オレゴン州カイザーに住むキートンくんとブライスくんの兄弟は、毎年のハロウィンにお父さん手作りの超ステキな仮装をするので知られています。去年のテーマは映画「ヒックとドラゴン」でした。

3歳のブライスくんは、ブルーのドラゴン

出典 http://www.kptv.com

9歳のキートンくんは、主役のヒック&ドラゴンのトゥース

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写真を見てお分かりかと思いますが、兄弟は電動式の車椅子に乗っています。
2人は遺伝性・神経原性の脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy: SMA)という進行性の病気で、身体の自由がききません。

脊髄性筋萎縮症(SMA)とは

脊髄の運動神経細胞(脊髄前角細胞)の病変によって起こる神経原性の筋萎縮症で、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と同じ運動ニューロン病の範疇に入る病気です。体幹や四肢の筋力低下、筋萎縮を進行性に示します。

小児期に発症するI 型:重症型(別名:ウェルドニッヒ・ホフマンWerdnig-Hoffmann病)、II 型:中間型(別名:デュボビッツDubowitz病)、III 型:軽症型(別名:クーゲルベルグ・ウェランダーKugelberg-Welander病)と、成人期に発症するIV型に分類されます(表1)。

主に小児期に発症するSMAは第5染色体に病因遺伝子を持つ劣性遺伝性疾患ですが、成人発症のSMA IV型は遺伝子的に複数の成因の混在が考えられます。

出典 http://www.nanbyou.or.jp

なお、SMA家族の会のホームページには、

*I 型は生後6ヶ月までに発症、2歳までに亡くなるとされていますが、それは人工呼吸器を使用しない場合。
*II 型は発症は1歳6ヶ月まで。坐位保持は可能ながら生涯、起立や歩行は不可能。乳児期早期に亡くなることはない。
*III 型は発症は1歳6ヶ月以降。自立歩行を獲得するが次第に転びやすい、歩けない、立てないという症状があらわれ、後に、上肢の挙上も困難になる。

と書かれています。現時点で根本治療は確立していません。

すべては海賊船から始まった

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10月31日のハロウィンに子供達が仮装をして「トリック・オア・トリート!」と言いながらご近所をまわってお菓子をもらう習慣は、早い子ならまあまあ歩けるようになる2歳頃から始めますが、本格的になるのは決まり文句を自分で言えて、お菓子も少しは食べられるようになる3歳ぐらいからです。

お兄ちゃんのキートンくんは3歳の時にはもう移動に車椅子が必要でした。その年の仮装に消防士や警官、カウボーイなどと並んで小さな男の子がやりたがる代表格の「海賊」を選んだ時、お父さんは「海賊の仮装をして車椅子でまわる」のではなく「車椅子をすっぽり包む海賊船」を考案し「海賊が船を操縦している仮装」を手作りしてしまいました。

それ以来、毎年「何かに乗った仮装」をデザインして作っているのだとか。そのためにお父さんは大学のオンライン講座でハリウッド映画で実際に使われている特撮技術を勉強したそうです。

今年のブライスくんは、映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」

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分厚いフォームラバーはプロ使用のもの。でもロケットの噴き出し口はホームセンターのロゴ入りのバケツ。
その手作り感が、たまりません(笑)

キートンくんのは恐竜にまたがった戦士だそうです

出典 http://www.kgw.com

義弟さんが大喜びで手伝ってくれているそうです。

去年、お父さん達はマジック・ウィールチェア(魔法の車椅子)という団体を立ち上げました

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キートンくんブライスくんの仮装が評判になり、問い合わせがくるようになったこともあり、お父さん達は非営利団体「魔法の車椅子」を立ち上げ、もっとたくさんの車椅子の子供達のためにハロウィン用の乗り物を作れるよう、寄付を募る事にしました。材料費と送料だけで、あとは手作り。ニュース映像でいくつか紹介されています。

たとえば象使い

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空飛ぶ絨毯にのるお姫様

出典 http://www.kgw.com

ディズニー映画「アラジン」のジャスミンかもしれませんね。

アイスクリーム屋のトラック

出典 http://www.kgw.com

夏休みに町々を巡るアイスクリーム・トラックは子供達の人気者です。

「私達には病気を治す事は出来ないが、子供達に楽しんでもらう事は出来ます」

キートンくん、ブライスくんの両親、ライアンさんとラナさんは、そうインタビューに答えています。今年のハロウィンには「魔法の車椅子」は兄弟の他に8人の車椅子カバーを作れるだけの資金が集まったそうで、10月31日にはアメリカの各地でカッコいい乗り物にのった子供達が「トリック・オア・トリート」をして歩くのを楽しみにしているそうです。

去年の兄弟の様子は、こちらの動画で見る事が出来ます。団体への寄付をよびかけるもので字幕はありませんが、2人のいい笑顔、見ている人々の反応などをご覧になって下さい。

出典 YouTube

「車椅子でもハロウィンを」ではなく、「車椅子ならではのハロウィン」「車椅子でなくては出来ないハロウィン」を思いついたお父さん達、素晴らしいです。

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