性同一障がいの子供と向き合った家族のストーリー

OllyとJoe 双子の男の子

出典 http://www.mirror.co.uk

イギリスに住むマット(Matt)とロージー(Rosie)夫妻には、3人の子供がいます。

7年前に夫妻にとってはじめての子供を授かり、超音波検査でお腹にいるのは双子の男の子だと知りました。夫妻はとても喜び、そして元気な2人の男の子が生まれます。OllyとJoeと名づけました。両親は双子だから、成長も同じだろうと考えていたのです。ところが、双子が一才半になった頃、2人の違いにはっきり気づくようになったのです。

今年の春、結婚10周年を迎えた夫妻が、バカンス先のエジプトで記者のインタビューに答えた話を基にしています。

左端のピンクのショーツを履いている男の子。これが、Joe、6才、いえ、現在はLily-Roseという女の子です。真ん中は双子の兄弟Olly、妹のBella、両親と一緒に。

このインタビューで、マットさんは、JoeがLily-Roseになったことを家族が受け入れることができるようになるまでの経緯と、今も続く家族の葛藤を話しています。

最初に、2人の違いに気づいたのは祖父母でした。双子が生まれたときから毎週1度は預かってくれていた彼らは、Ollyが選ぶ雑誌は、機関車トーマスや男の子が好きなキャラクターが表紙のものだったのに対し、Joeは妖精などが写ったピンク色の写真のものだったのです。

2才になったJoeは赤ちゃんのお人形やピンク色のおもちゃを欲しがるようになります。洋服もOllyはバットマンが付いたものが好きなのに対し、Joeは女の子のドレスを欲しがりました。

Joeの女の子が好きなものを好むという傾向は、保育園に入ってからますます顕著になってきます。

Ollyは外で砂遊びをしたり、男の子と駆け回っていました。Joeは室内でドレスを着たり、女の子と遊ぶことを好んでいました。先生から2人の様子を聞かされたマットさんは、この時はそれでも「きっとJoeはクリエイティブなんだ。Joeは手芸やアートが好きで粘土遊びが上手だ。僕はスポーツが好きだけど、妻は美容師でクリエイティブだから、Joeはきっと彼女に似たんだろう。」と思っていたそうです。


保育園から家に戻るとドレスに着替えるJoeを見て、マットさんは、「こんなに小さい子供に自分が人とは違う、自分がトランスジェンダー(性同一障がい)であるということが理解できるはずはない」と心の中で現実を認めることができず、苦しみました。父親として、息子を女の子として認めるということは、本当に高いハードルで、克服することは容易いことではありませんでした。

母ロージーさんは、夫とは反対に、Joeが自分の口から女の子だと言ってくれたことに安堵したそうです。美容師という仕事柄、性転換をした人や性同一障がいの人たちに接する機会が多い彼女は、比較的スムーズにJoeの変化を現実として受け入れることができたのでしょう。

3才のクリスマスプレゼントに、男の子のおもちゃを受け取ったJoeは、欲しくないとはっきり言い、結局返品されることになりました。最初家族の中には「どうしてJoeにお姫様みたいなドレスやピンクのおもちゃを買わなきゃいけないんだ。レゴやフットボールの用具をあげてはいけないのか」と言う人もいましたが、双子が4才になったときには、みんながJoeは女の子だと認めるようになりました。

その頃双子にBellaという妹が生まれました。これをきっかけに、Joeは自分が女の子だと口に出してはっきり言うようになります。同時に、彼自身、男の子の体を持つ自分に対しジレンマを抱えるようになったのです。

「Bellaは女の子の体を持っているのに僕は違う。Bellaにはあたり前のようにピンク色の服を着せて女の子らしい洋服を選ぶのに、僕はどうしてダメなの?」

「学校に女の子の制服を着て行ってはいけない、バレー教室でレオタードやチュチュを着てはいけないのはなぜ?」

毎日が葛藤の日々になりました。男の子のように髪を短くする事にも反抗し、伸ばしたいと言うようになります。

Joeを女の子だと認めるということは、双子の兄弟Ollyにとっても、大きな試練でした。彼は、自分も女の子のようだと思われたくなかったためか、一歩家を出ると過剰なまでに男の子らしい行動をとるようになり、自分は男だと誇示するようになっていました。ある日、ロージーさんのところに涙をいっぱい目にためてやってきました。

「僕の弟がいなくなっちゃった・・・」

父親のマットさんも、同じ思いを抱えていました。

「息子をなくしてしまった」

しかし、妹のBellaはわずか2才ながら、Joeを姉と認識し、自然に受け入れるようになっていました。

マットさんは、気づきます。

「息子をなくしたわけじゃない。ちゃんとここに居る。名前が変って、性別が変っただけのことなんだ」

双子のお誕生日会を別々に開くようになっていた家族は、6才の誕生日を一緒にすることにしました。

その日、Joeはアナ雪のエルザ姫のドレスを着て出席しました。

誕生日会に来ていた他の子供のお母さんたちの中には、眉をひそめる人やこそこそ話を始める人がいましたが、両親はそれは想定内のことだったと話します。Joeは、女の子であるということを決して隠すことなくふるまうようになりました。

この頃、性同一障がいであるかどうかというきちんとした診断とカウンセリングを仰ぐため、 専門の機関を訪ずれました。そして両親は性同一障がいについて書かれた本を読んだり、動画を観たりして、たくさんの情報を得て、Joeの心を理解しようと努めました。

今年の7月。マジョリカ島へバカンスで訪れたとき、Joeは自分を女の子”Lily-Rose”であると自己紹介するようになったのです。これは以前、両親が「もし女の子だったらどういう名前が良かった?」と聞いた時、彼女が選んだ名前でした。

センターのアドバイスによると、Lily-Roseが11、12才になったとき、今と変らず女の子であり続けた場合は、男性ホルモンを押さえる投薬治療を開始、16才頃には女性ホルモン投与を開始し、その頃手術のオプションも考えられるのだそうです。

こういったセンターのアドバイスを踏まえ、両親は学校側と話し合いをしました。そして、Lily-Roseは女の子の制服を着て9月の新学期から登校をするようになりました。

今が一番幸せ!

出典 http://www.dailymail.co.uk

今は彼女を学校の友達が受け入れてくれていますが、中学校に入ると、いろんな中傷やいじめも出てくると両親は考えます。

でも、自分がありのままの自分でいられることで「Lily-Roseはとても幸せそうだ」と話します。

Lily-Roseちゃんの成長を、両親とともにみんなで優しく見守ってあげたい、と心から願います。

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公式プラチナライター。テキサス州在住。料理研究家でフリーランスのコラムニスト

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