまるで火車に乗せられているように辛いということから生まれた言葉です。

件(くだん)

件とは予言をする人面の子牛です。世の中に悪いことが起きる前には件があらわれ、不吉な予言を残して死ぬと伝えられています。

昔の書状・証文などの末尾には「よって件の如し」という慣用句が書かれていました。件の予言のように嘘はないという意味です。

昭和の初め頃までは商品の広告にも件が使われていました。たとえば薬屋の新聞広告には、本当によく効く薬だという意味で「件如」という文句と件の絵が書かれています。

もっけの幸い

「もっけ」は“物の怪”のこと。
平安時代には人に取り憑く死霊や生霊を「物の怪」と呼びました。これが「物怪(もっけ)」と変化します。

妖怪は思いがけない時にあらわれ、人間の想像を超えた存在であることから、「もっけ」は予想しないことを意味するようになりました。そこから「もっけの幸い」は“意外な幸い”となったのです。

おジャンになる

夜、船で漁をしているといきなり海がパッと明るくなり、ジャーン!と雷が落ちたような音がして、それきり魚がまったく取れなくなってしまう。これが高知県の浦戸湾に伝わる「孕みのジャン」です。この地方ではものごとがダメになることを「おジャンになる」といったそうです。

もしもし

電話口で「もしもし」と言うのは自分が妖怪でないことを証明するためだという説があります。

その昔、黄昏時に道で会う人が人なのか妖怪なのかわからないので、相手に声をかけて確かめる方法がありました。

まず、「おいおい」「申し申し」などと2回同じ言葉を繰り返します。妖怪は同じ音を繰り返せないと考えられていたので「申し申し」と声をかけて「申し申し」と返事があれば人間だとわかったのです。

電話も相手がわからないので「もしもし」と言ったというわけですね。

語源には諸説ありますが、妖怪文化は言葉の中にも根付いています。語源になった妖怪を知れば日本語の面白さをより深く感じることができるでしょう。

【参考文献】
『妖怪百貨店別館』(村上健司著/朝日新聞社)

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華蓮 このユーザーの他の記事を見る

子供の頃から不思議なものを見つけたら調べずにはいられない性格。ちょっと恥ずかしがり屋なのはご愛嬌。一般の人が知らない「面白い」を探すのが私の喜びです。

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