今日から労働者派遣法が大きく変わります。労働者派遣法とは派遣社員の方が働くためにある法律ですが、この法律が大きく変わって混乱が起きてるようです。

なんで混乱してるのか?

混乱してる理由として労働者派遣法の改正が国会で成立してから施行(法律が適用される)されるまでの期間が短すぎたというのが大きいです。

国会で成立したのが今月11日で今日30日施行ですからわずか20日間で施行です。
20日間で派遣会社、派遣先の会社、派遣社員に法律が変わるのでという周知をしなくてはいけないということで周知が行き届いていないようです。

厚生労働省は、内容を簡潔にまとめた手引きを作成してホームページに掲載したり、各地で説明会を開いたりして、派遣会社や派遣労働者などに理解を求めてきました。
ただ、連合などからは「改正法の成立後、周知期間はほとんどなかった」などとして、現場の混乱を懸念する声も出ており、厚生労働省は、引き続き、関係者を対象にした説明会を開くほか、各地の労働局に相談窓口を新たに設けるなどして、制度の周知に努めることにしています。

出典 http://www3.nhk.or.jp

各地の労働局の問い合わせ先はこちらになりますので活用してみてください。

どう変わるのか?

度々ニュースで取り上げられてきた労働者派遣法改正。これで何が変わるのかをご説明したいと思います。

大きく変わるのはこれです。派遣社員は今までは専門26業種を除けば3年間同じ派遣先に最長3年しか勤めることができませんでしたが、それが撤廃されて全ての業種で全ての派遣社員は同じ派遣先に3年しか勤めることができなくなります。今日から新たに派遣契約を結ぶ派遣社員は最長3年しか働けません。

では、3年経ったら契約終了なのか?と言いますと義務化されたことがありまして、

派遣会社は派遣先企業に対して3年経った時に直接雇用を依頼するか新たな派遣先を提供する義務を負います。但し罰則はありません。

そしてもう一つ変わるのが派遣会社がキャリアアップ研修などの教育訓練を行うのも義務化されます。大手派遣会社では既に用意をしてまして、

東京・渋谷にある大手派遣会社は、登録している派遣社員がコンピューターの操作や語学などについてパソコンで学習できるシステムを導入していますが、今後はスマートフォンでも学べる講座を増やすことにしています。さらに、正社員を希望する人のため、長期的なキャリア形成を考えてもらう講座も始めるということです。

出典 http://www3.nhk.or.jp

ここでいう大手派遣会社というのは例えば会長が竹中平蔵さんのパソナ。ついでですが竹中平蔵さんは政府の産業競争力会議の民間議員です。他にはリクルートスタッフィングなどが当たるでしょう。こうした教育訓練をすぐに用意できるのが大手派遣会社の強みです。では、現在中小派遣会社はどうしてるのかと言いますと

派遣会社で作る日本人材派遣協会の水田正道会長は、「中小の派遣会社の中には自社だけで対応できないところもあるので、協会で共通の教育訓練プログラムを整備するなど、支援していきたい」と話しています。

出典 http://www3.nhk.or.jp

こうした救済策をこうじて対応をしていく方向のようです。

派遣会社も変わる

変わるのは派遣社員だけではありません。派遣会社も変わります。今までは派遣会社は届出制でして厚生労働省に派遣会社として届出をして認可されれば派遣会社とされてましたが、今回の改正法案で許可制に変わります。
許可制になるので登録番号というのが必要になります。インターネット上で募集をかけてる派遣会社にも

こうした登録番号が必要になります。補足しますと特定労働者派遣というのは派遣会社がきちんと正社員として雇用した人間のみを派遣するものになりますが、今回の労働者派遣法によって派遣社員の区分けがなくなりますので廃止となります。

派遣先企業も変わる

今回の労働者派遣法によって変わるのは派遣社員、派遣会社だけではありません。派遣社員を受け入れてる派遣先企業も変わらないといけなくなります。今回の労働者派遣法改正で派遣社員に対して義務化されることがあります。

②派遣労働者の待遇の適正化、雇用安定措置の義務化
 正社員と同一の業務内容であれば正社員と同一の報酬が得られること(「同一労働・同一賃金」)、をはじめ、派遣元及び派遣先に派遣労働者の待遇を適正化することが義務付けられる。
 派遣就業が「あくまで臨時的・一時的である」という考え方が示された一方で、派遣元に対して派遣労働者の雇用が安定するような措置を講じることを義務付ける。

出典 http://www.corporate-legal.jp

正社員と同じ仕事をしている派遣社員に対して同じ給与を支払う義務が出てきます。
他には義務ではありませんが、

派遣先の労働者に関する賃金等の派遣元への情報提供→→→・派遣先の労働者に業務に密接に関連した教育訓練を実施する場合は、派遣労働者にも実施。・派遣労働者に対し、派遣先の労働者が利用する福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)

出典 http://www.hatarako.net

少しわかりづらいですが、派遣社員に対しての情報提供が今まではしなくも良かったのですが、これからはやりなさいということと派遣社員に対しての教育訓練を派遣会社任せにしないで派遣先企業もやりなさいということと、派遣社員にも会社内で利用する福利厚生施設を使わせるようにしなさいということです。

具体例としまして

こういうのはダメですよとなります。

労働者派遣法改正のメリットは?

今日から施行される労働者派遣法。政府与党は今月11日に成立させて今日から施行というスケジュールを組みましたが、ここまで急ぐメリットはあるのでしょうか?

安倍首相は国会審議の中で

改正法について安倍総理大臣は審議の中で、「正社員を希望する方にはその道が開けるようにするとともに、派遣を積極的に選択している方については賃金等の面で派遣先の責任を強化するなど待遇の改善を図るものだ」として、その意義を強調しています。

出典 http://www3.nhk.or.jp

自民党の国会議員でも同じようにメリットは大きいとする意見が述べられています。

①いわゆるブラック派遣企業を根絶する

この表現が好きではないし、政府はこのような表現はしないのですが、敢えて「いわゆるブラック企業」と表現します。これまで派遣会社はA.届出制、と B.許可制、が存在しました。このブラック企業と分類される派遣会社の80%はAの届出制の会社です。それを今回の法改正により全てBに以降させようということなのです。(真面目に頑張っているAの方々もいらっしゃるので、移行期間にはゆとりをもたせます。)

という理屈でブラック派遣会社なるものの排除へ大きく前進するのです。


②派遣労働者のキャリアアップ

派遣労働者に対してはこれまでキャリアアップという概念はほぼありませんでした。例えば、事務職に就いた方はずっと事務職で同じ水準の仕事をするサイクルから抜け出すことはなかなか難しい現実がありました。それを今回は派遣会社にキャリアアップのための研修を義務付けることにしたのです。さらに、それだけではなく雇用を安定させるために、派遣社員さんに対しての4つの出口を設けることを、派遣会社に義務付けます。

<4つの出口>①その職場での正社員化②派遣会社での正社員化③紹介予定派遣④新たな派遣先の提供

出典 http://ameblo.jp

このように記しています。

政府与党は「派遣社員のキャリアアップに繋がる」というのを強調していて法案改正の意義を述べています。

法案改正のデメリットは?

物事にはメリットだけがあるなんてのはあり得ません。デメリットも当然あります。デメリットとしてはこうした意見があります。

派遣労働者として働いていた女性は「企業は、3年ごとに人を入れ替えれば、どんな仕事でも期間の制限なく低賃金の派遣労働者を使い続けることができる。労働者の大部分は使い勝手のいい生涯派遣になってしまい、一生、正社員の道が閉ざされてしまう」と述べ、派遣労働者の待遇改善にはつながらないと批判しました。

出典 http://www3.nhk.or.jp

今回の労働者派遣法は義務化されることが多いのですが、実は罰則がないのです。よくて指導・助言・罰則等の適用対象までです。
つまり、派遣先企業も派遣会社も法律を守らなくても指導対象になるだけです。
具体例として、3年経った派遣社員に派遣会社が派遣先企業に対して「〇〇さん(派遣社員)がそろそろ3年経つので直接雇用をお願いします」と持ちかけます。これは法律で義務化されてますので派遣会社はやりますが、派遣先企業が「経費がかかるから無理だね。」と断って派遣会社が「そうですか。わかりました」と答えても派遣先企業も派遣会社も罰則にはなりません。
派遣会社は正規雇用をお願いしたので法律を守ってますし、派遣先企業は雇用義務はありません。派遣会社は直接雇用をお願いしないといけないのですが、派遣先企業は直接雇用をしなくてはならないということはないのです。

派遣先企業は3年で雇い止めにして新しい派遣社員を受け入れるという選択肢をしてもいいのです。
労働組合もこうした意見を出しています。

労働組合などは、雇用がさらに不安定になる恐れがあると強く批判しています。

出典 http://www3.nhk.or.jp

事例としてはこうした例があるようです。

一部報道によれば、改正派遣法がまだ成立していないにもかかわらず、すでに専門26業務の派遣労働者で雇い止めを通告されたり、改正案が成立した時点から3年先の雇い止めを告げられたりする事例も出ているようだ。

出典 http://toyokeizai.net

弁護士の方からもこうした意見が出てまして、

今回の改正案では、これら①事業所単位の期間制限②個人単位の期間制限とうたわれていながら、実際には、これらの期間制限は厳格とはいえず、企業がその気になれば派遣労働者を使い続けられる。

出典 http://toyokeizai.net

筆者も指摘した点と同じ点を指摘されてます。

法案では、「派遣労働者の雇用安定措置」として
① 派遣先への直接雇用の依頼
② 新たな派遣先の提供
③ 派遣元での無期雇用
④ その他安定した雇用の継続を図るために必要な措置
を派遣元に義務づけるとしている。
しかし、これらの「雇用安定措置」は、まったく派遣労働者の雇用安定にはつながらないことが指摘されている。たとえば、①の「派遣先への直接雇用の依頼」 については、文字通り、「依頼」することが義務づけられているだけなので、派遣先がその「依頼」を断ることも全く自由だからである。

出典 http://toyokeizai.net

罰則がないので派遣先企業は断っていいんです。これが直接雇用に繋がるか?という点は国会でも指摘されてましたがここの部分は塩崎厚生労働大臣は「企業側に委ねる」といった主旨の答弁に終始してました。

経済評論家の三橋貴明さんは今日のラジオで
結論が決まっていたということで9月30日施行ということですからこれってやりかたとしてどうなんでしょうか?議論はし尽くしたのか?という点があります。これは派遣の永続化ですからね。結局のところ。(派遣先)企業にとっては人件費削減ができるというメリットはあるんですけど、それって本当に企業にとってモノやサービスの提供する力に貢献するんでしょうかね?短期的な利益は出ますよ。
私は猛烈に反対してたんだけど結論は変わらなかったなと。中小の派遣会社が教育する力がなければパソナとかテンプスタッフから派遣してもらえばいいんじゃないですか?アウトソースして。パソナの会長は竹中平蔵さんですよってしっかりいいますけど
この様に批判しています。

政府与党も法案成立する時に付帯決議といいまして、法案をこういった方向でいきなさいというのをつけました。

参議院では、民主党などの主張を踏まえ、派遣は臨時的、一時的なものという基本原則のもと、労働者の正社員化に向けた取り組みを講じることや、悪質な派遣会社は許可の取り消しを含め処分を徹底することなど、派遣労働者の保護などに重点を置いた39項目にのぼる付帯決議が可決されました。

出典 http://www3.nhk.or.jp

どこまで守られるかは不明です。
付帯決議といえば消費税増税法案が可決した時に付帯決議が付けられて「景気が回復してないと内閣が判断すれば先延ばしできる」というのがあったのですが安倍首相は自分で判断しないで「解散総選挙で民意を問う」なんてやったしまった例もあります。

派遣会社の営業さんに聞いた話では「現場は回らない」「どこもあたふたしてる」らしいです。これからどうなるかは全く不透明ですが、これから現場で周知されてどうなっていくはか見ていくしかありません。

筆者はまた改正しないと現場が回らなくなるのでは?と推測しています。

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