これは和歌山カレー事件が起こる2年ほど前の出来事でした。

この話を母から聞いた時は、そんな事ってあるんだろうか…と思いましたが、和歌山カレー事件で使われた毒「ヒ素」が、床下のシロアリ駆除の消毒薬の中にはいっているのだとニュースで言われていたのを聞いて、「あぁー、だから…」と納得したのを覚えています。

そして、その時頭に浮かんだのは、〝因果応報、やったことは返ってくる〟でした。

『大雨による川の氾濫で床上浸水、それが…。』

当時60代前半のA子さんが住む地域の土地は川よりも低く、この年も大雨で水嵩がました川から堤防を越えてなだれ込んできた大量の水で、A子さんが住む住宅街の一階部分は殆ど水没しました。

その後、水が引き、後片付けをしたA子さんの家の床下にシロアリ駆除の薬がまかれたのですが、その匂いのきつさに旦那さんは「とても、こんなところで寝ることは出来ない」と、その晩は車の中で寝たそうです。

ですが、A子さんは「大丈夫」といって、いつも寝る一階の和室で休んだそうですが…。

翌朝、旦那さんがA子さんの名を呼んでも起きない。身体を揺すって起こそうとしても起きない。

とうとうA子さんは、救急車で病院に運ばれました。
そして数ヶ月後、目覚めることなく…運び込まれた病院でA子さんは亡くなりました。


『亡くなったことを、やっぱりね…、と周りに言われたA子さん』

それは、見殺しにした罪。

A子さんにはお兄さんがいました。そのお兄さんは随分若い頃(30年近く前)に亡くなっているのですが…。その亡くなり方が不気味だったのです。

A子さんのお兄さんは、小さな女の子(当時3歳)を連れた女性と結婚しました。が、このお兄さん…、この小さな女の子に暴力を振るい虐待しだしたのです。

その当時、このお兄さんの家の隣には、お兄さんの家とはなんの関係もない赤の他人のおばあさんが住んでいました。

ある日、この小さな女の子が、必死の血相でおばあさんの家の中に逃げ込んで来ました。それまでにもこのおばあさんは、義父親に怒られてご飯を貰えなかった女の子にご飯を食べさせたりしてあげていました。

ですが、この日はいつもと様子が違う五歳になった女の子の異常なほどの怯えように、おばあさんはビックリしたそうです。

やがて、女の子の義父親(=A子さんのお兄さん)が草を刈る鎌(カマ)を片手に持ち、それこそ鬼のような顔をして、おばあちゃんの家に入ってくると「子ども出せ!」と大きな声で叫んだそうです。

おばあちゃんの後ろに隠れて小さくなる女の子。おばあちゃんは、その時、この子が殺されると思ったそうです。

おばあちゃんは、女の子を後ろに隠して「この子がなに悪いことしたんか知らんけど、こんな小さい子のすることなどたかがしれてる。だいの大人が…。それも、一人前の男か目くじらたてることないやろ」と女の子の義父親に言いますが、A子さんのお兄さんは、「子どもをだせ、おもいしらせたるんや!」と叫んで聞きません。

そうこうするうち、この騒ぎを聞きつけた近所の人が「何事か?」とおばあちゃんの家に集まってきて、A子さんのお兄さんが、いくら子どもが悪いことをしたとはいえ刃物まで持ち出すのは大人げない。やりすぎだと責めたのです。

それでやっと気持ちが落ち着いてきたのか、A子さんのお兄さんは少し大人しくなりました。

そこで、おばあさんは「そんなにこの子が、おまえの気にさわるんなら、ババとこへ置いていけ。食べるくらいならこのババひとりでも食べさせられる。置いていけ」とA子さんのお兄さんに言ったそうです。

近所の人も「そうせい、そうせい」と言うので、ばつが悪かったのでしょう。A子さんのお兄さんは、女の子を残してなにも言わずにおばあさんの家を出て行ったそうです。

そして、その日…。
「あんたも連れ子で辛いやろう。この子は、ババとこへ置いていけ」というおばあさんの声を無視して「もう、あんなことはしないとあの人も言ってますから」と迎えに来た母親に連れられて帰った女の子は、義父親、つまりA子さんのお兄さんの手によって(虐待によって)3日後に亡くなりました。

この日も、次の日も、その前からも…、おばあさんや近所の人は、A子さんに、お兄さんの女の子に対する虐待をやめるよう説得して欲しいと頼みましたが「私には関係ないことやし、そんなことようせん」といって見て見ぬ振りをしていたのです。

ですからA子さんが亡くなっても誰も「可愛そうに…」とは言わない代わりに、「とうとうバチが当たった」と周りの人はいったそうです。


『不可思議なA子さんの兄の死』

一方、継子を殺しながら…、当時はまだ虐待と言う言葉さえない時代です。
まして、子どもの人権など無視されてしまい。

この女の子は亡くなっているにも関わらず(現場は血の海だったそうですが…、ろくに調べもしなかったそうです)事故ということで、駆けつけた警察官に処理され、A子さんのお兄さんは何の罪に問われませんでした。

が、しかし…。
その3年後、A子さんのお兄さんが仕事で山に一人で入ったきり帰ってこないので、近所の人総出で夜まで探し回ったそうですが、その日は見つからず。

翌朝、大きな木の根元に天を仰ぐように上を向いて、どう見ても…(山の中に一人しかいないのですから、自分で自分の首を切ったのならわかるのですが)…誰かに、後ろから鎌で首をかき切られたようにして亡くなっていたそうです。

そして、もう一つ、この日、A子さんのお兄さんは鎌を持って山に入っていはなかったことです。
(女の子が死んでから、A子さんのお兄さんは鎌を見るのも持つのも嫌がり、納屋の奥の取り出せないような場所になおしこんでいたそうです。)

なのに…、

信じられないことにその鎌がここにあること。

そして…、その鎌で首を切られていること。

このとき、近所の人は、あの子が山の神様の力を借りて復讐したに違いない。そして、このとき…、きっとあのA子さんにもバチが当たると密かに囁いたそうです。

なぜなら、もう一人。

これは事故だとA子さんのお兄さんを何の罪に問わなかった警察官は、その後事故を起こし、結局警察を辞めさせられる事になったからだそうです。


最後に…。

この話を母から聞いて、一つ疑問に思うことがありました。それは「その女の子の母親はどうしたのか?どうなったのか…?」です。

母の話では、A子さんのお兄さんが亡くなると、暫くの間はその子の母親は村にいたそうですが、いつの間にか何処へとも分からずじまいの…、いなくなってしまい。今は生きているのか死んでいるのかも分からないそうです。

しかし、でも、やっぱり疑問が残ります。

「でもさぁ、その子が復讐したにしろ…。天の神様からの裁きだとしてもよ。その子の母親には、その間、なにもなかったのはなぜ?ある意味、A子さんより悪のと違う?」と母に聞きました。

「子どもにとってどんな親でも親は親。人殺しでも親は親。そやから、決して人の親の悪口はいうたらあかん。は、それだけ、その子にとってもお母さんが一番好きやったからと違うか」と母は言いました。

そう、多分、因果応報の輪の中に入れたくないくらい…、その女の子は、お母さんが好きだったんでしょうね。

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知らないことが知りたくて、メンタル、カルマ、礼法に漢方スクール…etc.とお勉強。で、ですね、人を動かしているのは無意識、でも、この無意識を味方につけるとスゴいんだ~と気づいたら…、なぜか、「えっ?!そうくるかぁ~」と、色んな場面に遭遇しれしまう…という面白いことが起こりだすのでした。

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