イギリス在住の筆者は、度々この国のGP(クリニック)の医者の誤診が多いことを記事にしてきましたが、今やイギリスでは6人に1人がGPで誤診されているという状況です。イギリスでは、具合が悪くなってもよほどの緊急事態でない限り、直接病院に行くことはできません。

まず登録してあるかかりつけのGP(クリニック)に行き、医者に診てもらうわけですが、この医者は専門医ではありません。一般診療しかできないために当然GPではレントゲンさえも撮ってもらえません。日本のように子供が病気になっても、ウイルスの検査をしてもらうことさえもできないのです。

患者はいつも不安な状況に置かれる

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子供を持つ筆者も、子供のことで何度も不安な思いをしました。はっきり検査してもらえないために病名もわからず、自分でネットで調べるだけ。処方箋は滅多に出されません。先進国なのにまるで遥か昔の自然治癒法に頼っているような、そんな不安感さえあります。

このGPからの紹介状があって初めて専門医に診てもらえるイギリス。歯医者も同じシステムです。NHS(国民健康保険機関)傘下の病院は、限られた政府の予算でこの順序を辿るというわけです。

ちょっと余談になりますが、先日息子に虫歯を発見したのでNHSの歯科医院に連れて行きました。何の治療もなく子供病院への紹介状を書くと言われただけでした。しかも紹介状が届いて、こちらに連絡があるまでは6週間から8週間待たなければいけないとも。700人の子供が、その順番を待っているというのです。これには驚きました。

虫歯が痛んだらどうするのか。それに対しては「痛んだら言って下さい。電話で順番を早くしてもらうように頼んであげますよ。」ということでした。歯医者だけでなく、普通のGPもそんな感じで専門医に辿り着くまで、順番が先か命が先かといった不安な状況に晒されている患者も、イギリスでは決して少なくないのです。

「他の女性に同じ不安や恐怖を味わってほしくない。」

出典 http://www.mirror.co.uk

41歳の時に、胸にしこりを感じたジェーン・マードックさん(46歳)もGPの誤診により、乳がんを早期発見できなかった被害者の一人です。母親を乳がんで亡くしていたジェーンさんは、シャワー中にしこりを感じて恐怖を覚えました。

すぐにGPに行ったジェーンさん。乳がんは遺伝性が強いがんなので、母を乳がんで亡くしたことも伝えました。でも担当した医者は「心配いりませんよ、がんではないですから。」と誤診。後になってやっぱり乳がんだとわかったジェーンさんは、「母のことも言ってあるからまさか誤診をするとは思わなかった。」とショックを隠せなかったそうです。

数週間経ってますます大きくなってきた胸のしこり

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なんともないと言われたにも関わらず、しこりがますます大きくなってきていることに気付いたジェーンさん。2011年1月に再度GPへ。前回は男性の医師でしたが今回は女性の医師。

そしてジェーンさんの胸を診察するやいなや「明らかに乳がんです。前のドクターが何故、この徴候を見逃したのか理解できないわ。」女性医師もショックを隠せない様子だったそうです。そしてすぐに専門医へと紹介状が回されました。

誤診した男性医師を訴える決心をしたジェーンさん

出典 http://www.mirror.co.uk

遡って2010年の5月に診察した男性医師に激しい怒りが湧いたというジェーンさん。サイトでサポート団体を見つけ、弁護士に相談。自分の病気とも闘わなければならないジェーンさんにとって、この行為は苦痛でした。

それでも、「他の女性にこんな思いをしてほしくない。」という気持ちが勝り裁判をすることに。2013年に行われた初公判では、その男性医師は誤診を認めたそうです。それにより幾分か安堵したというジェーンさん。

早期発見だったら、もっと結果は違ったはず

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男性医師が誤診を認めたのは良かったにしても、やはりジェーンさんにとってはショック以外のなにものでもありません。ジェーンさんは、このことがきっかけとなってGPの
ドクターも十分注意して診察するように、また、乳がんかもしれないと不安に思う患者に実際に誤診はあるから気をつけてと呼びかけています。

2015年の厚生労働省のリサーチでは、日本でも毎年5~6万人が乳がんになっていて、その死亡数は1万人ほどとも言われています。30代後半から増えるといわれる乳がん。特にアラフォー世代は最も多いとも。

近年女性でも仕事を持っている人は多いので、つい定期検診を見逃しがちという人も少なくないと思いますが30歳以上の人は、年に1回はがん検診を受けるようにと厚生省も薦めています。

イギリスでは、GPで子宮がんの検査を3年に1度するだけで、その他の定期検診を病院でさえもしていないので、ますます不安になる筆者です。日本は専門医にすぐに診てもらえるという強味があるので、普段から健康に気をつけてちょっとでもおかしいと気付いたらすぐに受診するようにしましょう。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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