10月5日(月)に大筋合意したTPP(環太平洋経済連携協定)。
大筋合意前後から各種メディアが報道し翌日に安倍首相が記者会見を行いました。2013年3月にTPPに交渉参加すると決めた時にも安倍首相は記者会見を行ったTPPですが、中身はどんなものなのかわかってるようでわかってない方も多数いると思われます。
そこで5年前の菅内閣でTPPという言葉が初めて日本で出てきた時からTPPをウォッチングしてきた筆者がTPPについてできる限り解説をします。

TPPとは?

TPPとは日本語にしますと環太平洋経済連携協定といいまして日本、アメリカ、メキシコ、カナダ、ブルネイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、ペルー、チリの12カ国による貿易及び経済連携を行う国際協定です。

これだけでも?マークが付く人がいるかもしれませんのでもっと砕いた言葉を使いますと「12カ国で貿易を中心に国内も加盟国同士でできる限り同じ規制でやっていこう」ということです。
TPPに入ってる国同士や入ってる国の企業は国内企業と同じ扱いにしてできる限り同じ規制でやりましょうという取り決めが大筋で合意したのが10月5日です。

では、どういった分野が同じ規制になっていくのか?

1.物品市場アクセス(作業部会としては、農業、繊維・衣料品、工業)2.原産地規制貿易3.円滑化SPS(衛生植物検疫)4.TBT(貿易の技術的障害)5.貿易救済(セーフガード等)6.政府調達 7.知的財産 8.競争政策 9.越境サービス 10.一時的入国 11.金融サービス 12.電気通信 13.電子商取引 14.投資 15.環境 16.労働 17.制度的事項 18.紛争解決 19.協力 20.分野 21.横断的事項

出典 http://www.kantei.go.jp

21分野にも渡って、21分野の中に更に項目があり項目全て合わせると94項目を同じ規制でやりましょうということです。
これら全てを解説してると相当量の文面を使わないといけないので特に重要な部分だけを解説したいと思います。

TPPには危険性が高い

安倍内閣で交渉参加してから今回の大筋合意までマスメディアの報道は控えめでしたが、TPPという言葉が日本で最初に出てきたのは5年前です。5年前の菅内閣で当時の菅首相がAPECで「TPPで第三の開国」と発言してからになり、TPPとは何だ?という事で有識者が解説したり調べた方が主にネットで紹介したりしてTPPは危険であるということがわかってきてマスメディアも取り上げられるようになり、TPPに関する書籍も多数出版されるようになりました。

TPP亡国論(中野剛志著)

出典 http://www.amazon.co.jp

数あるTPPに関する著書で一番売れて話題にもなったのが当時京都大学大学院准教授だった中野剛志さんのこの「TPP亡国論」で新書としては異例中の異例の20万部売れました。新書は5000部から7000部売れればヒットで1万部で大ヒットですから新書で20万部売れたのは特筆すべきことです。

この「TPP亡国論」で書かれていたことは「TPPに参加することで日本は成長どころか衰退する」という主旨でTPPに参加することで農業だけでなく、環境、労働、医療、社会保障、著作権などが国民の手で決めることができなくなると警護を鳴らした書です。

自民党も野党の時はTPP交渉参加反対を掲げていましたが、

与党に復帰して安倍首相は交渉参加を決めました。その時に安倍首相は会見で

TPPに様々な懸念を抱く方々がいらっしゃるのは当然です。だからこそ先の衆議院選挙で、私たち自由民主党は、「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、TPP交渉参加に反対する」と明確にしました。そのほかにも国民皆保険制度を守るなど五つの判断基準を掲げています。私たちは国民との約束は必ず守ります。
そのため、先般オバマ大統領と直接会談し、TPPは聖域なき関税撤廃を前提としないことを確認いたしました。そのほかの五つの判断基準についても交渉の中でしっかり守っていく決意です。

出典 http://www.kantei.go.jp

この様に述べました。上述してる「オバマ大統領と直接会談氏TPPは聖域なき関税撤廃をしないことを確認しました」というのは交渉参加する前に行われた日米首脳会談で

安倍総理から,1)日本には一定の農産品,米国には一定の工業製品というように,両国ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在すること,2)最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであること,3)TPP交渉参加に際し,一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められないこと,の三点について述べ,これらについてオバマ大統領との間で明示的に確認された。

出典 http://www.mofa.go.jp

「最終的には交渉の中で決まっていく」ということで交渉参加を決断したということで反対論の声が小さくなっていき、先日まで甘利経済財政担当大臣がTPP担当大臣として交渉を行い大筋合意をしたのです。

大筋合意の内容は?

TPPが大筋合意をした時に現地で甘利大臣が会見を行った動画がありますのでそちらからどうぞ。

出典 YouTube

会見は30分を超えますので全部見てる時間がない人は翌日の安倍首相会見の抜粋だけでもご覧下さい。

10月6日に会見を行った時に安倍首相は「TPPは国家100年の計」と前置きした上でこの様に述べてます。

TPPは私たちの生活を豊かにしてくれます。
 それは、貿易に国境がなくなり、世界のバラエティーあふれる商品を安く手に入れることができるというだけではありません。
 海賊版、偽物の商品を買わされて後悔する。そのようなことは、なくなっていきます。海外に旅行をしたときの電話代も安くなるかもしれません。サイバーの世界を飛び交う皆さんの個人情報もしっかりと守られるようになります。

出典 http://www.kantei.go.jp

他にも具体例として

TPPは、私たちにチャンスをもたらします。
 その主役はきらりと光る技を持つ中小・小規模事業者の皆さん。そして個性あふれる、ふるさと名物を持つ地方の皆さんであります。
 10%近い眼鏡フレームの関税がゼロになる。福井の鯖江ブランドをもっと世界に広げていく絶好の機会であります。
 日本茶にかかる20%もの関税がゼロになる。静岡や鹿児島が世界有数の茶所と呼ばれる日も近いかもしれません。
 国によっては30%を超える陶磁器への関税がゼロになる。岐阜の美濃焼や佐賀の有田焼、伊万里焼。日本が誇る伝統の陶磁器は、海外の人たちを魅了するに違いありません。
 意欲あふれる地方の皆さん、若者の皆さんには、是非TPPという世界の舞台でこのチャンスを最大限いかしてほしいと思います。

出典 http://www.kantei.go.jp

これらはTPPの全体から見れば大したことないと断言できますのであまり気にしないでいいのですが、他には

米や麦、さとうきび、てんさい、牛肉・豚肉、そして乳製品。日本の農業を長らく支えてきたこれらの重要品目については最後の最後までぎりぎりの交渉を続けました。
 その結果、これらについて、関税撤廃の例外をしっかりと確保することができました。これらの農産品の輸入が万一急に増えた場合には、緊急的に輸入を制限することができる新しいセーフガード措置を更に設けることも認められました。

出典 http://www.kantei.go.jp

こう述べた上で

政府としてTPPにチャンスを見出し、世界のマーケットに挑戦しようとする皆さんを全力で応援したいと考えています。

改革を恐れるのはもうやめましょう。勇気を持ってチャレンジすべきです。イノベーションを起こし、そして、オープンな世界に踏み出すべきときであります。

出典 http://www.kantei.go.jp

TPPに参加するとメリットが大きく、それを政府も後押しすると発言をしてます。交渉参加前にデメリットとしていた部分については

世界に誇るべき我が国の国民皆保険制度は今後も堅持いたします。食の安全・安心にかかる基準もしっかりと守られます。正当な規制を行うに当たって我が国の主権は全く損なわれることはありません。投資家と国との紛争処理、いわゆるISDSに関して、そのことを確認する規定を盛り込みました。
 自由民主党がTPP交渉参加に先立って掲げた国民の皆様とのお約束はしっかりと守ることができた。そのことは明確に申し上げたいと思います。

出典 http://www.kantei.go.jp

こう述べてますが、政府が内閣官房に設置したTPP対策本部が資料を公開してますのでそちらから具体的に解説したいと思います。

環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2015/10/151005_tpp_gaiyou.pdf

農作物はどうなるのか?

TPPの中で一番大きく報道されていたのは農業に関してで国会でもTPP交渉参加する際に決議案が出てます。

参議院でも決議案が出てます。

環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する決議
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/183/i070_041801.pdf

この決議は守られたか?と言いますと厳密には守られてません。

日本市場へのアクセス>
1 米:(1) 米及び米粉等の国家貿易品目①現行の国家貿易制度を維持するとともに、枠外税率(米の場合 341 円/kg)を維持。②米国、豪州にSBS方式の国別枠を設定。米国:5万t(当初3年維持) → 7万t(13 年目以降)豪州:0.6 万t(当初3年維持)→ 0.84 万t(13 年目以降))
※国内の需要動向に即した輸入や実需者との実質的な直接取引を促進するため、我が国は、既存の WTO 枠のミニマムアクセスの運用について見直しを行うこととし、既存の一般輸入の一部について、中粒種・加工用に限定した SBS 方式(6 万トン)へ変更する予定。
(2)米の調製品・加工品等(民間貿易品目)一定の輸入がある米粉調製品等は関税を5~25%の削減とし、輸入量が少ない又は関税率が低い品目等は関税を削減・撤廃

出典 http://www.cas.go.jp

これはアメリカ及びオーストラリアから米を日本政府が買い入れ枠を増やして米粉や米を使った加工品に関しては関税撤廃ということです。国会決議では

一 米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。

出典 http://www.shugiin.go.jp

こう書いてます。アメリカやオーストラリアから米を買い入れ枠を増やすというのは交渉の除外にするという決議案に反してます。しかし

八 交渉を進める中においても、国内農林水産業の構造改革の努力を加速するとともに、交渉の帰趨いかんでは、国内農林水産業、関連産業及び地域経済に及ぼす影響が甚大であることを十分に踏まえて、政府を挙げて対応すること。

出典 http://www.shugiin.go.jp

もし交渉になったら政府で対策をしろと記していますのでこれから政府で対策を行わないといけなくなりますから政府で対策を出してくるかと思われます。具体案は現時点でありません。

こうして一項目づつやっていくと物凄く長くなるので農作物について残りはまとめてやります。

農作物については5年から10年ないし15年かけて関税は削減若しくは撤廃の方向です。消費者としてのメリットはお酒で

(1) ボトルワインについては 8 年目、清酒、焼酎については 11 年目までの関税撤廃期間を設定。

出典 http://www.cas.go.jp

他にも牛肉や豚肉、乳製品、海産物なども関税は削減や撤廃の方向にいきますが価格維持の協定や従量税や従価税などが課せられますので関税を削減や撤廃になってもそんなに価格は下がらないと見たほうがいいでしょう。仮に下がっても10年後くらいです。

携帯電話の料金が

TPPは情報通信の分野も交渉対象ですので携帯電話も料金を含めて当然品目に入ります。安倍首相はそれをわかっていますのでTPP大筋合意前にこんな事がありまして、

経済財政諮問会議で安倍首相が高市早苗総務相に対して携帯電話料金引き下げの検討を指示した

出典 http://jp.reuters.com

携帯電話の料金引き下げを高市総務大臣に指示をしています。では携帯電話の料金がTPPで下がるのか?

国際移動端末ローミング・サービスについて、透明性のある、かつ合理的な料金を促進することについて協力するよう努めること等をTPP協定で規定したことによって、ローミング料金の低廉化に貢献し得るものと考えられる。

出典 http://www.cas.go.jp

TPP協定の概要では「下がることを期待する」と記してるだけで不透明です。下がる要素としてTPP協定の概要には参加国のローミングサービス料金の比較が記載されてまして

こんなに違いますよとアピールをしています。携帯電話各社は

3社は現時点で「家庭の光インターネット料金も合わせて、携帯電話料金を下げる努力をしており、これからも引き続き検討していきたい」(ドコモ)、「こういったことが話題に出る前から、ユーザーが利用しやすいプランは出している」(KDDI)、「これまでも事業者との間で競争し、都度、新しい料金を導入してきたが、今後も様々な施策を検討していく」(ソフトバンク)と冷静に受け止めているが、値下げ包囲網が狭まれば、減収覚悟の値下げに追い込まれる可能性がある。

出典 http://jp.reuters.com

今のところ応じる気配はないですが、圧力や外資の参入によって料金を下げるかもしれません。

労働規制や国民健康保険はどうなったの?

次はTPPの懸念材料の一つであった労働規制の緩和や国民健康保険は維持されるのか?という点についてです。安倍首相は会見で上述したように「国民健康保険は維持される」と断言しましたがどうなったのか?

前提としてTPPには「内国民待遇」というのがあります。「内国民待遇」とは協定参加国即ちTPP参加国の人や企業は自国民と同じ扱いにして物やサービスを提供する時の規制を取り払いなさいという規定です。
これも交渉で止められると安倍首相は交渉参加を決めた時に断言をしました。

国民皆保険制度を守るなど五つの判断基準を掲げています。私たちは国民との約束は必ず守ります。

出典 http://www.kantei.go.jp

国民健康保険が「内国民待遇」に引っかかるかもしれないというのはアメリカやカナダなどの保険会社が日本に保険サービスを提供する時に国民健康保険があるために保険サービスの提供が阻害されるとなった時に国民健康保険の制度を変えなければならないという点です。それを安倍首相は「国民健康保険を守る」と断言したのです。
それはどうなったかですが、

内国民待遇等の自由化に関わる規律を適用しないことが認められた措置について、協定発効後に、規制の緩和や撤廃を行った場合は、変更時点でとられている措置よりも後退しない、すなわち自由化の程度をより悪化させないことを約束するラチェット条項が置かれている。

出典 http://www.cas.go.jp

この「ラチェット規定」とは何なのかと言いますと「一度交渉で決めたことよりも自由化させないなんてダメだ」という規定です。この規定と先述した「内国民待遇」に国民健康保険が入ると国民健康保険は名前だけ残って形骸化する恐れがありますが、

政策上、将来にわたって規制を導入し、又は強化する必要があり得る分野については、留保することが認められている(「包括的な留保」=いわゆる「将来留保」)。包括的な留保をした分野にはラチェット条項は適用されない。

出典 http://www.cas.go.jp

日本は、社会事業サービス(保健、社会保障、社会保険等)、政府財産、公営競技等、放送業、初等及び中等教育、エネルギー産業、領海等における漁業、警備業、土地取引等について包括的な留保を行っている。

出典 http://www.cas.go.jp

今のところは国民健康保険はラチェット規定の適用外だけど将来はわからないということです。これから細部の交渉によって変わってくる恐れがありますが現時点では適用外です。

労働規制に関して現時点で決まっていることは

国際的に認められた労働者の権利に直接関係する締約国の法律等(以下「労働法令」という。)を執行すること、国際労働機関の 1998 年の労働における基本的な原則及び権利に関する宣言並びにその実施に関する措置(ILO宣言)に述べられている権利(強制労働の撤廃、児童労働の廃止、雇用・職業に関する差別の撤廃等)を自国の法律等において採用・維持すること、労働法令についての啓発の促進及び公衆による関与のための枠組み、協力に関する原則等について定める。

出典 http://www.cas.go.jp

ILO宣言というのが国際条約でありまして、

これに沿って行いなさいということだけです。但し日本政府は

日本は、TPP協定の労働章において、各締約国が保障すべきこととされている労働者の権利に関係する国内法令を既に有していることから、追加的な法的措置が必要となるものはないが、これらの規定により各締約国で労働者の権利保護が進めば、公正・公平な競争条件の確保につながり、ひいては、我が国企業の相対的な競争力強化につながることが期待される。
(参考)WTOには労働に関する協定はなく、また、我が国が締結済みのEPAにおいても、労働に関する規定が設けられた例はあるが、独立の章が設けられたことはない

出典 http://www.cas.go.jp

「公正・公平な競争条件」に繋がることを期待しています。公平というのは非正規雇用が正規雇用と同じ条件になるのも公平ですが、正規雇用が非正規雇用と同じ条件になるのも公平ですので予断は許しません。

投資の分野での懸念材料ISDS

投資の分野もTPPの交渉部分に入ってきます。これは日本がTPP締結国へ輸出や投資できる部分ばかり強調されてますが、TPP締結国も同じ条件で日本に投資もできますのでその時に日本国内で影響が出てくる分野があります。

締約国は、国有企業及び指定独占企業が、物品又はサービスの売買を行う際、商業的考慮に従い行動すること、他の締約国の企業に対して無差別の待遇を与えることを確保すること、国有企業への非商業的援助(贈与・商業的に存在するものよりも有利な条件での貸付け等)を通じて他の締約国の利益に悪影響を及ぼしてはならないこと、国有企業及び指定独占企業に関する情報を他の締約国に対して提供すること等を規定している。

出典 http://www.cas.go.jp

各締約国は、特定の規律を自国の特定の国有企業等の特定の活動については適用しないとして、国別附属書で留保している。日本は、地方政府の所有・支配する国有企業・指定独占企業を留保している。
国有企業等に特化した規律は、WTO協定及び日本が締結済みの既存のEPAには盛り込まれていない。これらの規律により、外国企業が国有企業と対等な競争条件で事業を行うことができる基盤が確保されることとなる。

出典 http://www.cas.go.jp

政府調達、公共事業などに対して外国企業も国内企業と同じ条件にしなさいという規定が盛り込まれてます。これが他の部分にまで波及する可能性は現時点ではないと断言できません。
それは投資の分野で決まったこの規定です。

投資財産の設立段階及び設立後の内国民待遇及び最恵国待遇、投資財産に対する公正衡平待遇並びに十分な保護及び保障、特定措置の履行要求(現地調達,技術移転等)の原則禁止、正当な補償等を伴わない収用の禁止等を規定している。また、投資家と国との間の紛争の解決(ISDS)のための手続も規定している

出典 http://www.cas.go.jp

このISDSとは企業が国を相手に国際裁判に訴える事ができる規定です。日本の規制や法律が締結国企業の投資に阻害になるとなった場合は「規制を緩和しろ!」「法律を変えろ!」という訴えをTPP締結国の企業は訴えてもいいよという規定です。

ISDSの仕組み

出典 http://www.cas.go.jp

一応条件はありまして、

〇 仲裁廷は、国家の義務違反の有無を判断する段階に至る前に、訴えが仲裁廷の権限の範囲外であるとの被申立国による異議等について決定を行う。
〇 全ての事案の判断内容等を原則として公開することを義務付ける。
〇 申立て期間を一定の期間に制限する。
また、TPP協定投資章において、投資受入国が正当な公共目的等に基づく規制措置を採用することが妨げられないことが確認されている。

出典 http://www.cas.go.jp

日本の労働規制が「正当な公共目的」に入るかどうかは不明です。これもこれからの交渉で細部を詰めていくことになりますが、ラチェット規定があるのでこれより緩くなることはないです。
これによりアメリカやオーストラリア、カナダなどの企業が日本に投資することができます。これから大地震の対策をしなくてはいけないのですが、その工事を地震がほとんど起きないアメリカの企業(ノウハウがない)が行うこともありますし、普段使ってる道路や河川の改修なども締結国の企業が行うことも可能です。

著作権や知的所有権、知的財産権はどうなるの?

TPP大筋合意に至るまで最も揉めたのがこの知的財産の分野です。理由としては医薬品の特許期間や著作権の非親告罪などです。因みに日本は報道ベースですが知的財産権や著作権については何も主張をせずに調整に当たっていたようです。

こうしたフォーラムも開かれて、関心も高い分野ですが

どうなったかと言いますと一気に引用します。

医薬品の知的財産保護を強化する制度の導入
① 特許期間延長制度(販売承認の手続の結果による効果的な特許期間の不合理な短縮について特許権者に補償するために特許期間の調整を認める制度)
② 新薬のデータ保護期間に係るルールの構築。
③ 特許リンケージ制度(後発医薬品承認時に有効特許を考慮する仕組み)

出典 http://www.cas.go.jp

商標
・ 商標権の取得の円滑化:国際的な商標の一括出願を規定した標章の国際登録を定めるマドリッド協定議定書(マレーシア、カナダ、ペルー等が未締結)又は商標出願手続の国際的な制度調和と簡略化を図るためのシンガポール商標法条約(マレーシア、カナダ、ペルー、メキシコ等が未締結)の締結を義務付け。
・ 商標の不正使用について、法定損害賠償制度又は追加的損害賠償制度を設ける。

出典 http://www.cas.go.jp

オンラインの著作権侵害の防止
インターネット上の著作権侵害コンテンツの対策のため、権利者からの通報を受けて、プロバイダー事業者が対応することで賠償免責を得る制度を導入。プロバイダー事業者に著作権侵害防止のためのインセンティブを与える制度を担保。

出典 http://www.cas.go.jp

特許
・ 特許期間延長制度(出願から5年、審査請求から3年を超過した特許出願の権利化までに生じた不合理な遅滞につき、特許期間の延長を認める制度)の導入の義務付け。
・ 新規性喪失の例外規定(特許出願前に自ら発明を公表した場合等に、公表日から12月以内にその者がした特許出願に係る発明は、その公表によって新規性等が否定されないとする規定)の導入を義務付け。

出典 http://www.cas.go.jp

知的財産権保護の権利行使
WTO・TRIPS協定やACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)と同等又はそれを上回る規範の導入。
(例)・不正商標商品又は著作権侵害物品の疑義のある、輸入されようとしている物品、輸出されようとしている物品、若しくは領域を通過する物品について、権限のある当局が職権で差止め等の国境措置を行う権限を付与(ただし,通過物品については,荷宛国への侵害疑義物品情報提供をもって代替することが認められる)
・営業秘密の不正取得、商標を侵害しているラベルやパッケージの使用、映画盗撮に対する刑事罰義務化・衛星放送やケーブルテレビの視聴を制限している暗号を不正に外す機器の製造・販売等への刑事罰及び民事上の救済措置を導入。

出典 http://www.cas.go.jp

著作権
著作権に関しては次のルール等が規定されている。・ 著作物(映画を含む)、実演又はレコードの保護期間を以下の通りとする。
① 自然人の生存期間に基づき計算される場合には、著作者の生存期間及び著作者の死から少なくとも70年
② 自然人の生存期間に基づき計算されない場合には、次のいずれかの期間(i) 当該著作物、実演又はレコードの権利者の許諾を得た最初の公表の年の終わりから少なくとも70年(ii) 当該著作物、実演又はレコードの創作から一定期間内に権利者の許諾を得た公表が行われない場合には、当該著作物、実演又はレコードの創作の年の終わりから少なくとも70年
・ 故意による商業的規模の著作物の違法な複製等を非親告罪とする。ただし、市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない。
・ 著作権等の侵害について、法定損害賠償制度又は追加的損害賠償制度を設ける。

出典 http://www.cas.go.jp

著作権、知的財産権、知的所有権については原則全て規制は強化されました。著作権侵害についても非親告罪適用となります。著作権の保護期間も50年から70年に伸びて、医薬品の特許期間も延長されます。
またインターネット上での著作権侵害についても罰則規定は強化されることになります。これが緩くなることはありません。

しかしこれらは

ここまで色々と記してきましたが、TPPの条文を私たちは見ることができません。理由は簡単で「TPPは秘密交渉」だからです。では、国会議員は見られるのかと言いますと交渉に携わったごく一部の国会議員しか見ることはできませんし、与党の国会議員ですら条文を見ることはできません。
ですので、交渉途中で国会で交渉経過の中身を見せて欲しいと要求しましたが中身は見せて貰えずに大筋合意となりました。これから国会で批准することになりますが、条文の中身を知らずに批准してくれということになるでしょう。契約の中身を知らずに保険などの契約をして下さいというのと同じです。

昨日10月7日のラジオで経済評論家の三橋貴明さんがこのようなことを述べてました。

「大筋合意について」
妥結かと言われるとそうでもないんです。批准へのプロセスが始まると思うんですけど最終的に妥結となると首脳同士のサインが必要ですよね。年末までにやるとは思うんですけど、国会批准は最後で来年春以降になると思いますね。(大筋合意というのは細かい所はまだ?)まだでしょう。内定ってとこじゃないですか。(25年かけて細かい所は詰めるようですが)大阪にリニア新幹線が通るのとどっちが早いんですかね。医薬品についてはアメリカのロビイストが色々と動いてたみたいですね。

「今回のポイントは?」
私が一番問題だと思うのは医薬品の部分はイヤですとか米の関税のここの部分は外して下さいとか通らないんですよ。全部いっぺんに批准か否決かという判断を迫られるのでそれは乱暴でしょ?って言ってるんです。
もう一つは秘密交渉だったこと。私昨日たまたま国会議員とか政府の中にいる人達と話したんだけど誰も中身を知らない。甘利さんしか知らないんじゃないの?なんてはないだろうけど、それはおかしいでしょ。
TPPの中身を知らないまま新聞とか騒いでるんだけど、中身知らないのに反対しないほうがおかしいんじゃないかな。中身を知らないのに反対してたのかとか言われそうですけど(三橋貴明さんはTPP反対)、中身をよく知らないのだから反対するに決まってるじゃん。保険契約とか金融商品を買う時に中身を知らないで契約する人はいないと思うんですよね。
中身を知らないで賛成してる人たちが今でもいるから、どういう理由で賛成してるのかよくわからない。

「甘利さんは会見で悲壮感を漂わせていた」
甘利さんは率先して妥結しようと動いてたでしょ。妥結が目的だったからですよ。そんなの日本だけですよ。

「TPPは日本の国益にプラスになるか?」
妥結が目的だからではなく国益になるかどうかが目的で、でも(日本政府は)妥結が目的だった。日本の国益になるのだったら中身オープンにして説明してもらう。責任がありますから。今まで出てきた情報だって本当かどうかわからないので、なんで賛成できるのか不思議。

「TPPはなんで秘密交渉だったのか?」
それは国民に知られたら困るからでしょう。軍事とか安全保障の条約は秘密であっていいんです。敵に手の内知らせるなんてあり得ませんから。でもTPPは経済協定です。経済協定なんだから我々の生活に密接に関わってくるんです。それを秘密にしてパッケージにしてはい批准というのは乱暴です。

「国際的に決めたことは国内法を上回れないからどういう姿勢がいいのか?」
ちゃんと情報を知ること。ちゃんと知らないと正しい民主主義が進められない。中身を知ったら批准反対に流れるかもしれない。でもそうならない。『12カ国が5年半かけて交渉した結果なんですよ。それを日本の一存でひっくり返すんですか?』と言われたら日本人は弱い。

出典文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」2015年10月7日放送

よって今回のTPPに関しては日本国内では政府しか正しい情報を持ってない状態です。この状態で正しい情報を知るには政府の資料を使うしかありませんので政府の資料に基いて解説をしたのですが、細かい規定は後回しにして合意しましょうというのが現在の状態であるということです。

それを踏まえた上でTPPがどうなるか?は国会議員とかはどう動くのかを見ていくのが一番でしょう。

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政治・経済、思想・哲学、文学を学びつつ地元を中心にラーメンを食べ歩くフリーの物書きおじさんです。
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