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2013年に予防的乳房切除術を受けたアンジェリーナ・ジョリーさん。今度は、卵巣と卵管の摘出術を受けたとの報道がありました。

アンジェリーナさんは母が50代で卵巣がんにより亡くなり、祖母と叔母を乳がんと卵巣がんで亡くなっています。
このように血縁者に乳癌、卵巣癌の方が多い場合、遺伝性乳癌・卵巣癌症候群(HBOC)の可能性があります。アンジェリーナさんは関連遺伝子の検査を受け、遺伝子の変異が見つかりました。

今回は、乳房に加え卵巣、卵管摘出という大きな手術を受けた背景と、"予防のための手術"についてお話しします。

Q1 「乳房切除」と「卵巣と卵管摘出」の予防手術とは?

通常日本人における、70歳までの乳癌発症リスクは約7%、生涯の卵巣癌発症リスクは約1%ですが、遺伝子に変異がある場合、それぞれ41~90%、8~62%に高まる事が分かっています。そのため、発病をしていない健康な乳房、卵巣、卵管を切除する手術を受けるものです。

Q2 この予防手術の効果は?

乳房を切除することで、遺伝性乳癌の発症リスクを95%以上低下、卵巣を摘出することで、卵巣癌の発症リスクを90%低下させると言われています。

Q3 予防手術の事前検査とは?

問診票によるチェックによって、遺伝子カウンセリングを受けます。
カウンセリングの結果、遺伝性の乳癌が疑われた場合のみ遺伝子検査になりますが、受けるかどうかはご本人の意思を尊重します。遺伝子カウンセリング、遺伝子検査を受けることができる施設は、がん拠点病院や、がん専門病院、大学病院などに限られています。
遺伝子検査が陽性だった場合のみ、予防的乳房切除術等の予防手術が行われますが、こちらもご本人の意思を尊重されます。

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Q4 費用はどのくらいかかるのでしょうか?

遺伝子検査の一般的な費用は
・「発端者向け」で約25万円
・「血縁者向け」で約5万円
とかなり高額です。

予防的乳房切除術は
・片方の乳房の切除で20~50万円
・両側の乳房の切除で50~100万
が必要となります。

Q5 保険はきくのでしょうか?

全額自費になります。

Q6 術後のケアなどは行っているのでしょうか?

乳房、卵巣を切除することで手術後の「喪失感」不安になりますよね。
ですが、乳房切除の技術は大きく進歩しています。乳房の中にある乳腺だけを取り除き、乳頭や乳輪、乳房の皮膚はそのまま残す手術法も確立しているのです。
また、再建手術を行うことで女性らしいふくらみを乗り戻すこともできます。

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Q7 日本、世界では、予防手術はどのくらい行われているのでしょうか?

アメリカでは1996年頃からに遺伝子検査が臨床的に行われ、現在年間に約10万人以上の方がこの検査を受けているそうです。
日本では予防的切除術に対する認知度が低いため、あまり多くは行われていません。
遺伝子の変異がある場合、全摘が基本的には望ましいのですが、リスクとベネフィットを確認の上、慎重に決定していきます。

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