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現在、NYには「ねこカフェ」は1軒しかないそうです。しかもそのねこカフェは日本のものとは根本的に目的が違うのだとか。NY在住のしんコロさんが、自身のメルマガ『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』でその違いを詳しく語っています。

NYのねこカフェ

さて、先日TBSの「生き物にサンキュー」のロケに同行してきました。そのロケの一環で初めてNYで「ねこカフェ」というものに行ってきました。

NYのねこカフェは、日本のものとはまったく違う特徴がありました。今日はそのことについて書きたいと思います。

ロケではねこカフェだけでなくいろいろな所に行ったので、その詳細はネタバレになってしまうから書けませんが、日本とNYのねこカフェのシステムの違いという点にフォーカスを当てて書いてみたいと思います。

前回帰国したのはかれこれ1年半以上前になりますが、そのときに取材の一環で上野のねこカフェを訪れたことがあります。日本のねこカフェは、ねこのいる空間でお茶やお菓子を食べたり、漫画や雑誌やインターネットをしながらくつろげる空間です。

事情があってねこを自宅で飼えない人が、擬似的にねこを飼っているような体験ができる空間でもあります。僕が訪れた上野のねこカフェには、女性客7割、男性客3割という感じでした。

男性客は、デートで来ているという人がほとんどのようでした。お客さんは各々にねこと戯れると、満足したように帰っていきます。癒される空間であることは間違いなさそうです。

日本のねこカフェビジネス自体が良い悪いは別として、ときどき経営難になったねこカフェがねこの処分に困ることがあります。

ねこカフェオーナーやスタッフも当然ねこ好きの人も多いでしょうから、責任をもってねこの行き先を探してくれる人たちもいるでしょう。

でもその一方で、経営難やその他の理由で、ねこの行き先を探すどころではなくなってしまうオーナーもいることでしょう。

以前、とあるねこカフェが潰れそうで、ねこを保護しないなら安楽死させるので、引き取り手を募集している情報を拡散してほしいというような依頼を何度か受けたことがあります。

そんな依頼にも、日本のねこカフェビジネスの潜在的な問題点が見え隠れしています。

日本と違うねこカフェの目的

さて、NYには現在は常駐のねこカフェは1軒しかありません。そして、くしくもロケの前日にブルックリンに新しいねこカフェがポップアップショップとして現れました。

ポップアップショップとは、店舗の改装などによる一時的な空き物件などを使って、期間限定の店舗を開くことです。

このブルックリンのねこカフェも数週間限定の「ポップアップねこカフェ」だったのです。

ねこカフェの様子はテレビで放映されるので詳しくは書きませんが、テレビでは恐らく伝えきれないかもしれないこと、つまりその目的とシステムについて書きたいと思います。

すなわち、そのねこカフェは「里親を募集する場」として設けられているのです。このねこカフェにいるねこはすべてシェルターからの保護ねこなのです。

身寄りがなく、これから家族として迎えてくれる飼い主を求めているねこたちです。

お客さんがこのカフェに立ち寄ってねこと戯れて、気に入ったら引き取っていく、というのがカフェの目的です。

ねこと触れ合うことができて、そしてねこの為にもなるという一石二鳥のシステムです。

日本にもこのような「シェルター+ねこカフェ」的な施設はゼロではありませんが、シェルターシステムが進んでいるアメリカだと、この「ねこカフェ+シェルター」のシステムがよく機能するのです。

ちなみに、ねこカフェのスタッフは、皆ボランティアでした。ねこの保護を推進したいねこ愛好家達がアイディアと労力を寄せ集めて運営していました。

そして期間限定でも売り上げた収益はねこの医療費やシェルターでの保護費として寄付するというシステムでした。

しかし、これくらいのねこカフェシステムなら日本でも可能だ、と思う方も多いでしょう。そもそも、数週間だけポップアップねこカフェとしてやって、何の意味があるのか?

また、ボランティアも最初は勢いよく頑張れても、時間と労力がたくさん必要となると継続するには個々人に負担がかかります。

ねこカフェを常駐するとしても、収益を寄付しているだけではなにかと費用がかかるNYでカフェを運営することなど不可能です。

それらの問題は、いったいどうやって解決するのでしょう?

ねこを助けるアイディア

そして、ここからがこのブルックリンのねこカフェの目的の核心です。このポップアップショップとしてのねこカフェは、「実験としてデータを集めるためのもの」だったのです。

「ねこカフェを作ってねこを助け、ビジネスにもする」という長期目的のために、ポップアップショップとして期間限定でオープンし、

どれだけのお客さんが入り、どれくらいねこが保護されて、そしてどれくらい収益があげられるかというデータを収集するための実験だったのです。

そして、それらのデータを元にビジネス企画案を作って、クラウドファンディングで資金集めをし、本格的にねこカフェをオープンするというのが本当の目的だったのです。きわめて計画的なプロジェクトです。

日本でねこカフェをオープンするとしたら、まず投資家か借金か自腹で資金を用意して賃貸し、ねこを集め、スタッフや物品を集め、そして運営を始めます。

うまくいかなかったら投資する資金は無駄になるし、ねこも路頭に迷うことになりかねません。

しかし、このブルックリンのねこカフェのようにポップアップショップとして、そしてシェルターのねこを里親探し目的として集めれば、それらのリスクが一切なくなります

そしてそこで「運営可能だ」というデータが取れれば、本格的に投資を募って常駐のねこカフェをオープンすることができます。

オープンするにあたって成功するかどうかは、前もって実験を行うことである程度の予測が立てられます。

そしてそういった予測が立てられれば、投資家やクラウドファンディングを通して資金も集めやすくなります。

リスクが少ないぶん、ここで必要なのは情熱だけです。

クラウドファンディングを活用

ここで、「クラウドファンディング」という言葉に耳慣れない方もいらっしゃると思うので、簡単に説明しましょう。

クラウドファンディングとは、不特定多数の人がインターネット経由で財源の提供や協力を行う活動です。

みんなが集まって(Crowd)資金を集める(Funding)という造語です。

つまり、ねこカフェに当てはめていえば「ねえみんな!ねこカフェをやったらこんなに人が来るよ!そしてねこも救えるよ!そしてさらに収益も上がるのでビジネスにもなるよ!だから、資金を少しでいいので貸してくださいな!」ということです。

アメリカではクラウドファンディングはとても盛んで、ベンチャー企業への出資、映画製作、ファンによるアーティストの活動のサポート、防災や市民ジャーナリズム、開発や研究など、さまざまな分野で一般的になっています。

クラウドファンディングのやり方はインターネットで大勢に呼びかけるシステムなので、出資する側も少額から参加できることもあり、気軽に出資できることもクラウドファンディングが成功している理由の一つでもあります。

ちなみに、資金提供者にはそのプロジェクトが成功した時に金銭的リターンのない「寄付型」、金銭リターンのある「投資型」、

プロジェクトによって権利や物品を購入できる「購入型」などいろいろあり、その目的やプロジェクトの種類に応じて決めていくかたちになります。

従来のように、ビジネスで金銭的リターンを求めるだけの投資家にねこカフェの話をもちかけても、きっと見向きもしてもらえないでしょう。

けれども、世界じゅうのねこ愛好家たちに、ねこを救うためのねこカフェのアイディアを訴えたら、出資してくれる人たちはたくさんいることでしょう。

そういった意味で、ポップアップショップとしてデータを集めて、クラウドファンディングで資金を調達するというこのブルックリンのねこカフェのアイディアは、今後日本でもこのようなシステムを模倣するにあたって大変参考になると思いました。

もちろん、アメリカではアニマルシェルターのシステムが整っているだけに、こうしたねこカフェもやりやすいという事実もあります。

もし日本のようにシェルターシステムが整っていなければ、ねこカフェが一時的にねこを預かるなんてことさえ不可能かもしれません。

しかし一方で、逆の発想もまた可能かもしれません。

つまり、こういったねこカフェのアイディアを僕達日本人が訴えていくことで、公共のシェルター施設が必要なだけでなく、継続的な運営が可能になるかもしれないと行政を説得できるかもしれないからです。

ねこカフェのアイディアが、シェルターを支えるという逆転の発想です。

ということで、NYはブルックリンのねこカフェと、日本のねこカフェの違いを紹介してみました。

日本発のねこカフェが、NYでねこを助けるために発展して、そしてまた日本に逆輸入されればいいなと思ったロケでした。

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