記事提供:カラパイア

「結局人々はこの動物を愛しているのか?嫌っているのか?その真意がまったくわからない」

タイやミャンマー、インド、スリランカなど南アジアや東南アジアでは、人々の暮らしの中に象がいる。

インド、マドラス地方出身で香港を拠点に活動しているう写真家のパラニ・モハンは、象に魅せられ過去5年に渡り、象のドキュメンタリー「消え行く巨人(Vanishing Giants)」の撮影を行ってきた。

その中で彼は東南アジアの人々と象との複雑な関係に戸惑いを覚えたという。

モハンは子供のころから象という生き物が大好きだった。そんな象を記録したくてドキュメンタリー撮影を開始した。

彼はタイに入国してすぐ、象が人々から愛されていると同時に、人間の勝手な都合でぞんざいに扱われるのを見て、複雑な思いがしたという。

タイでは象が観光業の最前線で働いている。その裏側にはとても残酷なストーリーもある。バンコクでツアー客に人気の「象の餌付け」と称し、象に物乞いを行わせる。これに使われる象の多くは心を病んでいるという。

タイ西部。象の調教師「マホウト」が象の鼻と手を繋ぎ、象をリードする。

アフリカでは象と人間は離れて暮らしており、お互いに干渉することなく自然界の均衡を保っている。だがアジアでは人間と象は複雑に絡み合って暮らしているのだ。

彼は自身のスタジオで「象の美しい面」だけでなく、「象がいかに私たち人間と複雑に絡み合っているのか」を撮影しようとしたという。

南アジア、東南アジアの10か国を周り、数多くの象を見て来た。どの象も個性があり、同じ象は1つとしていなかった。

彼のお気に入りは子供の象で、じゃれてくる姿が非常にかわいかったという。とはいえ子供といえ象である。一歩間違えば人間を簡単に傷つけることができる。彼は象に近づく時、常に細心の注意を払っていたという。

インドのエローラ石窟群にある象の彫刻。

象によってその待遇は様々だ。傷ついていたところを保護され、人々に支えられながらリハビリに励んでいる象もいれば、虐げられ厳しい環境で強制労働を強いられる象もいた。

カレン族の「ゾウ使い」

中でも彼が特に心を揺るがされたのは、タイ・ミャンマー国境近くのメチェム地区に暮らすカレン族と象との関わりだった。

カレン族は数百年にわたって象を使役している。子供の象には人の為に働かせるための調教をする。象が3歳になると母親から引き離し、木で出来た小さな檻に入れる。そこで3日間厳しい特訓が始まる。

特訓中は食事も与えられず、子供の象は夜中に悲しい鳴き声を発する。今までお母さんと仲良く暮らしていたのにいったいなぜ?子供の象はなぜ自分がこんな目にあっているのかまったくわからないだろう。

木の檻に入れられ悲鳴を上げる子供の象。

そこで生まれて初めて人を背中に乗せる。びっくりして逃げ出そうにも、人を振り落とそうにも檻があるために身動きがとれない。3日間の間に、足を上げたり頭を回すという基本的な動きを教え込まれる。

檻に入れられ目から涙を流す子供の象もいた。

だが彼はカレンの人々の行いに一切口を挟む事はしなかった。彼は「その時目の前で起きている状況を記録する」のが自分の役目なのだ、と自分に言い聞かせたそうだ。

次の2ヶ月間はあちこち歩きまわらないように、足をしばられる。3年かけてゾウ使いが仕事に必要な動作をすべて覚えさせるのだ。

足を縛られる子供の象。

調教した象は、昔は木の伐採の仕事をさせていたが、今や観光客を相手にしたゾウキャンプに雇われている。観光客を相手に挨拶をしたり楽器を鳴らしたり、絵を描いたりと、さらに複雑なことを教え込むのだ。

ツアー客に向けたパフォーマンスの一つであるスラムダンクを練習する象。

モハンはスリランカで素晴らしい光景を目にした。自然の中に溶け込むように、泥水で遊ぶ子象と、子供たちの為にエサを取る親の象の姿だ。象は社会性のある動物である。自然界で我々同様に「社会」を築き上げている。

人間が象がより良い関係を築き上げるにはどうしたらよいのだろう?象の記録者であるモハンは自ら答えは出さない。ただ象たちのありのままの姿を撮影し続ける。これからも。

大きな牙を持った象が現れたスリランカのチトワン国立公園の朝。

チトワン国立公園のキャンプに連れてこられた象。

タイのマホウトの方。彼の手に持たれているのは象をコントロールする為の道具である。

南インドのムドゥマライ国立公園で撮影されたムスフ(発情期により凶暴になる様)状態の象。

スリランカの首都コロンボで見かけた、輸送される象。

スリランカの「ピンナワラのゾウの孤児園」で行われる象の水浴びはツアー客に人気の観光地。

ソンクラーン水掛け祭で象に持ち上げられる人。

スリランカや多くのアジアの国々では、象の下を幼い子供と潜ると、子供が元気に育つと言われている。

タイの首都バンコクでは象に物乞いを行わせる。

南インドのタミル・ナドゥー州とケーララ州の国境で撮影された、川で水浴びをする大人の象。当時ここには多くの象がいたが今では激減している。

南インドでは、象の顔を洗う時は全て手洗いで行われる。

スリランカで象の耳を持ち連れ歩くおじいさん。

出典:eatureshoot

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