クッキーモンスターにビッグバード、オスカーやエルモでお馴染みの「セサミ・ストリート」を制作しているセサミ・ワークショップが、10月21日付で自閉症への共感と理解を深めるためのウエブサイトを開設し、自閉症の新キャラクターのジュリアを紹介して、話題になっています。

オレンジ色の髪に緑色の目。ジュリアはどこにでもいそうな女の子

出典 http://www.people.com

(Marybeth Nelson/Sesame Workshop)

ジュリアは番組内ではなく、「Sesame Street and Autism(自閉症)」というホームページ内で読める「We're Amazing, 1, 2, 3 !」というウエブ絵本のキャラクター。エルモの幼馴染みで、ブロックや車など少し違う遊び方をするのだというところから始まります。

そして話が進むに連れ、人となかなか目を合わさない事、でも一緒に遊びたがっている事、音にとても敏感な事なども紹介されながら、いろいろな人の助けを借りて新しく知り合ったアビーと友達になっていく様子が描かれていきます。

この絵本の作者、レスリー・キメルマンさんにも自閉症の息子さんがいます

出典 http://autism.sesamestreet.org

「20年前に息子が診断された時、自閉症について私達は何も知りませんでしたし、専門家達の間でもあまりよく分かっていませんでした」

「今はすっかり変わり、世の中の理解も深まってきています。でもひとことで自閉症と言っても1人1人の反応は全く異なります。『if you’ve met one person with autism, you’ve met one person with autism』(もし自閉症の人1人と会ったとしたら、その固有の自閉症の人と会ったということ)というのを聞いた事がある方もいらっしゃるかもしれませんね」

出典 http://autism.sesamestreet.org

それでレスリーさんは「誰もがそれぞれに違っている事、それが世の中を興味のあるものにしているということ、私達はみんな素晴らしい」ということを、この絵本で幼い読者達に伝えたいと思いました。

金子みすゞの「みんなちがって、みんないい」ですね!

3年の時をかけて、専門家達と練りあげたプログラム

以前こちらでモデルの栗原類さんに関連し、長年アメリカの支援学級(Special Education)の生徒達を見てきた立場から発達障害についての記事を書かせていただいたことがあります。

アメリカの公立校では問題行動などでクラスメートに迷惑をかけたりせず、取りあえずクラスに付いて来られる子なら、個別プラン(IEP)を作成して出来る限り普通の子と一緒に学ばせます。ですから支援学級には少し気をつけてあげるぐらいでは難しい子が集められていますが、隣に座っているのに人格がそこにいなくてパラレルワールドに入っているような子、1日じゅう教室の隅で丸まって固まっている子、感情の起伏が激しくて嬉しくても悲しくても叫び回る子など様々でした。

ジュリアはそれこそ意思の疎通も出来るし何度か同じ事を説明すれば理解してくれて、とても楽な子、普通クラスにいても少し気をつけてあげれば何でも出来る子です。はっきり言ってこんなものじゃないよ、という気がしなくもありません。

でも忘れてはならないのは、これが2歳〜5歳の子供用に作られているということです。私は大人になってからの経験で大人の目で見ているからそういう印象を持ちましたが、2歳〜5歳といえば保育園や幼稚園での集団生活で社会性を身につけて行く第一歩。その一番初めの時期に、少しの違いを排除するのではなく認めるという姿勢を「体験」ではなく「体感」として学んで欲しいということなのだと思います。

このホームページ開設にあたっては3年の時をかけ、様々な専門機関やエール大をはじめとする研究機関が名を連ねています。

ちなみにジュリアを番組の中ではなくウエブ絵本で登場させたのは、自閉症の子供達がデジタル媒体のほうに反応がよいからだそうです。

自閉症スペクトラム症候群の特徴の1つに「表情を読み取るのが困難」というのがありますが、こまかい部分に気持ちが集中し、かつ型にはめて学ぶ傾向があるために、40種類以上もある表情筋の動きが1つでも違うと判断出来なくなってしまうのだそうです。そして生身の人間は喜怒哀楽を毎回100%同じ表情で表現する事は出来ません。

その点、ロボットやデジタル媒体であれば毎回同じ表情、毎回同じ口調ですし、タブレット端末など持ち歩いて安心材料にすることも出来るので便利です。

自閉症の子供が学校でイジメにあう確率は健常児の5倍

このプロジェクトについてセサミ・ワークショップのシニア・ヴァイス・プレジデント、ジャネット・ベタンコート博士が雑誌ピープルの取材に対して語ったところによれば、自閉症の子供が学校でイジメにあう確率は健常児の5倍に相当するそうです。今や全米では68人に1人が何らかの自閉傾向にあると言われていますから、大変な数にあたります。

「子供達がお互いの相違点を尊重しつつ類似点も見出すようになってくれることが私達の目標です。自閉症の子供達も一緒に楽しく遊べて友達になれるし、輪の中に入れるんです」と博士はインタビューを締めくくっています。

なるほど、違いを認めあって理解しあったのちに、その人と自分との共通点を見いだす。それは最高に嬉しい発見に違いありません。

出典 http://www.today.com

(Marybeth Nelson/Sesame Workshop)

ホームページにはジュリア以外の子供達のストーリーや、お役立ち情報がたくさん

出典 http://autism.sesamestreet.org

すべて英語になってしまいますが、エルモの絵が付いている「Daily Routine」はお店やレストランに行った時や寝る前にはどうするかというミニ絵本で、ジュリアの絵がついている2番目の「Storybook」とともに音声付なので、お子さんの英語教材としても使って楽しいと思います。下のリンクから飛んで、体験してみてくださいね。

また、セサミ・ストリートでは、このプロジェクトのテーマソング「The Amazing Song」を見て聞いたあとで、お子さんのアメージング(素敵)な様子をSNSでアップして下さいと呼びかけています。
ハッシュタグは#seeamazingです。

出典 YouTube

この記事を書いたユーザー

Eko このユーザーの他の記事を見る

米シアトル在住、「地球の歩き方」特派員です。
http://tokuhain.arukikata.co.jp/seattle/
新記事をアップするとツイッターでつぶやきます。
https://twitter.com/EkoNay7789
たくさんのステキを共有できたらと思っています。気に入った記事がありましたらぜひ教えて下さい。

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス