記事提供:長谷川豊 公式ブログ

少し前のことになりますが、大阪での取材中に素晴らしい記者の方と会いました。うらやましくもあり、こういう人がいるので、大阪の政治シーンは注目され盛り上がっているのだなぁ…と理解しました。

もちろん、そう仕向け、きっかけを作ったのは橋下市長でしょう。しばらく永田町や中央で取材をしてきた人間としては、本当にこうして関われているだけで幸せなことだと実感しました。

記者さんの名前は「奥田さん」。下の名前はわからないですが、TBS系列の大阪の準キー局であるMBSというテレビ局に勤めるベテラン記者さんです。

先日行われた第3回の大阪会議の取材で…あ、「大阪会議」っていうのは、大阪の将来に向けての政策を話し合うために設けられた、30人ほどからなる会議でして、5月に行われた「大阪都構想」に代わるアイデアとして自民党が提案したものです。

で、当然のことながら自民も維新も大喧嘩。案の定というかほぼ何も決まらず、準備段階で揉めに揉めて…結局「大阪会議」本体はメンバーが集められたにもかかわらず3分で終了してしまいましたってやつなんですけど…(涙)。

まぁ政治シーンですからね。ケンカはあるし、揉めるのはしょうがないのですが、会議が終わってから橋下徹大阪市長や松井大阪府知事、そして竹山堺市長の3人が囲み取材に応じてくださったので、まずは私の方からいくつかの質問を…と思ったら

その段階で、3人で大喧嘩(笑)。いやまぁ…いいんですけど(苦笑)。

その後、MBSの奥田記者が橋下市長に切り込みました。どんな質問だったのかは大阪会議の流れやその日を取材していないとわからない内容なので割愛しますけれど、はっきり言って

実に的を射たいい質問でした。

言い方は違ったでしょうが、もし誰も聞かなかったら私が後半に聞こうと思っていた質問内容でした。

橋下さんも今まで戦ってきた(?)歴史もあるものですから(MBSと橋下さんはしょっちゅうケンカしてるんです)、番組名まで出して怒り始めます。でも、全然引かない奥田記者。

しばらくの間、二人のやり取りが続いて、松井大阪府知事が「二人の議論、公開にして他局でやったらええんちゃう?」と冗談にして終了です。もうね、そばで見ていて…

心底、うらやましかったです。

こんなにも、政治家相手に全力でぶつかっていく記者は、中央には全く存在しません。記者クラブでなぁなぁの空気感の中、ゆる~い質問しか誰もしないのです。

政治家は保身を考え、守りに守りに入りますし、記者も自分たちの「記者クラブ」という既得権益を守りたいので本気で怒らせるようなことはほぼしません。やったとしても多少のきつめの質問くらいです。本気で大ゲンカなんてしません。

奥田記者は私よりもずっと先輩です。その年代で、会議場の中にPCをもって入り、議事録を懸命に打ち込んでいる姿を見て、これほどのベテラン記者が、まだ汗をかいてらっしゃるのか…と驚きました。

ちなみにキー局のこの年代の記者は、みな「デスク」と言って会社の中で汗もかかずにふんぞり返っています。そして、自分が取材していたころの、昔の知識とともに、今、汗をかいている記者たちに偉そうに説教を垂れ続けているのが実情です。

本来はそうあっても不思議ではない奥田記者が、まるで新人記者がやるような雑巾がけをやっていることに素直に驚きましたし、取材に基づき正確な質問を投げかけている姿は、まさしく記者の鏡だなぁ…と素直に尊敬しました。

我々アナウンサーの仕事は「対象が一番話しやすい雰囲気を作り、一番いい部分を引き出すこと」に特化しています。

私はスタジオMCでもキャスターをしている時でも、ゲストに来られた方が、その方々が最も「いいトーク」ができるように心がけているつもりです。それらの教育も受けてきました。

しかし、記者はジャーナリストとしての役割を担っています。メディアの一員として権力となれ合ってもいけませんし、常に批判的な目線を持つことは世界のどのジャーナリストもやっていることです。

そして、そのジャーナリストたちに尊敬の念を持ちながら、言い返すところは言い返し、時にはケンカをしながら、やりあうことも政治家の大切な役目です。

橋下さんはそこから一歩も逃げないタイプの政治家なのでしょう。なんというか、真正直というか…不器用というか…。

ただ橋下さん自身、嫌がりながらも、こういった「骨のある記者」たちに鍛えられている部分もあるはずで、それはご自身も自覚しているでしょう。本当の意味での「いい関係」です。繰り返しになりますがうらやましい限り。

遠めに見てるとケンカしてるようにしか見えないでしょうけど(笑)。

実は私もテレビ大阪で担当している夕方の情報・ニュース枠は大阪では、そのMBSさんの「ちちんぷいぷい」という番組がダントツの視聴率をキープしています。ライバルではありますが、分かる気がします。

番組はチームで作り上げています。あれほどのベテランが雑巾がけ同然の取材をして汗をかきながら加わっているのであれば、若手たちもかなりいい勉強になっていることでしょう。

司会を務める西アナウンサーや同期の河田君も素晴らしいですが、きっと総合力で、他局をかなり凌駕しているのでしょう。

大阪では、11月22日に、大阪府知事と大阪市長を同時に決めるW選挙が行われます。またそれに向かって、様々な議論が沸き上がっていくことでしょう。私も気を引き締めて取材に当たりたいと思います。

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