映画の秋がやって来ました! 日本で公開される韓国映画は、2005年に起きたアノ事件を描いた作品や、カンヌ国際映画祭の出品作など盛りだくさん。劇場で、だまし、だまされる人間模様を見てみませんか?

■全世界が驚いた前代未聞の捏造事件を完全映画化

『提報者~ES細胞捏造事件~』

出典 http://klockworx.com

©2014 MEGABOX PLUSM & WATERMELON PICTURES CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED

2015年10月3日(土)~10月9日(金)までヒューマントラストシネマ渋谷にて一週間の限定公開中!
(原題:『提報者』 2014年/韓国/114分)

2005年に韓国で発覚したファン・ウソク博士によるES細胞捏造事件を完全映画化したもの。
2004年、ソウル大学のファン・ウソク教授が「世界で初めてヒトのES細胞作製に成功した」と発表。世界で誰も成し遂げられなかった偉業を達成したことで、国民はノーベル賞受賞を期待し、教授は国民的英雄となる。インターネット上ではファンクラブまで設立された。
ところが翌年、韓国文化放送(MBC)の「PD手帳」によって、その論文がデタラメだったことが発覚。
当初、国民やメディアはMBCと番組に対し、「非国民」といって激しく抗議する。番組のスポンサーへの不買運動が起こり、すべてのスポンサーが降板。番組は休止に追い込まれた。しまいには、MBC全番組の視聴率が低下する異常事態となった。その翌年、教授は詐欺や横領などの容疑で起訴される。本作はそうした事実を描いた実録サスペンス。

出典 http://klockworx.com

嘘で塗り固めた教授と、それを追及する番組―。もはや、どちらが正義か分からない。
真実そっちのけで、教授を擁護する世論がいかにも韓国らしく、これこそ“究極の事なかれ主義”ではないのか。本作ではそうした様子もリアルに描かれている。

ちなみに、ファン教授は今も健在で研究を続けている。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とはこのことで、日本の小保方さんとは違った展開になっているようだ。


■ソウルの華やかな街は、欲望と裏切りと血で彩られた歴史の上に成り立つ?

『江南ブルース』

出典 http://gangnam-blues.com

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2015年10月17日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国公開!
(原題:『江南1970』 2015年/韓国/135分)

激動の1970年、ソウル・江南地区の土地開発をめぐる欲望と裏切りを描いたアクション。
戸籍もないジョンデ(イ・ミンホ)とヨンギ(キム・レウォン)は貧しいながらも兄弟のように暮らしていた。だが小さなほったて小屋を失い、離れ離れに。
3年後―。やくざになっていたジョンデは、江南地区を開発して首都機能を移そうとする極秘裏の計画に飛び込み、明洞派の中堅ボスになったヨンギと再会。裏切りが渦巻く江南地区をめぐって、激しい利権争いが始まる。

かつて田畑が広がっていた江南地区の開発が、血みどろの暴力絵図といってもいいほど生々しく描かれている。巨大な利権をめぐって議員やヤクザを中心に謎めいた人たちがだまし合い、殺し合いを繰り広げていく。

出典 http://gangnam-blues.com

劇中にも出てくる「狎鴎亭」や「新沙」といえば、今じゃ芸能事務所や高級ブランドショップが建ち並び、観光客で賑わう華やかな地区。それが血なまぐさい歴史の上に発展したのかと思うと、少々複雑な気がしなくもない。

主演は、若手人気俳優のイ・ミンホと、除隊してから急激に渋みを増したキム・レウォン。
対照的な二人を例えるなら、まさに「昇りゆく太陽」と「沈みゆく夕日」といったところ。だからこそ本作で共生できたのかもしれない。

いしだあゆみの大ヒット曲「ブルー・ライト・ヨコハマ」も聴かれ、昭和の香りもする。当時はまだ日本の音楽が禁止されていたものの、実際は韓国でよく知られ、人気曲だったという。


■救いようのない愛に打ちのめされて…

『無頼漢 渇いた罪』

出典 http://www.finefilms.co.jp

©CJE&M Corporation,2015

2015年10月3日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国公開中!
(原題:『無頼漢』 2015年/韓国/119分)

殺人課の刑事ジェゴン(キム・ナムギル)は、殺人事件の容疑者パク(パク・ソンウン)を追っていた。
容疑者は恋人のヘギョン(チョン・ドヨン)と会うに違いない。そう考えたジェゴンは正体を隠して、ヘギョンが働くバーに潜入することに。
やがてジェゴンは妙な罪悪感を覚え、ヘギョンもまたそばにいてくれるジェゴンに心を開いていくが…。

「無頼漢」とは、ならず者、ごろつきという意味。カンヌ国際映画祭には『The Shameless(恥知らず)』という英題で出品された。

出典 http://www.finefilms.co.jp

ヘギョンが働いているのは寂れた場末のバー。しかも彼女は借金まみれで、恋人も殺人犯。不幸を絵に描いたような人生を送っている。
そこにイケメンのフロアマネージャーが現れるが、彼は潜入捜査中の刑事。
二人が幸せになれないことは容易に予想できるが、特に終盤の展開は救いようがなく、切なさを通り越してやり切れない。

劇中では刑事がヘギョンに自白させようと、催淫剤を使おうとするシーンがある。性欲を高める媚薬だそうで、そんなものを使用して得た供述に証拠能力があるのかどうかは分からない。韓国の警察は無頼漢だらけなのかもしれない。


■今回紹介する作品の中で唯一まともな人たちを描いた秀作

『チャンス商会~初恋を探して~』

出典 http://jangsumart.jp

(c)2015CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

2015年9月25日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国順次公開中!
(原題:『チャンス商会』 2015年/韓国/111分)

70歳になるソンチル(パク・クニョン)は口うるさい頑固じいさん。長年、チャンスマートで働いているが、街の再開発計画に一人で反対している。
ある日、独り身のソンチルの家の向かいに、美しいグンニム(ユン・ヨジョン)が娘のミンジョン(ハン・ジミン)と引っ越してきた。
グンニムに食事をおごることになったソンチルはときめきを覚え、チャンスマートの社長チャンス(チョ・ジヌン)に相談。
なんとかデートは上手くいき、ソンチルとグンニムは徐々に親しくなる。
だが、やがてソンチルはグンニムの隠された秘密を知ることに…。

出典 http://jangsumart.jp

ここでは終盤に明かされる、優しくて美しい嘘に感動し、思わず涙してしまう。
人は恋をするが、誰もがいつかは老いる。
真実は残酷だけれど、本作に登場する人々のピュアな思いに心を癒される。

論文を捏造して世界をだました教授の嘘や、土地の利権をめぐってだまし合うヤクザ、容疑者逮捕のために他人を装って女に近づく刑事と違って、こちらは相手を思いやる、素敵な嘘に違いない。

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