ドローンが最も活躍している場所…「戦場」

「2015年はドローン元年になる」
こんな声が聞こえてくるほど、近年では様々なシーンにドローンが進出しています。商品の配達から映画の撮影に活用されるなど、その需要はますます高まるばかりです。その中でも、ドローンがもっとも活躍しているとされる場所があります。
それは「戦場」です。

現代の戦争においてドローンは必要不可欠な存在となっています。偵察活動は勿論のこと、近年の目覚ましい技術進歩により、兵士の命を危険に晒すことなく敵を攻撃することが可能になったからです。

自身の命を危険に晒すことは無い…ゲームのような戦争

出典 YouTube

ドローンの操縦士は遥か上空から標的に狙いを定めてミサイルを打ちます。すると次の瞬間には爆炎が上がり、標的はあっけなく死亡します。これらはすべて遠隔操作によるカメラ越しの出来事であり、兵士たちはまるでビデオ・ゲームで遊ぶような感覚で任務を遂行していくのです。
最新の軍用無人航空機は衛星経由でアメリカ本土から遠隔操作が可能であり、それこそ一歩も戦場に足を踏み入れることなく任務遂行が可能なのです。ドローンを操縦する兵士が攻撃を受ける可能性は皆無であり、これ以上ないほどの安全性が確保されていると言っても良いでしょう

オバマ大統領"お気に入り"の攻撃方法だという

NYTは「オバマは戦争を自分のやり方に変えた。パキスタンでのドローン攻撃をエスカレートさせ、それをイエメンとソマリアにも拡大した」と記す。同紙によれば、オバマ大統領はしばしば「我々を殺そうとしている連中を殺そう」と側近たちに語り、ドローン攻撃を「アメリカ人の命を危険にさらさず、旧来の戦争のように多くの血を流さずに危険なテロリストを一度に何人も排除できるアイデア」だと気に入っていたという

出典 http://newsphere.jp

自国兵士の命を危険に晒すことなく対象を殺傷できるドローンを用いた攻撃作戦は、最高司令官であるオバマ大統領にとっても素晴らしいアイデアだったようです。オバマ大統領が政権に就任して以降、米軍によるドローン攻撃の回数は飛躍的に増加しており、安全で確実な方法として重宝されてきたことが分かります。

しかし…その狂気じみた日常に耐えられない兵士も多くいる

しかし、その「絶対的な安全性」が兵士たちの心を狂わせてしまうケースも生じているようです。

「毎日、精神的に戦場に派遣するようなものだ。操縦士たちは、基地のゲートをくぐりながら、『よし、自分は戦地に向かう。戦うぞ』と考える。しかし任務後は、基地のゲートを出て、スーパーで牛乳を買い、サッカーの試合に行ってから家に帰る。任務について家庭で話すことはほとんどできない。これらの要因が重なって、操縦士本人と家族の精神的ストレスが強まっていく」

出典 http://www.newsweekjapan.jp

米空軍のジェームズ・クラフ大佐

米国本土から遠隔操作によって任務を遂行するドローン操縦士たちは、毎日のように「戦場」という非日常と家族と過ごす日常を行き来することになるのです。このような環境に置かれている兵士たちが心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患う割合は、有人の戦闘機パイロットと同じとも、あるいは実際にイラクで戦う兵士たちより高いともいわれています。

UAVの『Predator』がミサイルを発射するときは、「着弾までの一部始終が見える。それは非常に鮮明で、臨場感があり、自分の身に直接響く。だからこそ、ながく頭から離れない」

出典 http://wired.jp

"戦果"は「1626人」

元ドローン操縦士のブランドン・ブライアントさんは自身の任務について次のように語っています。

アフガニスタンのどこかの道を、自動小銃を抱えた男が3人歩いていた。前の2人は何かでもめている様子で、もう1人は少し後ろを歩いていた。彼らが誰なのか、知る由もなかったとブライアントは言う。上官が彼に下した命令は、何でもいいから前の2人を攻撃しろというもの。「1人より2人のほうがいい」からだ。土煙が収まると、目の前の画面には大きくえぐれた地面が表示されていた。2人の肉体の断片が散らばり、後ろにいた男も右脚の一部を失って地面に倒れていた。「男は血を流し、死にかけていた」。赤外線カメラの映像に白っぽく映る血のりは地面に広がり、冷えていった。「男はやがて動かなくなり、地面と同じ色になった」。

出典 http://www.newsweekjapan.jp

民間人の犠牲者については、07年、アフガニスタンで自分が発射したミサイルが建物に命中する直前に、その建物に向かって走る影を見たと語った。小さな影は子どもの姿に見えたという。しかし上司に尋ねたところ、「あれは犬だ」という答えが返ってきた。明らかにあれは犬ではなかったとブライアントさんは言う。その攻撃に関する報告書には最終的に、犬のことも子どものことも触れられていなかった。

出典 http://www.cnn.co.jp

約6年間この任務を続けるうちに、次第に無感覚になり、「ゾンビモード」で任務に当たるようになっていたと振り返る。特別報酬の誘いを断って退役を決めたのは11年だった。ブライアンさんが関わった作戦の実績をまとめた文書には、計約6000時間の無人機操作で殺害した人数として、1626人という数字が記されていた。

出典 http://www.cnn.co.jp

退役後のブライアントさんは酒浸りの日々を送り、うつ状態が続いてPTSDと診断されました。ブライアントさんの様に、PTSDに苦しめられるドローン操縦士は数多くいると言われています。

そして、ドローンによる攻撃は決して「完璧」ではない

2014年4月19日のドローン攻撃で殺害された4人の罪なき市民の1人、ナシルの父親は「私の息子たちはアルカイダと何の関係もない。仕事に向かっていただけだった。なぜ米国機は彼らを攻撃したのか」と嘆いた。2013年8月1日にワディ・サーで米ドローン攻撃によって息子を失ったイシャクは「彼らはただ殺す。自分たちのミサイルが引き起こした惨事をわかっていない。私たちの家族にもたらした苦しみに気づいていない」と語った。

出典 http://toyokeizai.net

ドローンを用いた攻撃は民間人を誤爆するという致命的な結果を招くことがしばしばあります。アフガン戦争以来、ドローン攻撃によって6000人の命が不当に奪われたとする報告もあり、こうした戦争犯罪と隣り合わせの状況にストレスを感じる操縦士もいるようです。

ドローン操縦士の日常を描く映画も公開された

出典 YouTube

 秀作SF「ガタカ」(1997年)を生んだアンドリュー・ニコル監督とイーサン・ホークのコンビによる異色の戦争映画。
 
無人戦闘機のドローンを使ったテロリスト掃討作戦を担当するF16の元パイロット、イーガン(ホーク)。彼は米ラスベガスの基地に置かれたコンテナの中からドローンを遠隔操作し、遠く離れた標的を攻撃する作戦を黙々と遂行していた。しかし、“手触り”の全くない戦闘により、彼の精神は少しずつ病んでいく…。

出典 http://www.sankei.com

無人航空機技術の飛躍的発展は、自国兵士の命をまったく危険に晒すことなく、敵を殺傷することを可能にしました。これは、人と人が切り結ぶような戦争の在り方を根底から変えるものであり、人類の歴史にとって革命的な前進と言えるのかもしれません。しかしながら、こうした技術の進歩がさまざまな深刻な問題を生み出していることも事実です。ドローン操縦士たちの苦悩から、私たちは何を学ぶべきなのでしょうか。

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